【ニュースレター】オールドニュータウンの再生を支える移動の力
複数の課題を抱えるオールドニュータウン
高度成長期、都市圏の人口集中に起因する住宅問題を解決するため、各地の郊外エリアにはたくさんの大規模住宅団地(ニュータウン)が開発されました。そのピークから30~50年の年月が経過したいま、全国のいわゆる「オールドニュータウン」では、居住者の高齢化や人口の減少、住宅・関連施設の老朽化や公共・医療機関等へのアクセスなど、さまざまな課題がクローズアップされるようになっています。
ご覧の写真は大阪府河内長野市の住宅地、南花台の一角。約40年前に開発されたこの団地にはかつて1万1,400人もの人々が暮らしていましたが、現在はそのおよそ6割の7,100人まで減少。全国のオールドニュータウンと同じように高齢化も加速して、数年前には小学校の統合も行われました。
同市ではこの春、内閣府が進めるスーパーシティ構想への申請を計画しています。島田智明市長は、「このまちの特徴は高い問題意識を持って活動を続ける住民力。その特徴を活かし、日本の未来に貢献したい」と、南花台をスマートエイジング・シティとして再生・発展させることで、同様の課題を抱える全国の地域のモデルを築こうと取り組みを進めています。
社会実装も進む電動低速モビリティ
南花台モビリティ「クルクル」(写真)は、地域内の短距離移動を支援する当社製の電動低速モビリティ。住民の皆さんが主体となり、社会福祉協議会の支援により運行されています。黄色いクルマが地中に埋め込まれた誘導線を感知して走る自動運転車、緑の車両はドライバーが運転する手動式です。ともに乗車定員は運行スタッフを含め7人。地域内の短距離移動に関わる課題解決に向けて、社会実装を目指した実証実験が進められています。
「河内長野市ばかりではありません。地域の交通課題を解決しようと、全国のさまざまな地域で電動低速モビリティの導入が検討されています」。そう話すのは、当社先進システム開発部の竹中友章さん。「その先駆けとなった石川県輪島市をはじめ、当社では、有人・無人問わず、電動低速モビリティを活用した実証実験を各地で重ねてきました。MaaSの実現に向けた取り組みを通して、当社はこれまでに約50か所の地域・自治体との協業を進めています」(同)
電磁誘導や自動運転等、さまざまな関連技術のひろがりの中で、各種の電動低速モビリティの社会実装が着実な進展を見せようとしています。
■広報担当者より
当社は電動カートなどの小型低速モビリティをラストワンマイルの移動ソリューションとして提供することで、「スローモビリティのある町づくりへの貢献」「ヤマハらしい移動価値の創出」を進め、交通・健康・産業振興といった重要な社会課題の解決や、楽しい移動価値の創出を目指しています。