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NPO法人腎臓サポート協会では、会報誌『そらまめ通信』の送付やホームページ『腎臓病なんでもサイト』などを通じて、腎臓病の皆様に役立つ情報を提供しています。
今回は、慢性腎臓病(CKD)の治療において患者さんの心強いパートナーであり、腎臓専門医との連携して治療を進める「町の開業医」・「かかりつけ医」の先生方の役割ついて、日本臨床内科医会学術部腎・電解質班班長 内藤内科クリニック院長 内藤 毅郎 先生にお話を伺いました。抜粋してご紹介します。
■慢性腎臓病(CKD)の現状
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CKDとは尿異常(タンパク尿など)や腎機能障害が3か月以上続いている状態を指しています。現在、わが国にはこのCKDの患者さんが千数百万人もいると推定されていて、いまや「新たな国民病」とまでいわれています。
また腎臓病が長く続いた結果として腎臓がほとんど働かなくなり透析療法を受けている患者さんは総数約31万人、新たに透析療法を始める患者さんは毎年3万人以上もいらっしゃいます。CKD患者さんには脳卒中や心筋梗塞などの心臓血管系トラブルが数多く発症することが知られており「慢性腎臓病は腎臓障害だけでは済まない」ことも知っておく必要があります。
CKDは健康診断でおこなわれる尿検査でタンパク尿などの異常により発見されることが多いのですが、初期にはあまり自覚症状がないので、残念ながら受診や精密検査を先送りしてしまう人が多いという現状があります
■腎臓専門医とかかりつけ内科医の連携
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このようにCKDは患者数がとても多いのですが、日本腎臓学会に登録されている腎臓専門医は4,000人余りで、専門医のドクターだけですべての患者さんの治療をおこなうことは困難です。
そこでより広く“町の開業医”、“かかりつけ医”の先生方に治療していただく必要がありますが、日本のかかりつけ内科医の先生方は、もともと心臓病や胃腸病がご専門であったりして、必ずしも腎臓病診療に詳しくない先生も多いのが実情です。
したがって、それぞれの地域の腎臓専門医と十分に連絡を取り合って治療を進めていく必要があります。一方でかかりつけ内科医の先生方は患者さんの状態を日頃から全般的に把握することができるので、医療だけでなく福祉サービスの面からもサポートしていただけるというメリットがあります。
■日本臨床内科医会の活動
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日本臨床内科医会(日臨内)は主としてかかりつけ内科医が所属する全国組織で、47都道府県に約15,000人の会員がいます。日臨内には学術調査や研究・教育をおこなっている学術部があり、腎・電解質班では会員に向けたCKD啓発活動など腎臓病診療の向上をめざした活動をおこなっています。
平成24年~25年にはわが国で初めてのCKD診療に関する全国調査をおこない、いまCKD診療がどういう状態になっているかについて地域別に、また医師の専門領域別に、詳しく調査しました。その結果、全国のかかりつけ医がそれぞれの地域で腎臓専門医と良好な関係を築きながらCKD診療に日々ご努力されていることがわかりましたが、問題点もいくつか見つかってきました。一例をあげると、患者さんが診療所を初めて受診された際に、ほぼ全例に検尿をおこなっていると回答した医師は3~4割程度でした。
「初診時検尿」の実施率が低いことは、受診率がまだまだ低いわが国の検診事情とあわせて考えると非常に大きな問題で、早期診断の機会を逸してしまう可能性があります。また尿タンパクの定量検査の実施についてもまだ不十分でした。そこであらためて尿検査の重要性を呼びかけるため、平成26年6月に「かかりつけ内科医に向けたCKD診療に関するステートメント」を発表し、各種のマスコミにも取り上げられました。
―後略―
続きはぜひこちらからお読み下さい。
http://www.kidneydirections.ne.jp/support/soramame/school/no81.html
※この記事は、会報誌『そらまめ通信 Vol.81 腎臓教室』からの抜粋です。
■会報誌「そらまめ通信」のご紹介
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