【ニュースレター】子どもたちに「体験」を促す絵画コンテスト
国土交通大臣賞受賞の「海上保安船を見送るアジサシたち」
「自然体験」を促す絵画コンテスト
「いつもの年であれば、子どもたちが海や川に出かけて家族や友だちと一緒にできたはずの体験が、今年はあまりできなかったということでしょう。そこに残念な思いがあります」。10月下旬に開かれた「全国児童水辺の風景画コンテスト」(主催:公益財団法人ヤマハ発動機スポーツ振興財団)の最終審査会。審査員長代行として講評に立った国広富之さん(画家・俳優)はこう振り返りました。
平成元年にスタートした同コンテストには、創設当初から変わらぬ一つの思いがあります。それは、未来を担う子どもたちに、もっと海や川に出かけて自然の中でさまざまな体験をしてほしいという願い。水辺に親しみ、そこで営まれる人びとの暮らしや仕事、また生きものたちの生態に触れることで、新たな発見や体験、驚きや感動に出会ってほしいというものです。つまり、リアルな自然体験に紐づいた絵画コンテスト、と理解いただければ良いかもしれません。画家として活躍する国広さんも、その「体験を促す絵画コンテスト」というユニークな趣旨に賛同して5年前から審査員に加わりました。
小学校で行われたリモート朝礼での表彰式
ステイホームで自然体験機会が減少
直近の10年間、全国の子どもたちから平均約9,000件の作品が寄せられてきた同コンテストですが、今年度の応募総数は6,556件。これは10年前の東日本大震災の年(6,472件)とほぼ同じ水準です。夏休みの宿題の一環として作品を描く子どもたちにとって、その題材となる自然体験を実行する期間に発せられた緊急事態宣言、また感染拡大防止対策に基づく生活様式の変容などが大きく影響しているものと考えられています。特に小学生からの応募は前年と比べて半減しました。
しかし「こうした環境の中にあっても、審査員が悩んでしまうほど素晴らしい作品が全国から寄せられたことを非常に嬉しく思います」と国広さん。国土交通大臣賞に選ばれた堀若菜さん(小6)の「海上保安船を見送るアジサシたち」は、群れ飛ぶアジサシに向かって海上保安官が敬礼する姿がダイナミックに描かれています。学校で行われたリモート朝礼の表彰式では、「こんな素晴らしい賞をもらえてびっくり。ガッツポーズするくらい嬉しかった」と喜びを表現しました。
「私も小学生の時に絵画コンテストで佳作をいただいたことが、絵を描きはじめるきっかけになりました。絵にしても自然体験にしても、子どもたちにとってはそうしたきっかけがとても大切だと考えます」と国広さん。これまでのように、家族や友だちと自然の中でかけがえのない体験ができる日が、一日も早く戻ることを願わずにはいられません。
リアルな自然体験と結びついた絵画コンテスト
■広報担当者より
「全国児童 水辺の風景画コンテスト」は、子どもたちの自然体験を促すことを目的に、平成元年から続く長い歴史を持つコンテスト。コロナ禍により外出の機会も減った今年は、その応募総数だけでなく、家族や友だちと水辺で遊ぶ姿を描いた作品も少ない傾向だったそうです。子どもたちが自然の中で元気いっぱいに遊べる世の中が戻ってきますように。
公益財団法人ヤマハ発動機スポーツ振興財団
https://www.ymfs.jp/