データサイエンティスト国内企業採用動向調査 企業の求めるデータサイエンティスト人材像が明らかに
〜ビジネス課題解決を得意とする人材への需要が高い傾向〜
一般社団法人データサイエンティスト協会(所在地:東京都港区、代表理事:草野 隆史、以下 データサイエンティスト協会)は、国内企業におけるデータサイエンティスト(以下 DS)の採用に関する調査結果を発表しました。
<調査結果のまとめ>
・データサイエンティストが在籍している企業は29%
・DS増員予定の企業の内41%がデータによるビジネス課題解決を得意とする人材を最も求めている
・企業のDS需要は高まっているものの、DS採用予定企業の58%が目標としていた人数を確保できていない
【調査の趣旨・目的】
データサイエンティスト協会 調査・研究委員会(委員長 塩崎潤一)では、「データサイエンティスト市場の"需要と供給のミスマッチ"の解消」をメインテーマに調査・研究活動を行っています。
近年、データサイエンティストに対する企業側のニーズが高まっているものの、企業における在籍状況・採用実態、欲しい人材像などについて、定量的に把握したデータはありませんでした。今回、調査・研究委員会は、これらの状況を定量的に把握し、データサイエンティストと企業のミスマッチを解消し、データサイエンティストの経験・能力を正しく活かすことを目的に、企業の人事部門に対するアンケート調査を実施しました(回答内容は2019年4月時点のもの)。
【調査結果について】
今回の調査結果について、データサイエンティスト協会 調査・研究委員会 委員長の塩崎潤一(株式会社野村総合研究所 マーケティングサイエンスコンサルティング部長)は次のように述べています。
「今回の調査は、企業のデータサイエンティストに対するニーズを感覚ではなく、まさしく“データ”として初めて把握した本格的な調査になります。DSがいる企業の多くは、今後、大きく増員を図ろうとしており、中でもビジネスにも詳しいDSを欲していることが分かりました。データサイエンティストというと、専門性の高い統計的な知識や、ビッグデータを分析できるプログラミングや機械学習のスキルを求めるイメージがありますが、今回の調査では、データを活用してビジネスに応用できる人材が求められていることが明らかになりました。データサイエンティストは企業にとって特別な存在ではなく、システムエンジニアやマーケターなどのように、必須の人材になってきていることだと思います。今後、分析できるデータが拡大し、一般の人でもデータが分析できるようになる“データサイエンスの民主化”が進むことで、この傾向はさらに強まっていくものと思われます。」
【調査結果詳細】
■データサイエンティストが在籍している企業は全体の29%
データサイエンティスト(DS)の在籍者数を尋ねたところ、DSが1人以上在籍している企業は全体の29%でした。在籍者数の内訳としては、1~2人の企業が22%、3~5人が26%、6~10人が22%となりました。
■在籍しているデータサイエンティストをタイプ別で分類するとエンジニアタイプが最も多い
DSが在籍している企業に対して、以下の3タイプ別に在籍者数について尋ね、各社のタイプ別人数比率の平均値を算出しました。結果、タイプ(3)のデータエンジニアタイプが最も多く43%、次いでタイプ(1)のデータマーケタータイプが33%、タイプ(2)のデータアナリストタイプが24%となりました。
■今後増やしたいDSのタイプとしては、マーケタータイプが最も多いが、エンジニア、アナリストのニーズもある
続いて、DSを増員予定の企業に対して、今後3年間でのタイプ別の増員数を尋ね、各社のタイプ別人数比率の平均値を算出しました。結果、タイプ(1)のデータマーケタータイプが最も多く40%、次いでタイプ(3)のデータエンジニアタイプが36%、タイプ(2)のデータアナリストタイプが24%となりました。
データサイエンティスト協会では、データサイエンティストのスキルとして「サイエンス」「エンジニア」「ビジネス」の3つの領域を定義しています。現在のデータサイエンティストとしては、エンジニアのスキルを持つ人が多いことが分かります。これは、データサイエンティストはビッグデータの分析をきっかけに増加したことに起因していると考えられます。大量のデータをハンドリングできるシステムエンジニアなどがデータサイエンティストとして活躍するようになったためです。近年のデジタルトランスフォーメーション(DX)の動きは、ビッグデータを保有できるようになったことが背景としてあるため、データサイエンティストはDXの要となる職種といえます。
