長時間透析・深夜透析・オンラインHDF / 腎代替療法を知る(1)施設透析

NPO法人 腎臓サポート協会

NPO法人腎臓サポート協会では、会報誌『そらまめ通信』の送付やホームページ『腎臓病なんでもサイト』などを通じて、腎臓病の皆様に役立つ情報を提供しています。 今回は、さまざまな種類の腎代替療法をご紹介します。ご存知の通り、慢性腎臓病(CKD)が進行して腎臓機能が10%以下になると、透析を筆頭に腎臓の代わりとなる治療をはじめる必要があります。第一回目は施設で行う透析について、名古屋大学腎臓内科・CKD講座の安田宜成先生にお話を伺いました。抜粋してご紹介します。 ―――――――――――――――――――― 腎臓の機能がどんどんと低下して正常の10% 未満となると、食事療法や薬ではコントロールできなくなり、心不全や吐き気、食欲低下、カリウムが高くなるなどの重大な問題が起こり、透析治療や腎移植をおこなわないと生命が維持できなくなります。日本では毎年約3 万8000 人の患者さんが新たに透析治療を始めています。透析治療には血液透析と腹膜透析があり、日本では約31 万人が血液透析、約1 万人が腹膜透析の治療を受けています。 ■長時間透析・深夜透析とは ―――――――――――――――――――― 標準的な血液透析は、透析施設で週に3 回、1 回4 時間です。日本の透析治療はとても優れているので、日本の透析患者さんは欧米の患者さんよりも長生きできることが分かっています。しかし人間の腎臓は1 日24 時間働き続けているのに対して、標準的な透析治療は1 週間のうちわずか12 時間しか腎臓の役目をしません。健常者により近い状態になるためには、もっと長時間の透析をおこなうべきだという考え方があります。 1 回6 時間以上透析をすることを長時間透析といいます。標準的な血液透析でも患者さんは月・水・金曜日か、火・木・土曜日に透析施設で1 回4 時間の透析を継続して受ける必要がありますが、長時間透析では患者さんの拘束時間がさらに長くなることが問題です。 そこで夜眠っている間に透析治療をする深夜透析をおこなう施設もあります。ある透析施設では患者さんは夜8 時から10 時に透析をはじめ、翌朝4 時から6 時まで約8 時間の深夜透析をおこなっています。血液透析中は血圧が下がるなどの体調変化が起きやすいので、深夜透析を安全におこなうためには、患者さんの状態が良好であることと同時に、透析施設でもさまざまな工夫をしています。 ■オンラインHDF とは ―――――――――――――――――――― また透析時間は同じでも、透析の効率を高める治療方法もあります。血液ろ過透析(HDF)は、透析に加えてろ過をおこなうことで、中くらいから大きな毒素や老廃物をより多く取り除くことができます。2012 年からHDF 治療を受ける患者数は増えています(図)。 HDF のなかでもオンラインHDF は透析液をろ過液として使用する治療法で、ろ過液量を40L 以上にまで増やすことができます。オンラインHDF では透析液が体内に入るため、透析液をよりきれいにする必要があります。 今後は、長時間透析やオンラインHDF などにより、透析患者さんの治療成績がさらに改善することが期待されています。 ―後略― ※この記事は、会報誌『そらまめ通信 Vol.82 診察室から』からの抜粋です。 ■会報誌「そらまめ通信」のご紹介 http://www.kidneydirections.ne.jp/support/soramame/index.html 『そらまめ通信』は、ただ今Vol.83を発刊中! 当協会の会員にご登録いただいた皆様に、無料で配布しております(偶数月発行)。 ご覧になりたい方、ぜひ無料会員にご登録ください。 (ホームページでは「そらまめ通信」の一部がお読みいただけます。)

【本件に関するお問い合わせ先】
NPO法人 腎臓サポート協会
info@jin-support.org

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