こども服や、子どもの姿が描かれた絵画・版画・写真などを通して、時代につれて変遷してきた子ども観の歴史を辿ります
■開催概要
こどもがどんな服を着ているのかは、大人たちが「こども」という存在をどう認識しているのかを反映しています。一人前になるまでの過渡期と捉えられているのか、大人とは異なる存在として愛されるのか――。小さな体を包む服装から、その時代・その社会に求められた「こどもらしさ」が伝わってくるのです。
消耗が激しく、良い状態で保存されている資料の少ないこども服ですが、本展では西洋の18世紀から20世紀初頭にかけての貴重な例と、明治以降の日本の洋装こども服を展示。その他、絵画、ファッションプレート、絵本、写真など150点余りからこどもの装いの変遷をたどります。オートクチュールの作品などによる作り手側の歴史とは異なる、着る人着せる人の心を読み解くファッション史です。
(基本情報)
展覧会タイトル:こどもとファッション 小さい人たちへの眼差し
英文タイトル:Fashion for Children Changing views on childhood
会期:2016年7月16日(土)–8月31日(水)
会場:東京都庭園美術館(本館・新館)
休館日:第2・第4水曜日
開館時間:10:00–18:00(入館は閉館の30分前まで。)
観覧料:一般:1,100(880)円
大学生(専修・各種専門学校含む):880(700)円
中・高校生・65歳以上:550(440)円
*( )内は前売りおよび20名以上の団体料金。
*小学生以下および都内在住在学の中学生は無料。
*身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳をお持ちの方とその介護者一名は無料。
*教育活動として教師が引率する都内の小中・高校生および教師は無料(事前申請が必要)。
*第3水曜日(シルバーデー)は65歳以上の方は無料。
*前売り券e+(イープラス)にてオンライン販売いたします。
http://eplus.jp
主催:公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都庭園美術館、読売新聞社、美術館連絡協議会
協賛:ライオン、大日本印刷、損保ジャパン日本興亜、日本テレビ放送網
年間協賛:戸田建設株式会社
会場情報
東京都庭園美術館|東京都港区白金台5–21–9
[目黒駅]JR 山手線東口/東急目黒線正面口より徒歩7分
[白金台駅]都営三田線/東京メトロ南北線1番出口より徒歩6分
TEL. 03-3443-0201 FAX. 03-3443-3228
www.teien-art-museum.ne.jp
■展覧会の見どころ
・庭園美術館では7年ぶり、待望のファッション展
1997年「パリ国立オペラ座衣装展」、1999年「パリ・モード1870-1960」など、当館ではファッションをテーマにした展覧会をたびたび開催し、ご好評いただいてきました。来館者のみなさまからも「ファッションの展覧会をまたやってほしい」というリクエストをいただきます。今回は2009年「ポワレとフォルチュニィ」展以来、7年ぶりの開催となります。
・日本初公開を含む、貴重なこども服コレクション
こども服は着用されると消耗が激しく、良い状態で残されていることが非常に少ない資料です。しかし本展では、イギリスやフランスの由緒ある家などから30年以上かけて収集された個人のコレクションから、選りすぐったこども服約30点をご紹介します。そのほとんどが日本初公開です。一番古いものは、1730ー1755年頃の女児用ワンピース・ドレスです。
また日本のこども服に関しては、大正期の男児服と女児服を長野県須坂市の田中本家博物館から、昭和初期の女児服を神戸ファッション美術館からご出品いただきます。丁寧な仕立ての洋服を大切に着ていたことが伺える、状態の非常にいいものです。
※西洋に関しては、こども服と成人の服の違いや共通点などを見るために、参考として大人の服装も展示します。
・繊細なディテール
こども服とは言っても、今回出品される西洋のこども服はアッパークラスやアッパーミドルクラスなど、貴族や裕福な家柄のこども達のもの。丹念な手刺繍やレース刺繍など、ディテールが実に見事です。今回はご出品者のご協力のもと、露出展示(ガラスやアクリルのケースに入れない展示手法)でご覧いただけます。
・知らなかった!ファッションの歴史
