世界一のフロマジェ、ファビアン・デグレ氏が語る「コンテ」の魅力
キーワードは「多様性」と「連帯」
コンテは、フランスでは知らない人がいないほどのフランスを代表する熟成ハードチーズ。フランス産AOP(原産地呼称保護)チーズの中で最大の生産量を誇ります。デグレ氏は日本のチーズショップで10年間勤務した後、半年間コンテの熟成庫でチーズの専門家、フロマジェとしての経験をさらに積み、今年からはチーズコンサルタントとしてフランス国内外で活躍しています。
デグレ氏は「コンテの特徴は、一つとして同じコンテは存在しないという無限の多様性です。コンテの原料は牛の無殺菌乳であり、その牛が食べている草は季節やその年の天候、標高などによって異なります。添加物を一切使わずに作られるコンテにはそれがダイレクトに反映されるため、ワインと同じようにテロワールが非常に重要です。もちろんチーズ職人や熟成士などの作り手や熟成期間によっても違いがあり、そのような様々な要素によってコンテの多様な風味が生まれるのです。」と述べ、4種類の異なるコンテのテイスティングセッションを行って下記のようにコメントしました。
またコンテの生産の特徴としてデグレ氏は「連帯」を挙げ、次のように説明しました。「コンテは年間60,000トン以上も生産されていますが、決して大量生産ではなく、伝統を重んじ、2,500軒の酪農家、そして150軒のフリュイティエールと呼ばれる協同組合のチーズ工房、そして16軒の熟成庫と、ジュラ山地一帯の地域の皆が協力し、丹精をこめて作っています。テロワールの多様性を最大限に引き出すため、ミルクはチーズ工房の直径25㎞圏内の複数の酪農家から集められます。一般的にフランスでは酪農家が厳しい経済状況に追い込まれることもありますが、コンテの場合は全く異なり、チーズの利益を皆で分け合うシステムのため、酪農家はコンテの生産者として高品質のミルクを生産し、フランス国内の平均的な農家よりも高い収入を得ています。」
次におつまみとして、穏やかな風味のコンテにメープルシロップやナッツ、塩、胡椒を混ぜたスパイスをトッピングしてミルクの風味を際立たせたり、レッドレモンやスパイスで和えた海老とコンテを合わせたり、フルーティーなコンテと柿を合わせてチーズの甘さをより引き出したり、と絶妙な組み合わせ提案を行い、参加者を驚かせました。またコンテと同様に天然の微生物で醸された寺田本家の「純米80香取」という生酛造りの無濾過酒とのマリアージュも好評を博しました。
デグレ氏は、「コンテは熟成すればするほど美味しくなるという訳ではありません。それぞれのコンテにベストなタイミングがあり、良い頃合を過ぎてしまうと苦味などマイナスの風味も出てしまいます。熟成士はそれぞれのチーズ玉の状態を確認しながら、船便の輸送期間も加味して最適な出荷タイミングを図っているのです。日本では長期熟成コンテが珍重されがちですが、フランスで食べられているコンテの平均熟成期間は8ヶ月です。若めのコンテは塩分が100g中0.8gと、他のハードチーズに比べても塩分が少ないため、飽きずに色々な食材や飲み物と合わせられ、生産地では各家庭1週間で1㎏消費するほど多く食べられています。」と説明し、最後に「自然の恵みを受けて多くの人々の手によって丁寧に作られたコンテも、チーズショップや家庭などでの最後の管理が疎かだと品質が台無しになってしまいます。ハードチーズなので一般的には長く持つチーズですが、水分量が少ないので酸化しやすく、乾燥して硬くなると本来のアロマが十分に感じられません。薄くスライスするとすぐに乾燥してしまうので、ある程度厚くカットして鼻から抜けるアロマも楽しんでください。その際、風味が開くように室温に戻して召し上がって頂きたいですが、汗をかいてしまうと旨味も一緒に出てしまうのでご注意ください。」と、チーズを深く愛するが故のこだわりを語り、会を締めくくりました。
コンテチーズ生産者協会は、このようなセミナーなどの活動を通じて今後も日本にコンテの多様性や高い品質を訴求していきます。
「コンテ」は、フランス東部、フランシュ・コンテ地方で職人が丹精をこめて作っている熟成ハードチーズ。添加物を一切使わない、自然そのままの味わいと豊かな風味が魅力で、フランス産AOP(原産地呼称保護)チーズの中で最大の生産量を誇ります。フランスでは朝食からおやつ、料理やワインのおつまみにと、子供から大人まで広く親しまれており、日本でもチーズ愛好家の間で大変人気があります。
コンテチーズ生産者協会 日本連絡事務所 (株)旭エージェンシー内
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