【東芝】水島公一の当社特別賞の受賞決定について
水島は、東京大学助手時代に英国オックスフォード大学に赴き、本年のノーベル化学賞が決定したジョン・グッドイナフ教授の下で、将来のエネルギー課題の解決を構想の起点として、高容量リチウム二次電池の正極材料の研究に従事し、コバルト酸リチウムが優れた正極材料であることを見出しました。この発見は、今日実用化されているリチウムイオン二次電池の基本構成の確立に寄与し、ICTからモビリティとエネルギーまで広範な分野での社会革新の礎を築きました。本特別賞は水島の正極材料の発見の功績を称えるものです。
また水島は、東京大学より「東京大学総長特別表彰」を受賞することも決定しています。「東京大学総長特別表彰」は、学術文化の発展など、社会に対する多大な貢献を通して、東京大学の名誉を高めた者に対して行うもので、水島は本表彰の初めての受賞者となります。
水島が発見に貢献した正極材料はそれ以前の金属リチウムを用いたリチウム二次電池に代わる安全性の高いリチウムイオン二次電池の材料として、スマートフォンやパソコンだけでなく、電気自動車などに搭載され、世界中の人々の生活やさまざまな産業分野に多大な貢献をしています。また、リチウムイオン二次電池は、急速充放電が可能で、エネルギー効率が高いため、再生可能エネルギーを活用する発電所や、変電設備向けなどの大型蓄電システムでの利用拡大をはじめ、今後さらに幅広い分野への応用が期待されます。
当社においては、水島の研究成果を礎に開発を進め、高い安全性、充放電20,000回以上の長寿命性、急速充電性能、低温動作等の優れたリチウムイオン二次電池「SCiB™」を製品化しており、車載向けや系統の安定化対策向けなど幅広い用途で活用されています。
水島公一氏 職歴:
1969.4 東京大学 理学部 物理学科 助手
遷移金属酸化物の金属/非金属転移の研究
*1977~1979 オックスフォード大学 無機化学研究所 ポスドク研究
(リチウム二次電池正極材料の研究)
1982.4 (株)東芝 入社 / 総合研究所 化学材料研究所 主任研究員
(有機分子トランジスタ・発光素子の研究)
1988.4 (株)東芝 総合研究所 基礎研究所 研究主幹(高温超伝導デバイスの研究)
1993.4 (株)東芝 研究開発センター 基礎研究所 技監
(スピントランジスタの研究)
1999.4 (株)東芝 研究開発センター 新機能材料・デバイスラボラトリー 技監
(微小磁性発振素子の研究開発)
2000.3 (株)東芝 定年退職
2000.4 東芝リサーチ・コンサルティング(株) シニアフェローとして採用
2011.2 東芝リサーチ・コンサルティング(株) エグゼクティブフェローに就任
2018.4 (株)東芝 研究開発センター フロンティアリサーチラボラトリー
エグゼクティブフェローに就任