日本国内における2×4住宅の累計着工数が300万戸を達成
過去の大地震においても高い耐震性能を発揮 高強度のMPW耐力壁の活用も期待される
カナダ林産品の普及活動を行う非営利業界団体カナダウッドの日本事務所、カナダウッドジャパン(所在地:東京都港区、代表:ショーン・ローラー)から、日本国内におけるツーバイフォー工法の普及に関する情報をご紹介します。1974年に日本でツーバイフォー工法(枠組壁工法)がオープン化してから、国内のツーバイフォー住宅の累計着工数は2020年3月末時点で3,004,452戸※1と、300万戸を達成しました。北米で生まれたツーバイフォー工法は、在来軸組工法と比べて工法が簡略化されているためスピーディーな工事とコストダウンが可能なことや、断熱・気密性に優れた住みやすさ以外にも、高い耐震性能を兼ね備えていることから日本で支持を獲得しています。
ツーバイフォー工法は、剛性の高い床版・壁版を組んで作られる強固な「六面体構造(箱構造)」によって地震や台風などの力を建物全体で受け止め、荷重を一点に集中させることなく全体に分散させるため、外力に対して抜群の強さがあります。また、六面体構造は地震で発生する縦揺れ・横揺れのどちらにも強く、ねじれや変形を抑えることで建物の全半壊を防ぐことができます。
一般社団法人 日本ツーバイフォー建築協会が行った調査※2によると、阪神・淡路大震災、東日本大震災や熊本地震など、震度6~7の大きな地震が発生した場合でも、ツーバイフォー住宅は「被害なし」や「多少の被害※3」が約97%以上を占めることが分かりました。世界でも有数の地震大国である日本で、ツーバイフォー工法はその卓越した耐震性能を発揮していると言えます。
住宅構造タイプによる住宅内部被害率の違い(阪神・淡路大震災)
ツーバイフォー工法における耐震性能に関しては、カナダの林産研究機関FPInnovationsとブリティッシュコロンビア大学で開発された「MPW(ミッドプライウォールシステム。以下、MPW耐力壁)」が新たな構造要素として注目されています。MPW耐力壁は、面材を両側から枠材で挟み込むことで約2倍の耐力を持たせることができ、通常のツーバイフォー工法用の材料のみで組み立てられることも大きな特長として挙げられます。また、その技術は誰でも利用可能な“Open Design”の概念のもとで公開されているため、コストのかかる専有技術に依存しません。
近年、日本でも木造の中高層・大型建築物への関心が高まりつつある中で、ツーバイフォー工法では国内最大となる5階建ての特別養護老人ホーム「花畑あすか苑」(東京都足立区)が日本で初めてMPW耐力壁を採用しました。MPW耐力壁によって従来のツーバイフォー工法だけでは実現しなかった耐力を確保することができ、現在では在来軸組工法向けの開発もすすんでいます。MPW耐力壁にはカナダ産の構造用面材「OSB」や製材品が用いられています。
カナダウッドジャパンでは、今後も日本国内における建築の木造化のさらなる促進を目指し、MPW耐力壁をはじめとした新技術の研究開発と普及に取り組んでいきます。
※1 国土交通省、一般社団法人 日本ツーバイフォー建築協会調べ
※2 内閣府の「災害による住家の被害認定基準」を参考に作成した被害判定基準によりアンケートを実施
※3 壁紙にしわが寄ったり、少し裂け目が入ったり、家具の落下等により床材が一部分傷付くなどした程度の被害が生じたもので、当面そのまま居住してもほとんど支障はないもの