アストラゼネカカリウム吸着剤ZSの用量反応試験で日本の高カリウム血症患者さんの血清カリウム値の有意な低下を示す

アストラゼネカ株式会社

血清カリウム値の低下は治療開始後、速やかに発現 第52回米国腎臓学会議レイトブレイキングポスターセッションにて発表

アストラゼネカ株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役社長:ステファン・ヴォックスストラム、以下、アストラゼネカ)は、同社が開発するカリウム吸着剤ZS(ジルコニウムナトリウム環状ケイ酸化合物、以下、ZS)が、日本の成人の高カリウム血症患者さんに対する用量反応試験において、日本の高カリウム血症患者さんの血清カリウム値を、プラセボとの比較で速やかかつ有意に低下させたという良好な結果が得られたことを、第52回米国腎臓学会議(カリフォルニア州・サンディエゴ)のレイトブレイキングポスターセッションで10月25日に発表しました。

ZSは選択性の高い経口カリウム吸着剤です。今回発表した試験は、平均血清カリウム値が高値(平均5.1- 6.5 mmol/L)の成人患者さんを対象に、ZS5gまたは10g、またはプラセボを1日3回、2日間投与し、48時間以内に血清カリウム値を正常値に低下させる最適な用量を検討した、日本単独の第II/III相ランダム化多施設共同二重盲検プラセボ対照試験です。その結果、治療開始から48時間までの血清カリウム値の対数スケールでの単位時間当たりの変化(exponential rate of change)は、プラセボ群と比較して5g投与群で-0.00261、10g投与群で-0.00496(共にP<0.0001)でした。血清カリウム値の低下は、10g投与群では治療開始後1時間から認められ、48時間後に血清カリウム値の正常域(平均3.5-5.0 mmol/L)に達した患者さんは5g投与群で85%、10g投与群で92%、プラセボ投与群で15%であり、プラセボ群に対するオッズ比は5g 群で46.5、 10g 群で 71.8と、ZS投与群において改善を示しました(共に nominal P < 0.001)。ZSの安全性プロファイルは、これまでに海外で実施された試験で得られたものと同様の結果でした。1

高カリウム血症は、循環器、腎および代謝疾患に伴い血清カリウム値が上昇した病態で、重篤な症状をきたすことがあります。高カリウム血症は、慢性腎臓病(CKD)患者さん、および血清のカリウムレベルを増加させるレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)阻害剤などの心不全(HF)治療薬を服用している患者さんにおいて、発症率が大幅に高まります2,3。高カリウム血症の再発を防ぐために、RAAS阻害剤による治療が最適に行われず、減量されたり中止されることがありますが、それによって既に明らかとなっている心血管系や腎臓に対する保護効果が損なわれ、死亡リスクが高まる可能性が指摘されています3,4

本試験の治験統括医を務めた、一般社団法人日本腎臓学会理事長で、川崎医科大学 副学長 腎臓・高血圧内科学の柏原 直樹教授は、次のように述べました。「本邦には、成人の約8人に1人にあたる約1,300万人のCKD患者さん5がいますが、腎機能が低下すると血中のカリウム値が上昇し、患者さんの自覚症状がないまま、致死性の不整脈や心不全などの心疾患および脳血管疾患のリスクが高まります。食事療法によるカリウム摂取制限だけでは十分に血中カリウム濃度を下げられない患者さんには、速やかかつ高いカリウム低下効果をもたらす薬物治療が必要とされていることから、ZSが患者さんの治療に貢献する可能性が本試験結果によって示されました。」

アストラゼネカ執行役員 研究開発本部長の谷口 忠明は、次のように述べました。「日本の成人の高カリウム血症患者さんを対象とした本試験において、海外で得られたデータと同様の速やかな効果発現と安全性が確認でき大変うれしく思います。カリウムコントロールが必要な日本の患者さんにもZSをお届けできるよう、引き続き尽力してまいります。」

