実践女子大学で24日に作家・佐藤春夫の遺品の受贈式典。13000点以上が遺族から出身の和歌山県新宮市に

実践女子大学

 大正期浪漫主義の旗手として活躍し、詩と小説の両分野において戦後にいたるまで文壇を牽引した作家・佐藤春夫(1892~1964)の旧蔵資料が、遺族の髙橋百百子氏より和歌山県新宮市立佐藤春夫記念館に寄贈されることになり、受贈式典が1月24日、実践女子大学渋谷キャンパスで遺族・新宮市長・実践女子大学学長らが出席して行われます。記録・保存のためデジタル撮影した新資料(挿絵原画・執筆資料・原稿・書簡等)だけで13000点以上に及びます。太宰治が芥川賞の受賞を望み、選考委員だった佐藤に懇願した書簡などがこれまでの調査でわかっており、今後、多くの文壇資料の発見が期待されます。 高村光太郎作の肖像画や芥川賞を望む太宰治の佐藤に宛てた書簡など  今回寄贈されるのは、和歌山県立近代美術館に保管中で、高村光太郎が若き佐藤を描いた「佐藤春夫像」(油彩画1914年)および実践女子大学に保管中の佐藤春夫資料一式(写真カット数13253枚分ほか)。  これらの資料は、佐藤春夫の長男佐藤方哉氏(1932~2010)が保管していたもの(一部は甥の竹田龍児氏(1908~1994)保管分を含む)で、2010年方哉氏没後、髙橋百百子氏(龍児氏長女・1941~)・牛山百合子氏(佐藤春夫研究者・1929~2020)・河野龍也氏(東京大学准教授/実践女子大学客員研究員・1976~)が、実践女子大学の支援を受けて整理を進めてきました。調査の過程で、芥川賞を懇願する太宰治の4mにおよぶ書簡(2015年報道)、佐藤春夫の1904年中学進学前後の日記(同)、芥川龍之介との親交を示す新出書簡(2022年報道)、太宰治の病状を報告する井伏鱒二の書簡(2023年報道)など発見が相次ぎ話題となりました。太宰治書簡は1935年~36年にかけて佐藤春夫に送られた43通(うち撮影済み42通)が確認されています。 今後「佐藤春夫デジタル文庫」を開設へ  実践女子大学は2022年8月、新宮市立佐藤春夫記念館と連携協定を結び、研究協力関係にあることから、今回の受贈式の会場を提供することになりました。大学図書館・文芸資料研究所を中心に、今後「佐藤春夫デジタル文庫」を開設する計画もあります。  寄贈された資料は式典後、新宮市(新宮市立佐藤春夫記念館)の帰属となり、一部は2026年秋に移転開館予定の佐藤春夫記念館の展示に活用されます。ただし当面は、現在資料を保管している和歌山県立近代美術館(高村光太郎油彩画)と実践女子大学(佐藤春夫資料一式)が管理を代行します。 谷崎、芥川ら著名な作家と幅広い交流。近年、海外からも注目され  佐藤春夫は新宮市出身。1918年に小説「田園の憂鬱」でデビュー。谷崎潤一郎、芥川龍之介との交流や、井伏鱒二、太宰治、戦後は第三の新人など幅広い人脈を誇り「門弟三千人」と称されました。1960年には文化勲章を受章しています。近年では「女誡扇綺譚(じょかいせんきだん)」(1925年)ほか1920年の台湾旅行関連作品や、漢詩漢文の自由訳、魯迅の翻訳紹介に先鞭をつけたことなど、文化交流に果たした役割が海外からも注目され、2020年には台湾文学館で特別展が開催されました。 河野龍也・東京大学准教授/実践女子大学客員研究員のコメント  新宮市立佐藤春夫記念館は文京区関口にあった旧邸を移築して1989年に開館したもの。当時、記念館には春夫長男の方哉(まさや)氏から春夫の遺品が寄贈されたが、書簡や原稿、絵画資料等のうち未整理のものが佐藤家にはまだ多数残されていた。方哉氏の没後、資料の調査を進めてきた。2026年、記念館が新宮市内で移築再開されるにあたり、春夫の故郷である新宮のために役立てたいと、ご遺族が資料の寄贈を決断された。実践女子大学による調査協力も継続される。近代文学を代表する作家の貴重な資料をこれだけの規模で散逸させずに保管されてきたご遺族の努力に敬意を表したい。  1927年に竣工した佐藤春夫邸は第二次世界大戦中の空襲被害に遭わなかった。戦前からの文壇資料が失われず残っていたのは極めて貴重。特に佐藤春夫は近代文学者では屈指の人脈を誇る。生涯にわたって受け取った手紙には、近代の文壇史が凝縮されている。春夫の師である与謝野鉄幹・生田長江・馬場孤蝶・永井荷風をはじめ、同世代の芥川龍之介・谷崎潤一郎・堀口大学・室生犀星、門弟であった井伏鱒二や太宰治など、年代や顔ぶれも豊か。書簡の分析から、文壇の人間関係で新しく分かることも多いだろう。  今回の寄贈品に、文学資料と美術資料が含まれていることも注目される。文学資料で大正期から晩年に及ぶ原稿の下書きが貴重。作品の推敲過程が分かる。特に大正期のものは記念館にもほとんど所蔵されていなかった。美術資料では高村光太郎による若き日の春夫像、石井柏亭による表紙絵原画、谷中安規の版画、島田訥郎の挿絵原画のほか、春夫自身によるデザイン案も残されている。今回の資料から、文学と美術の垣根を超えて芸術活動に取り組んだ春夫の全体像がさらに明らかになっていくことに期待したい。 【佐藤春夫資料受贈式典】 日   時:1月24日10:00-10:30 会   場:実践女子大学渋谷キャンパス(東京都渋谷区東1-1-49)501教室        その後、17階会議室(ファカルティラウンジ)にて展示資料を見学 出 席 者:髙橋百百子氏、上田勝之・新宮市長、辻本雄一・佐藤春夫記念館長、難波雅紀・実践女子大学学長、河野龍也・東京大学准教授/実践女子大学客員研究員ほか 芥川賞を懇願する太宰治の書簡 高村光太郎作の佐藤春夫像 挿絵入りの芥川龍之介書簡 ▼本件に関する問い合わせ先 実践女子学園 経営企画部 広報課 住所:東京都渋谷区東1-1-49 TEL:03-6450-6837 メール:koho-ml@jissen.ac.jp 【リリース発信元】 大学プレスセンター https://www.u-presscenter.jp/

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