柏の葉IoTビジネス共創ラボ、ヘルスケアプロジェクトの実証実験開始/IoT技術を活用し、患者の行動フローを自動で可視化し、待ち時間の改善へ
■プロジェクト概要
本プロジェクトでは、センスウェイが提供する個別識別タグと滞留計測器を使い、病院内の患者の行動フローの人流把握を行います。滞留計測器の周辺に個別識別タグが近づくと、自動的に近づいたことを記録していきます。この機能を活用し、患者が診察の際に持ち運ぶ受診票ファイルに個別識別タグをつけ、病院内の複数地点に設置された滞留計測器で、患者の院内における位置情報を自動的に記録・蓄積します。患者の滞留箇所の場所と時間帯を抽出することにより、患者の待ち時間などのストレスの緩和や、診察件数の増加を目指していきます。
今後日本では、人口の高齢化に伴う外来患者の増加や、医療従事者自身の高齢化に伴い医療財源が不足していくことが予測されています。しかし、限られた財源の中で病院の新築・改築等による患者サービスの改善は難しく、現在の資産を効率的に運用することで病院の機能拡張を行うことが求められています。今回のIoT技術を用いたセンシング技術は、患者だけなく医療従事者の就業状況把握や検体等の搬送にも展開することができるため、今後あらゆる側面に利用できる解析手法として高い有用性と将来性が期待されています。
■実施の背景
本プロジェクトは、IoTの普及や活用、IoT関連ビジネスの機会創出を目指す「柏の葉IoTビジネス共創ラボ」のヘルスケア・ワーキンググループにおけるプロジェクトであると同時に、柏の葉キャンパスを舞台として民間企業等の新たな製品・サービスの社会実装段階における実証プロジェクトの受け入れをする「イノベーションフィールド柏の葉」のひとつでもあります。
三井不動産とセンスウェイは、IoTのための無線通信技術のひとつであるLPWA(Low Power Wide Area)のLoRaWAN TM ※1を用いて、柏の葉キャンパス駅をはじめ、つくばエクスプレス沿線エリア一帯にIoT実証フィールド環境を整えています。LoRaWAN TMは低消費電力・長距離通信が可能なセンサーであり、この度、国立がん研究センター東病院でのデータ取得においては、LoRaWAN TMとBLE(Bluetooth Low Energy)というIoTの重要な通信技術を活用し、簡単・低コストでの導入運用を実現できるシステムを構築しています。
また、柏の葉キャンパスでは、本年より三井不動産、柏市などが中心となって「柏の葉スマートシティコンソーシアム」を組成しており、「AI/IoT等の新技術や官民データをまちづくりにとりいれたスマートシティ」を推進する国土交通省のスマートシティモデル事業へ選定されています。「柏の葉スマートシティコンソーシアム」では、民間データ・公共データが連携したデータプラットフォームを構築し、AI/IoTなどの新技術の導入により、データ駆動型の「駅を中心とするスマート・コンパクトシティ」の形成を目指しております。本プロジェクトは、このスマートシティモデル事業の「ウェルネス」カテゴリのプロジェクトの一つとなっており、国立がん研究センター東病院もコンソーシアム参加施設のひとつです。
本プロジェクトにおける患者の人流把握を踏まえ、今後は患者の待ち時間の街での過ごし方の提案や、駐車場やバスの送迎時間通知などの交通案内等にもサービスを連携させるなど、AI/IoTを活用したまちづくりに繋げていく予定です。また、本プロジェクトをモデルケースに他都市での展開も行い、社会課題の解決へ取り組んでいきます。
参考リリース:https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/news/2019/0605_02/
※1 LoRaWAN™:全世界で500以上の通信キャリア・企業が加盟するLoRaAlliance™により、規格・仕様が策定されているグローバルでオープンなIoT向けの無線規格。IoTのための無線通信技術(LPWA)の1つで、従来の通信技術に比べ少ない消費電力で長距離通信できるのが特徴。
■各組織・プロジェクト概要
〇センスウェイ株式会社 (URL: https://www.senseway.net/)
センスウェイは、IoTに必要なLPWAのLoRaWAN TMによるセンサーネットワークを提供する事業者です。柏の葉キャンパス含む柏市ではサービス開始当初からいち早く設備展開しており、すでに大きなカバーエリアでサービス提供をしております。柏の葉キャンパスでは、IoTの先進事例構築と事業化実現の為の実証を多数行っております。
〇三井不動産株式会社 (URL: http://www.kashiwanoha-smartcity.com/)
三井不動産は、千葉県柏市のつくばエクスプレス「柏の葉キャンパス」駅周辺エリアにおいて、2005年から「柏の葉スマートシティ」として、まちづくり事業を進めています。世界の課題を解決するまちづくりモデルを創出することを目指し、「環境共生」「健康長寿」「新産業創造」の3つのテーマのもと、公・民・学の連携による様々な取り組みが行われています。「新産業創造」においては、まち全体で多世代・多分野・多国籍の人々やさまざまなステージの企業がつながることによってイノベーションを起こし、新産業を創造する都市の実現を目指しています。
〇柏の葉IoTビジネス共創ラボ (URL : https://innovation-field-kashiwanoha.jp/iot-lab/)
「柏の葉IoTビジネス共創ラボ」は、IoTの普及を目指す「IoTビジネス共創ラボ」(事務局:日本マイクロソフト株式会社 幹事企業:東京エレクトロン デバイス株式会社)の地域グループです。AI/IoT活用に欠かせない世界基準のLPWA(LoRaWAN™)環境を、「柏の葉キャンパス」をはじめ、つくばエクスプレス沿線エリア一帯に構築されたIoT実証フィールド環境を活用して、柏市を中心とした近隣地域へのIoTの普及や活用、IoT関連ビジネスの機会創出を目指して2018年6月に設立しました。ラボでは、コミュニティの醸成、最先端技術や情報の共有、事業化と実証の支援、まちの課題解決を中心に活動しています。
〇イノベーションフィールド柏の葉 (URL : https://innovation-field-kashiwanoha.jp/)
「イノベーションフィールド柏の葉」はAI/IoTおよびライフサイエンス・メディカルの2分野にフォーカスを絞り、「公・民・学」連携により柏の葉の街を舞台にした実証プロジェクトの受け入れを一括して行い、新たな製品・サービスを共に生み出していく実証プラットフォームです。2019年2月より正式にプロジェクトを通年で募集開始しており、採用プロジェクトに対しては、実証フィールドの提供者や行政、協業企業等、関係者とのコーディネーションや技術相談、メンタリング等の総合的な支援を行うことで、柏の葉エリアを中心とした新産業の創造や社会課題の解決に取り組んでいます。
〇柏の葉スマートシティコンソーシアム
人・モノ・情報が集まりやすい柏の葉キャンパス駅中心の圏域の特性を活かし、民間データ・公共データが連携したデータプラットフォームを構築し、AI/IoTなどの新技術の導入により、データ駆動型の「駅を中心とするスマート・コンパクトシティ」の形成を目指して、柏の葉アーバンデザインセンター(UDCK)と三井不動産、柏市の3組織が幹事を担当し「柏の葉スマートシティコンソーシアム」を設立しました。「柏の葉スマートシティコンソーシアム」では、スマートシティ実現に向けた4つのモデル事業に取り組んでおり、その一つの「ウェルネス」にて国立がん研究センター東病院が参加しています。
参考リリース:https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/news/2019/0605_02/