一方で、今後は「ビジネス」の視点で、データを分析できる人材が求められていることがわかります。大量のデータをハンドリングし、分析するだけではなく、ビジネスとしてどのように活用できるかが課題になっているといえます。データを分析して、新しい真実などを発見するだけではなく、それを「売上」につなげられる人材が求められるようになってきました。
■DS人材像としては「ビジネス課題解決」「戦略検討」スキルを持つ人材が求められている
続いて、DSを増員予定の企業に対して、今後3年間で採用・育成したいデータサイエンティストの具体的な人材像について「最もあてはまるもの1つ」と「あてはまるもの全て」について尋ねました。結果、「データによるビジネス課題解決を得意とする人材」を最もあてはまるものとして答えた企業が41%、あてはまるもの全てでも88%となり、ビジネス課題の解決がDSのスキルとして最も重視されていることが分かりました。次いで、「複数の分野を俯瞰的にみてデータ分析の活用を戦略的に考えられる人材」を最もあてはまるものとして選択したのは18%、あてはまるもの全てで89%となりました。
このデータをみると、データを俯瞰的に分析して、ビジネスにつながる戦略を立案できる人材が求められていることがわかります。また、最もあてはまるものは、前節と同様に「ビジネス」がキーワードとなりますが、あてはまるものという視点では、非常に幅広い能力が求められていることがわかります。ビジネスの視点ではなく、統計的な知識や、データハンドリングの技術なども過半数以上の企業が求めています。データサイエンティスト協会が定義した3つのスキルのすべてにおいて、最低限の能力を持った人が求められていると言えるでしょう。
■DSを採用しようとした企業のうち「目標としていた人数を確保できなかった」企業が58%
一方で、この一年間で新たにDSを採用予定だった企業に対し、目標としていた人数のDSを確保できたかを尋ねたところ、58%が目標人数を確保できなかったことが分かり、依然としてDS不足は解消されていない現状が浮き彫りとなりました。
■今後3年間でDS在籍企業の77%は増員予定、DSがいない企業でも11%は新たに獲得したい
さらに、今後3年間でDSを何名程度増やす予定か尋ねたところ、DS在籍企業では77%が増員予定であることが分かりました。また、現在DSがいない企業でも11%は新規獲得を予定していることが分かりました。このことから、今後DSの需要は拡大していくことが予想されますが、図5の通り現状でも満足にDSを確保てきていない状況があり、需給のギャップを埋めていくことが大きな課題であることが分かります。
【調査概要】
調査対象 :日本国内一般企業(人事担当者向け)
※従業員30名以上の企業を対象に、企業規模別にランダム抽出
調査手法 :郵送法
調査期間 :2019年8月21日~10月8日
有効回答数:283社
注:本調査リリースの百分率表示は小数点以下を四捨五入しているため、合計しても100%とならない場合がございます。
以下より、調査結果の詳細をご覧いただくことができます。
https://www.datascientist.or.jp/common/docs/c-research_2019.pdf
■一般社団法人データサイエンティスト協会について
データサイエンティスト協会は、新しい職種であるデータサイエンティストに必要となるスキル・知識を定義し、育成の支援など、高度IT人材の育成と業界の健全な発展への貢献、啓蒙活動を行っています。また、所属を超えてデータ分析に関わる人材が開かれた環境で交流や議論をし、自由に情報共有や意見発信ができる場を提供しています。2020年4月現在、106社14団体の法人会員と約13,700名の一般(個人)会員が参画しています。
代表理事:草野 隆史(株式会社ブレインパッド 代表取締役社長)
所在地:東京都港区白金台3-2-10 白金台ビル
設立:2013年5月
http://www.datascientist.or.jp/
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一般社団法人データサイエンティスト協会 事務局 小島
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