昭和大学、関西医科大学、筑波大学の研究グループが発表 -- デュアン症候群(DRS)と巣状糸球体硬化症(FSGS)を合併する稀少疾患(DRS-FSGS)の責任遺伝子MAFBの同定

昭和大学

昭和大学医学部内科学講座腎臓内科学部門藤が丘病院腎臓内科の佐藤芳憲助教、関西医科大学内科学第二講座の塚口裕康講師、筑波大学医学医療系の高橋智教授らの共同研究グループは、先天性の眼球運動障害の原因となるデュアン症候群(DRS)と巣状糸球体硬化症(FSGS)とを合併する、まれな患者(DRS-FSGS)の病因を次世代シークエンス技術を用いて解析し、腎ポドサイトと脳神経の発生・機能を調節する転写因子MAFB遺伝子のDNA結合領域の変異が原因であることを突き止めた。  佐藤芳憲助教、塚口裕康講師、高橋智教授、京都大学ゲノム医学センターの松田文彦教授、日笠幸一郎准教授(現・関西医科大学附属生命医学研究所・ゲノム解析部門学長特命教授)らのグループは、DRSとFSGSを併発する2家系・3患者の遺伝情報を解析。同一のMAFBのp.Leu239proミスセンス変異(1塩基の変異によりアミノ酸が別のものに入れ替わる)を同定した。  また、ゲノム編集CRISPR/Cas9技術 を用いて作成した遺伝子変異導入マウスでも同様の腎臓の病変を観察。今後このマウスを用いた研究による病態解明と治療開発が期待される。  なお、この成果は国際腎臓学会の学会誌『Kidney International』電子版に5月17日付で公表された。 ※詳しくは添付のプレスリリースを参照。 ■用語 ・デュアン症候群(DRS:Duane Retraction Syndrome)  1905年、米国の眼科医Alexander Duaneにより最初に記載された、水平眼筋麻痺による斜視症候群。1,000人に1人の頻度で発症し、全斜視の原因の約1~5%を占める。 ・巣状糸球体硬化症(FSGS:Focal Segmental Glomerulosclerosis)  大量のタンパク質尿を主徴とするネフローゼ症候群の1病型で、血液ろ過に機能する腎糸球体に巣状(全ネフロンの中で一部:focal)、かつ分節性(糸球体の中で一部:segmental)に、血管構造の破綻(硬化像)を認めることが特徴。一般にステロイドが効きにくく、臨床的にはステロイド抵抗性ネフローゼとも呼ばれる。 ・MAFB(v-maf musculoaponeurotic fibrosarcoma oncogene homolog B)  腎糸球体ポドサイド、単球、内耳有毛細胞などの文化・器官形成に働く転写因子の一つ。ヒトでは染色体20q12に位置し、323アミノ酸でコードされる。N端側の転写活性化領域、C端のDNA結合領域から構成される。 ■発表論文  Transcriptional Factor MAFB Mutation Causes Focal Segmental Glomerulosclerosis with Duane Retraction Syndrome  Sato Y*, Tsukaguchi H*, Morita H, Higasa K, Tran MTN, Hamada M, Usui T, Morito N, Horita S, Hayashi T, Takagi J, Yamaguchi I, Nguyen HT, Harada M, Inui K, Maruta Y, Inoue Y, Koiwa F, Sato H, Matsuda F, Ayabe S, Mizuno S, Sugiyama F, Takahashi S, Yoshimura A(*共同第一著者) ■共同研究チーム(敬称略)  昭和大学医学部腎臓内科学・藤が丘病院腎臓内科(佐藤芳憲、小岩文彦、吉村吾志夫)、関西医科大学内科学第二講座(塚口裕康)、附属生命医学研究所ゲノム解析部門(日笠幸一郎)、筑波大学医学医療系(高橋智、濱田理人、臼井俊明、杉山文博, 森戸直紀、水野聖哉)、京都大学ゲノム医学センター(松田文彦、山口泉)、愛知医科大学・内分泌代謝学(森田博之)、理化学研究所実験動物開発室(綾部信哉)、帝京大学医療技術学部視機能矯正学科(林孝雄)、東北大学大学院・薬学研究科・臨床薬学分野(佐藤博)、東京医科歯科大学・臨床解剖学(原田理代)、京都大学・大学院医学研究科・分子生体制御学分子細胞情報学(堀田彰一郎) ▼本件に関する問い合わせ先 ・学校法人昭和大学 医学部内科学講座・腎臓内科学部門・藤が丘病院腎臓内科  助教 佐藤芳憲  〒227-8501 神奈川県横浜市青葉区藤が丘1-30  TEL: 045-971-1151  E-mail: a472519983@med.showa-u.ac.jp ・学校法人関西医科大学 内科学第二講座  講師 塚口裕康  〒573-1010 大阪府枚方市新町2-5-1  TEL: 072-804-2517  E-mail: tsukaguh@takii.kmu.ac.jp ・学校法人関西医科大学 附属生命医学研究所ゲノム解析部門  学長特命教授 日笠幸一郎  〒573-1010 大阪府枚方市新町2-5-1  TEL: 072-804-2623  E-mail: higasako@hirakata.kmu.ac.jp ・国立大学法人筑波大学医学医療系解剖学・発生学研究室  教授 高橋智  〒305-8575 茨城県つくば市天王台1-1-1  TEL: 029-853-7516  E-mail: satoruta@md.tsukuba.ac.jp ▼本件リリース元  学校法人 昭和大学 総務課 広報担当  TEL: 03-3784-8059 【リリース発信元】 大学プレスセンター https://www.u-presscenter.jp/

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