「西洋では1920年代まで男の子もドレスを着る習慣があった」「西洋では18世紀まで赤ちゃんを包帯のような布でぐるぐる巻きにしていた」など、現在の常識から見ると不思議な事実も紹介されています。ちょっとした雑学を知る楽しみもありますし、年齢や性別による違いに対する考え方が、歴史的な視点から相対化される面白さもあります。
・魅力的なイラストレーション
本展ではこども服そのものの展示に加え、子どもの姿が描かれた絵画やファッションプレート、絵本なども展示をします。中でも19世紀後半のこども達のファッションに絶大な影響を与えたといわれるケイト・グリーナウェイや、さまざまなポーズや服装のこども達をユーモラスに描いたルイ=モーリス・ブテ・ド・モンヴェルのイラストレーションは、本当に可愛らしく眺めているだけで楽しい作品です。(復刻版などを展示室内に閲覧できるコーナーを用意します)
・和服から洋服へ
西洋のこども服の歴史は、大人のそれと軌を一にして変遷しているかと思うと、こども服が大人の服に影響を与えることもあったりと、なかなか複雑です。それに比べると、本展で紹介している日本のこども服の洋装化の歴史は、単純すぎるように見えるかもしれません。
和服にエプロンや帽子などの洋装小物を取り入れることから始まり、こども達は大人よりも早く洋装化します。自分は和服なのに洋服を着た青い目の人形を背負っていたり、洋服を着ているのに顔の画風は浮世絵のようであったりと、アンバランスな状況も、変化の時代をそのまま表していると見ることができるでしょう。一見単純な変化が、ジワジワと広がり定着していく様子を、多くの資料から読み解いていきます。
・カタログとオリジナルグッズも充実!
ファッション史の概説本はたくさんありますが、こども服に焦点を当てた本はこれまで日本では出版されておらず、本展カタログはほぼ唯一の日本語文献となります。これまで巡回した2会場でも売り切れとなった展覧会カタログ、ぜひ早めにご来館の上、お買い求めください。
展覧会カタログ「こどもとファッション 小さい人たちへの眼差し」
定価:2300円(税込)ミュージアムショップにて販売(通信販売可)
*巡回展カタログのため、東京展には展示されていない作品も含まれます。
その他、ポストカードやマスキングテープなどのオリジナルグッズも制作予定です。
・ウェルカムルームで写真撮影
本館受付右奥にあるウェルカムルームでは、展覧会の内容にあわせたプログラムを行っています。「こどもとファッション」展では、塗り絵などのワークシートの他、展示作品を着ているような写真を撮影できるフォトプロップを用意します。展示室内での撮影はお断りしておりますが、ウェルカムルームでは自由に撮影ができますので、来館記念にぜひどうぞ。お一人でご来館の場合は、スタッフがお手伝いをいたします。
・世界は広い!多様な文化の子育て映像
「こどもとファッション」展は、社会における「こども観」の変化をファッションの変遷から読み解く展覧会です。展覧会でご紹介しているのは、近代化以降の西洋と日本という限られたサンプルですが、多様な社会において多様な「こども観」、多様な家族観、多様なこどもとの接し方があるはずです。
本展では、新館ギャラリー2において、「エンサイクロペディア・シネマトグラフィカ」という1950年代ドイツの国立科学映画研究所ではじまったプロジェクトによる人類学記録映像から、アフリカ、オセアニア、南米の子育て風景を収めた映像を上映します。
■関連プログラム
(一般向け)
・講演会 7月23日(土):
「子どもは愛されたのか?ヨーロッパの子ども服の歴史」
・ギャラリートーク 8月5日(金):
夜間開館のひとときを好奇心いっぱいに過ごす大人対象のギャラリートーク
・ギャラリートーク 8月12日(金):
夏の宵をのんびり過ごす大人対象のギャラリートーク
・みんなで作るギャラリー・カンバセーション 7月29日(金)8月8日(月):
「『こども』を哲学する」事前申込制
(子育てクラスタ向け)
・講演会 7月23日(土):
「子どもは愛されたのか?ヨーロッパの子ども服の歴史」 託児事前申込制
・「あかちゃんとおさんぽ」 7月24日(日):
生後3~12ヶ月の赤ちゃんと家族 事前申込制
・ギャラリートーク 8月19日(金):
小学校中学年・高学年を対象としたギャラリートーク
・ギャラリートーク 8月26日(金):
乳幼児連れの家族対象のギャラリートーク
・あーととあそぶにわ 8月5日(金)8月6日(土):
幼児~小学校低学年対象
・みんなで作るギャラリー・カンバセーション8月8日(月):
「『こども』を哲学する」小学生以上 事前申込制