超小型衛星「MAGNARO-II」を研究開発 ~複数の衛星による宇宙の力を使った編隊飛行の実証実験~ 名古屋大学 2026年03月13日 17:20 【本研究のポイント】 ・編隊飛行において推進剤や軌道制御機器を使用しない超小型衛星「MAGNARO-II」(マグナロ-II)を研究開発した。 ・本衛星は、軌道上で二つに分離し磁気や空気による力といった人工衛星が受ける力を利用し、人工衛星の編隊を形成し維持する技術の実証実験を行う。 ・軌道制御機器を使用しないことから、余裕ができたスペースに望遠鏡やミッション用の通信機といったミッション機器を搭載でき、推進剤の残量を考慮する必要がないため、従来よりも長期にわたる編隊維持が期待される。 ・本衛星のこれまでの研究開発により得られた知見により、名古屋大学が代表機関として実施しているJAXA宇宙戦略基金 高精度衛星編隊飛行技術「半永久的 Software Defined 編隊飛行と宇宙 MIMO 通信への展開」を推進し、より柔軟かつ長期間にわたる編隊飛行といった技術の高度化と宇宙通信システムへの応用を進める。 【研究概要】 名古屋大学大学院工学研究科の稲守 孝哉 准教授らの研究グループは、衛星編隊飛行において宇宙の力を用いる4.2 kgの超小型衛星(キューブサット衛星)MAGNARO-II(MAGnetically separating NAno-satellite with Rotation for Orbit control-II)を研究開発しました。 本衛星は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の革新的衛星技術実証4号機の実証テーマの一つとして、Rocket Lab社のElectronにより打ち上げられる予定です。本衛星では、地球の磁場により得られる力で衛星をスピンさせて、適切なタイミングで二つの衛星を分離することで編隊を形成し、空気の力を使い編隊を維持する技術実証実験を行います。 【研究背景と内容】 昨今、複数の衛星を連携させる編隊飛行による新しい宇宙利用が期待されています。その際に重要となるのが、複数の衛星の相対位置を調節する編隊飛行技術です。従来では、宇宙環境による外乱の影響を受けやすい小型の衛星において、軌道制御機器が必要となりますが、電力、質量、スペースの制約が厳しく全ての小型の衛星で搭載できるわけではなく、複数機のミッションに必要な軌道制御機器の搭載が小型の衛星ほどより厳しくなる傾向にあります。 本研究グループでは、宇宙環境からの外乱を抑圧するのではなく、その外乱の特性に着目し理解を深めることで、宇宙環境を利用して衛星の編隊を形成し維持する、という新しい発想のもと研究を進めてきました。これまでの研究成果を軌道上で技術実証するため、超小型衛星MAGNARO-II(MAGnetically separating NAno-satellite with Rotation for Orbit control-II)を研究開発しました。 MAGNARO-IIはMAGNARO-II – Tigris(ティグリス)とMAGNARO-II – Piscis(ピスキス)から成り、打ち上げ時には磁気の力によりこれらの衛星が接続されています。衛星には磁気トルカ(電磁コイル)が搭載されており、地球磁場と作用させることでトルクを発生させ姿勢をスピンさせます。衛星の機上で自律的に姿勢と軌道の決定を行い適切に分離させ編隊を形成します。さらに、姿勢制御で衛星の正面面積を変えることで空気抵抗を調整し編隊を維持します。これらの編隊形成や維持における編隊飛行技術の軌道上実証実験を実施する予定です。 編隊飛行に宇宙の力を用いて軌道制御機器を使用しないため、小型の衛星でありながら衛星内にスペースを確保することが可能となります。今回、そのスペースを活用し、IoTデバイスとの通信のためのミッション通信機や望遠鏡などのミッション機器を搭載して軌道上での実験を予定しています。 本衛星は、JAXAの革新的衛星技術実証4号機の実証テーマに選定されており、Rocket Lab社のElectronにて打ち上げられる予定です。 【成果の意義と今後の展望】 MAGNARO-IIにおける研究開発で得られた知見を基に、名古屋大学は代表機関としてJAXA宇宙戦略基金 高精度衛星編隊飛行技術「半永久的Software Defined編隊飛行と宇宙MIMO通信への展開」を連携機関である芝浦工業大学、情報通信研究機構(NICT)、名古屋工業大学、三菱電機株式会社、明星大学、早稲田大学と共に推進しています。本プロジェクトでは、小型の衛星を対象に、ソフトウエア定義型で推進剤フリーの編隊飛行技術を目指しさらなる研究開発を進めるとともに、宇宙MIMO通信への応用を目指すものです。一基の衛星から複数基の衛星を分離・展開し、宇宙環境および衛星コンポーネント間の相互作用や共用を活用することで、小型の衛星でありながら実用に耐える編隊飛行を実現することを目標としています。さらに、宇宙MIMO通信により通信容量を向上させ、多数のIoTデバイスが宇宙と接続可能な新たな宇宙システムの構築を目指すものです。今回のMAGNARO-IIの研究開発で得られた知見を基に、より柔軟かつ長期間にわたる編隊飛行技術の高度化と宇宙通信システムへの応用につながることが期待されます。 MAGNARO-II 分離状態での電気動作確認試験 野外での搭載望遠鏡による撮像試験 MAGNARO-IIと地上局とのかみ合わせ試験 ▼本件に関する問い合わせ先 名古屋大学総務部広報課 TEL:052-558-9735 FAX:052-788-6272 メール:nu_research@t.mail.nagoya-u.ac.jp 【リリース発信元】 大学プレスセンター https://www.u-presscenter.jp/
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