ZSは、米国および欧州で販売承認を取得していますが、本邦では未承認です。
以上
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高カリウム血症について
高カリウム血症は、CKD患者さんおよび血清のカリウムレベルを増加させるRAAS阻害剤などの心不全治療薬を服用している患者さんにおいて発症率が大幅に高まります。高カリウム血症は、慢性腎疾患、心不全のいずれか、もしくは両疾患の既往がある患者さんの23~47%に発症し、それぞれの推定患者数は世界中で2億人および3,800万人です。高カリウム血症は心停止を引き起こし死に至る可能性があり、重篤になると致死率は最大30%になると言われています。

ZSについて
ZSは不溶性かつ非吸収性のジルコニウムナトリウム環状ケイ酸化合物で、選択性の高いカリウム吸着剤として作用する、経口懸濁用の粉末製剤です。本剤は無味無臭で室温保存できる経口投与製剤です。成人の高カリウム血症患者さんを対象に、3つの二重盲検プラセボ対照試験および1つの12カ月非盲検試験を実施しています。海外において、ZSでの治療はZS10gを1日3回投与で開始することが推奨されています。血清カリウム値が正常域に達した後は、ZS5gの 1日1回投与が推奨されますが、正常値の維持を目的としたZS10gの 1日1回投与までの増量、あるいはZS5gの 隔日投与までの減量も認められています。本邦ではZSの第III相試験を実施中です。ZSは本邦では未承認です。

アストラゼネカの循環器・腎・代謝領域(CVRM)について
循環器・腎・代謝疾患はアストラゼネカの主要治療領域のひとつであり、重要な成長ドライバーです。心臓、腎臓、膵臓などの臓器の基本的な関連性をより明確に解明するサイエンスを追求し、疾患進行の抑制やリスク減少、合併症の抑制による臓器保護と予後の改善をもたらす医薬品のポートフォリオに投資をしています。当社は、循環器疾患をもつ世界中の何百万人もの患者さんの健康と、治療法の進歩に貢献する革新的なサイエンスを継続的に提供し、CVRM疾患の治療・進展抑制、さらには臓器及びその機能の再生の実現を目指しています。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、循環器・腎・代謝疾患、および呼吸器の3つの重点領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。当社は、100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttp://www.astrazeneca.com または、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をフォローしてご覧ください。

References
1 Naoki Kashihara, Toshiki Nishio, Takeshi Osonoi et al. “Correction of Serum Potassium with Sodium Zirconium Cyclosilicate in Japanese Patients with Hyperkalemia: A Dose-Finding Study”, Poster presentation at: American Society of Nephrology Kidney Week 2018; Oct 2018, San Diego CA, Abstract # TH-PO1157)
2 National Kidney Foundation. "Clinical Update on Hyperkalemia." 2014. Accessed 8 May 2018. https://www.kidney.org/sites/default/files/02-10-6785_HBE_Hyperkalemia_Bulletin.pdf.
3 Kuijvenhoven MA, Haak EA, Gombert-Handoko KB, Crul M. Evaluation of the concurrent use of potassium-influencing drugs as risk factors for the development of hyperkalemia. Int J Clin Pharm. 2013 Dec;35(6):1099-104.
4 Epstein M, Reaven NL, Funk SE, McGaughey KJ, Oestreicher N, Knispel J. Evaluation of the treatment gap between clinical guidelines and the utilization of renin-angiotensin-aldosterone system inhibitors. Am J Manag Care. 2015 Sep;21(11 Suppl):S212-S220.
5 CKD診療ガイド2012、日本腎臓学会、2012  https://cdn.jsn.or.jp/guideline/pdf/CKDguide2012.pdf
Clinical Practice Guidebook for Diagnosis and Treatment of Chronic Kidney Disease 2012, the Japanese Society of Nephrology, 2012. Last accessed 22 October 2018. https://cdn.jsn.or.jp/guideline/pdf/CKDguide2012.pdf

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