【イベントレポート】 変化の多い時代に考える、若者の未来と生き方。東京「スターバックス リザーブ(R) ロースタリー 東京」の「AMU(アム)インスピレーション ラウンジ」で初セッションを開催
人々が集まり、コーヒーを飲みながら、気軽に話し、新しい未来を創造する。そんな思いで生まれた「AMU インスピレーション ラウンジ」。1本では弱い糸も、重ね、編み、何層にも織りなすことで強く、美しい、見たこともない存在になっていくように、AMU セッションでは、人の才能を編み、新しい世界を生み出していきます。
セッションには、チェンジウェーブ代表取締役社長の佐々木裕子さんをモデレーターに、高校生やイノベーター、大学副学長など5人のメインスピーカーが参加。二重の円になるように、参加者は座ります。まず、佐々木さんが「変革屋をやっています。一滴から波紋が広がっていくようなセッションって、変革屋冥利に尽きることだなって思います。どういう風な人と一緒に編もうかと思い、色んな方を想像した時に、この人たちが集まったら、きっと素敵な波ができるんじゃないかな」と切り出し、バトンを、隠岐島前高校3年の山口結衣さんにつなぎました。
「変化や進化が激しい時代に、私はその変化していくものに対して、悔しさや羨ましさがあって。変化していく時代をどう受け止めていけばいいのかなって。それを、みんなで話し合いたいです。」
山口さんの問いかけから、セッションがスタートしました。倉敷市出身で、高校から隠岐島に“島留学”中の山口さん。島留学や学校のプログラムがすぐに新しさや珍しさがなくなっていくことに、悩みや葛藤を抱えていると、投げかけました。
その問いかけから、参加者は自由に意見を言い合います。大手企業での勤務、経営職を経て、現在は無職の篠田真貴子さんは「変化しないものもたくさんあって、それって気づきにくいと思う。昔から人間は変化や新しさを追い求めてきて、そのこと自体が普遍的で面白い」と持論を展開しました。
スーパーイノベーターの沼田尚志さんは、16歳の時に難病にかかり、3年間植物人間状態に。目が覚めると、首から下が動かず、その後、リハビリを重ね、これまでにあらゆる仕事に携わってきました。その経験を振り返りながら、「別に変化を受け入れなくても、立ち向かわなくてもいい。人とは違う別のこと、別の道を探せばいい」と考えを披露しました。
11分51秒間。最初のクロストークから活発な意見交換が続き、変化を受け入れるタイプか、その逆か、参加者は経験や考えをもとに、山口さんへのアドバイスや、トークの中で気づいたアイデア、それぞれの生き方を語っていきました。
山口さんは後輩の活躍や最先端と言われていた自分の時代が変わっていくことを日々の生活で体感し、「停滞している」と感じることがあるといいます。「変化を受け入れる立場、そうじゃない立場。年齢などいろいろあると思うけど、その境目ってどうやったらなくなるのか」と前半のトークからの気づき、さらなる疑問を口にしました。後輩と一緒に何かを作っていこうとしても、時間がかかり、うまくいかないことも多く、それでも、最近は進路について考えるようになり、後輩たちとフィールドを変えたことで、少しずつ見える景色が変わってきた実感があるとも話しました。
東京学芸大の副学長、松田恵示さんは、山口さんの発言を受けて、変化に対するタイプはさまざまいると話し、「攻めて突き抜けようとするタイプと、受け継いで突き抜けようとするタイプがあって、ダブルで自分の居場所を作っておくと、片方で潰れても、もう片方あるって自信がもてる。そうすると周りもなんか手を出したくなってしまう。どっちにしても繋がり方のタイプの違いだからね」と助言。その後も、議論は尽きず、メインスピーカーに加えて、参加者をさらに広げて、コーヒーを飲みながら、トークを深めていきます。席を移動し、自由に。そこから新たなつながりが生まれ、刺激を受け合います。まさに編んでいきます。
セッションも終わりに近づき、スターバックス リザーブ(R) ロースタリー 東京で働く、石塚綾子さんが振り返りました。ステンレスストローを開発し、普及に奔走する石塚さんは自身の高校時代に触れ、自分がいる社会、見えている範囲でもがいている時はわからないけど、もがき終わって、その昔の自分を見返すと、その時に価値観が作られていたと分析。「悩みをなるべくたくさんの人と共有し、話し合って、自分の意見や他人の意見、いろんな価値観の人がいるってことをとにかく蓄積することが、結衣ちゃん(山口さん)の価値観の形成につながっていくのかなって思います。すごい感動の時間でした」と目を輝かせ、山口さんにエールを送りました。
松田さんは「結衣ちゃん(山口さん)が投げてくれた問いが、同心円状に広がっていった。それを、それぞれの人が引き受けて、それぞれに語り出していく。すごく楽しくって。もっと変化してやるって、そんな気持ちになりました」とAMU セッションの体験を満足そうに語り、沼田さんは、18歳の山口さんの可能性に期待しつつ、信用と信頼の話を紹介してくれました。
「信用は信じて用いる、信頼は信じて頼ると書く。信用は過去の実績が重要で、その人が良い仕事をしてきたかっていうのがすごく重要。信じて頼るって書く信頼は、この人は逃げないだろうなっていう未来の希望です。僕は今、信用より信頼を積んだ方がいいと思う。できるだけ多くの人を最初に信頼するように努めるといいことあるかなと思います。」
