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東京工芸大学工学部(神奈川県厚木市)工学科総合工学系化学・材料コースの比江島俊浩教授はこのたび、液晶ゲルの製造方法および設計方法についての特許を取得した。これは、ひまわりが太陽の光を浴びて光の方向に曲がるように、光を使用して「液晶ゲル」を自在に曲げる技術。ロボットのコントロールや、医療分野では、血管内でカテーテルを動かす技術など、活用が期待される。
比江島俊浩教授の発明「液晶ゲル、液晶ゲルの製造方法、液晶ゲルの設計方法」が4月6日付で特許として登録された。
比江島教授は特許の取得に際し、「長年にわたり行ってきた苦労が、この度実を結び、とても嬉しく思っています。これが、社会のためにお役に立てられることを願っています」とコメントしている。
◆液晶ゲルの製造方法、液晶ゲルの設計方法
【特許番号】特許 第6687333号
【特許登録日】令和2年4月6日
◆研究内容
【発明の背景】
液晶ゲルとは、高分子の主軸がある特定の配向方向を認識し、その方向に配列した特殊な高分子ゲルの一種である。そのため、光や電場、磁場といった外部からの刺激に対して特定の方向に光学的にも、力学的にも特殊な応答性を示すことが知られている。
高分子ゲルは本来、液体の特性を保持しながらもその形態を固定化するだけでなく、光やpH、温度、溶媒組成などの外部環境の変化を感知して体積を不連続に変化させる機能を有している。
これまでアクリル系樹脂を使ったゲルを人工筋肉やセンサー、太陽電池用の高分子ゲル電解質へ応用する研究が活発に続けられてきた。しかしながら、非晶性高分子ゲルを湿式デバイスで活用するためには、ゲルそのものの力学的な「もろさ」の改善はもとより、非晶性高分子に本質的に内在する溶剤亀裂や応力亀裂といった欠点を克服しなければならなかった。そこで、本研究を行うこととなった。
【解決手段】
ポリペプチドの高濃度溶液は自発的に一軸方向に配向した液晶相を形成するだけでなく、磁場中でゲル化したところ、ゲル内部にはポリペプチド鎖の絡まりあったフィブリルが磁場に平行に配向しており、その表面には弾力性のある強靭な角質層を形成していることを見出した。
【高速・高感度応答性を有するポリペプチド液晶ゲル・アクチュエータ】
従来の非晶性高分子を用いた光応答性高分子アクチュエータは、高出力の紫外光を照射することで、駆動時間の短縮化を図ってきた。しかしながら、それではハイパワーの光源が常に必要であり、実用的とは言い難い。今回、光異性化反応を示すスピロピランを側鎖に導入したポリグルタメート(PSPLG)液晶ゲルは、わずか2mWの365nm光を照射するだけで、高速・高感度応答の光運動性を実現することに成功した。
さらに架橋剤の化学的な性質を親水性から疎水性に変えると、このゲルの屈曲性は光源から遠ざかる向きと反対に近づく向きの双方向に光屈曲性を示すことを、世界に先駆けて初めて見出した。
この技術を使って、医療用のカテーテル材料やマイクロロボットやマイクロモータ作成への活用が期待される。
・発明の詳細
https://www.t-kougei.ac.jp/static/file/2015_096864.pdf
・研究者情報
https://portal.kougei.net/kg/japanese/researchersHtml/30288112/30288112_Researcher.html
・知的財産管理(大学の活動)
https://www.t-kougei.ac.jp/activity/intellectual_property/
▼本件に関する取材問い合わせ先
学校法人東京工芸大学 総務・企画課 広報担当
TEL: 03-5371-2741
E-mail: university.pr@office.t-kougei.ac.jp
【リリース発信元】 大学プレスセンター
https://www.u-presscenter.jp/