約50人に囲まれ、未来に向かって、道を切り開く若者の代表として、メインスピーカーとして、セッションの中心で、たくさん意見や想いを語った山口さんが、こうセッションを締めくくってくれました。
「自分の問いに対してこんなにも多くの人が考えてくれるのがすごく嬉しくて、楽しくて、普段の生活では考えていなかったことがどんどん飛び交ってきて、少し頭がパンク気味です。今悩んでいる時期をもらっている環境自体にも、本当にありがたいなと思えて。きっと自分みたいに悩んでいる人たちもいると思う。今回、ここで編まれたものをちゃんと島に持って帰って、その人たちと、この続きを編んでいきたい。今日はありがとうございました。」
セッション終了後も、それぞれロースタリー 東京を巡りながら、トークは続きました。コーヒーの力を借りて、カジュアルに話が始まり、新しい未来を創造する。「AMU インスピレーション ラウンジ」で行われた初めてのセッションは、その思いが具現化され、さまざまな立場の人たちの意見が編まれ、新たなアイデアや気づきが生まれました。今後もテーマを変えて、セッションは続きます。社会に前向きな影響をもたらすアクションを、ここ、「AMU インスピレーション ラウンジ」から生み出していきます。
【プロフィール】
佐々木 裕子
株式会社チェンジウェーブ代表取締役社長、株式会社リクシス代表取締役社長CEO。日本銀行、マッキンゼーを経て、「変わりたくても変われない」組織や人の後押しをする「変革屋」として起業。企業を中心に組織・事業・ビジネスモデル変革などのコンサルティング、実行支援など400社以上の実績を持つ。近年では無意識バイアスラーニングツール「ANGLE」の設計・監修や教員の働き方改革プロジェクトに携わるほか、IT系介護ベンチャーであるリクシスを立ち上げ、多様な変革を広げている。著書に「21世紀を生き抜く3+1の力」ほか。
山口 結衣
島根県立隠岐島前高等学校3年。倉敷市出身。高校から島根県立隠岐島前高校に「島留学」。よく食べ、よく笑い、よく話すことが生きがい。私を「生き生き、ワクワク」させてくれるのが島での生活。充実した毎日を送っています。この島生活の中で気付いた自分の好きなことは、色んな人と話すことと、色んな妄想を膨らませること。昔から変わらない好きなことは、甘いものを食べることと、冒険チックなことをすること。
沼田 尚志
スーパーイノベーター、ヤフー株式会社 SR推進統括本部、パーソルキャリア株式会社 doda編集部、株式会社テレビ東京コミュニケーションズ、株式会社ドットライフ、ムトナ株式会社。1981年東京都生まれ。1996年、脳梗塞で半身麻痺となる。3年間の空白期間後、通信制高校、大学を経てNTT東日本に入社。2017年ヤフーへ転職。副業で10社のChief Innovation Officerを務める。本業のかたわら新ビジネスに関わるイノベーターの祭典「しんびじ」を主催。
篠田 真貴子
経営職を経て、現在充電中。慶應義塾大学経済学部卒、米ペンシルバニア大ウォートン校MBA、ジョンズ・ホプキンス大国際関係論修士。日本長期信用銀行、マッキンゼー、ノバルティス、ネスレを経て、2008年10月に(株)ほぼ日(旧・東京糸井重里事務所、2017年3月JASDAQ上場)に入社。2008年12月より、2018年11月まで同社取締役CFO。「ALLIANCE アライアンス―人と企業が信頼で結ばれる新しい雇用」監訳。
松田 恵示
東京学芸大学副学長。専攻は、社会学(教育・スポーツ)。技術革新を軸とした社会変化を観点として、教育事象ならびに遊び文化や子ども文化、身体文化について、遊戯論と社会意識論の立場から研究。主な編著書として、「教育支援とチームアプローチ」(書誌クラルテ)「交叉する身体と遊び-あいまいさの文化社会学-」(世界思想社)など。現在、教育再生実行会議技術革新ワーキング委員(内閣府)、中央教育審議会教員養成部会臨時委員(文科省)、超教育協会「AIと教育」ワーキング委員、日本協働教育支援学会理事、体育・スポーツ政策学会副会長などを務めている。
石塚 綾子
スターバックス リザーブ(R) ロースタリー東京 パートナー(従業員)。システムエンジニアリングを経験したのち、ワーキングホリデー先のカナダのカフェで日本とは違う「働く従業員」と「カスタマー」の関係性の違いにふれる。カナダでの体験がきっかけで2009年スターバックスに契約社員として入社。様々な出会いの中でブラックエプロンを取得し、コーヒーセミナーなどを通してコーヒーの啓蒙活動に力を入れる。スターバックスの環境への取り組みを通して、自ら2018年よりNPO団体「プラスチックフリージャパン」に協力する取り組みとしてステンレスストローの普及に力を入れる。
【AMU TOKYO】
人々が社会にインパクトを与えるような対話を行い、世の中に発信していくための場所です。 「AMU(編む)」という言葉に込められたコンセプトは、多様な人や価値観がつながり、情熱が一つになる、というスターバックスがこれまでずっと大切にしてきた想いをベースにしたものです。さまざまな人の想いや情熱がつながり、編まれることで、新たなアイデアやクリエーションが生まれるきっかけをつくります。それを積み重ねていくことで、革新的なコミュニティを作り、社会により良い変化を起こしていきます。コーヒーを楽しみながら、つながりを生み出し、より良い未来のために、一人ひとりがどう行動すべきか、考えます。
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