神戸女学院大学が2025年4月新設予定の「生命環境学部(仮称・設置構想中)」取材会を実施 ― 建築や情報科学などの新分野を開設し、文理を超えてウェルビーイング社会に貢献する女性を育成



神戸女学院大学(兵庫県西宮市)は2月20日、2025年4月に新設予定の「生命環境学部(仮称)」に関するメディア向け取材会を実施した。当日は、現在すでに同大で教鞭をとっている高岡素子教授、高橋大輔教授、西靖特別客員教授に加え、24年4月に着任予定の高木俊人氏、新設される建築分野のアドバイザーを務めている京都工芸繊維大学准教授の笠原一人氏を招き、新学部の魅力についての説明および出席者によるトークセッションを実施した。
※「生命環境学部(仮称)」は設置予定・構想中です。名称・内容などは予定につき、変更される場合があります。





■2025年4月に新設予定の「生命環境学部(仮称・設置構想中)」取材会を開催
 神戸女学院大学では2025年4月に、「生命環境学部」の新設を予定している。2月20日、同学部について初となるマスコミ向けの取材会を開催した。
 当日はまず、高岡教授により新学部の教育方針が語られ、「今、時代は、経済活動のみの追求ではなく、ウェルビーイングの実現に向けた取り組みが切実に求められている。私どもの教育の目標は、リベラルアーツ教育により、文理を超えた総合知を学び、キリスト教主義によってノン・シビ『利他の精神』を身につけ、大学で得た専門力を用いて広くウェルビーイング社会に貢献する女性を育成することです」と、女性の活躍を願うコメントがあった。

■「文系選択者もチャレンジ出来る理系学部」新設へ
 学部説明のセッションでは、高橋教授が学部概要について説明。同学部では全ての分野で役立てることができる「データサイエンス」を身につけたうえで、「環境科学」「生命科学」「情報科学」「サイエンスコミュニケーション」の多様な分野を自由に学ぶことができる。
 また、高校で文系・理系どちらを選択していても受験が可能で、文系科目で受験した入学者には、数学をはじめとする理系の基礎となる科目を学習できるカリキュラムが提供される。
 これらの取り組みについて高橋教授は、「生命環境学部は理系学部だが、理系というと"数学が苦手だから"とチャレンジしてこなかった方も多いのでは。しかし、例えば生命環境学部で用いる数学は、受験数学とは全く異なる。入学後、自分の興味のある分野を学ぶために数学に取り組むことは、とても魅力的なことだと思う。高校で文系を選択した方でも、興味と意欲があれば生命環境学部にチャレンジし、サイエンスの世界で羽ばたいてほしい」と述べた。

■生成系AIや建築・環境保全・食品など多様な科目を用意
 続く各分野の説明では、着任予定の講師陣から、それぞれの専門分野に関する説明があった。
 データサイエンス担当の高木氏は、昨今の情報化社会やAI技術について「現代は例えば生成系AIを用いて文字情報から映像が作れる時代。高度な情報技術について倫理面も含めて深く考え、自分で判断して情報を取捨選択し、正しく利用することが大切」とコメント。新学部で学ぶ学生たちに向けて、情報科学を学ぶことの意義を述べた。

 建築を担当する予定の笠原氏は、「建築学は一般的に工学に分類されているが、構造解析など工学に分類される要素以外に、法規、人間心理、人間の生活実態等を学ぶことが必要な文理横断の総合的な学問である。人間の行動や心を深く理解し、人間にとってより良い環境を作ることを目指すリベラルアーツの典型的分野である」と語り、また、多くの校舎が国の重要文化財にも指定されている神戸女学院のキャンパスで建築学を学ぶことについては、「建物自体を教材にして、"古いものを活かしながら時代に合った要素を付け加え、ヘリテージ建築を現代に生かし続ける"ということを学べる、理想的環境である」と、新学部で新たに取り入れられる"建築分野"への期待を表明した。
 また、新しい建築分野は、国家資格である二級建築士の受験資格を得られるように基礎的な建築学をすべて学べるようなプログラムになっているが、中でも2つのテーマに力点を置いている。1つは建築史や歴史的建築物の保存再生、もう1つは木造・木質建築である、と付言があった。

 環境学を担当する高橋教授は、神戸女学院大学で学ぶ環境学について説明。「生命多様性を保つことは、ウェルビーイングに欠かせないことである。800種もの動植物が生きる岡田山の身近な自然のフィールドで研究ができるのは、とても恵まれたことである」と、キャンパス自体が最良の教材になることについて言及があった。

 高岡教授は、担当する生命科学について「食品の分析を行うと共に、食品が人間に与える影響を、実験を通して追求している。また、研究の成果を生かし、新たな商品の開発も行っている。身近な『食べ物』を切り口に、人間について深く学べる分野である」と、これまでの研究成果などと絡めながら、生命科学分野の魅力について語った。

 最後に、コミュニケーション論を担当する西特別客員教授は、自身の報道の現場での経験などを交えながら、知識を"伝える"ことの重要性について話し、「生命環境学部で学んで知識を広げた上で、それを社会で役立たせてウェルビーイングを増進するためには、事実を正確に認識することも含めたコミュニケーション能力が欠かせない」と、新学部の目標であるウェルビーイングに関連付けて、コミュニケーション能力の重要性を強調した。

■リベラルアーツとは"人間"を総合的に学ぶこと
 会の最後には「理系を志望する女性へのメッセージ」と題し、トークセッションを実施。昨今の情報社会について高岡教授は「SNSが普及するなかで、見たものをすぐに信じてしまう人も増えた。論理的思考で情報を正しく見極める力を養うことの重要性を感じている学生も多いのでは」とコメント。これを受け、データサイエンス、情報科学が専門の高木氏は「現代は生成系AIなども出現して情報が多様化、複雑化している。種々雑多な情報の中から価値ある情報を自分で見つけ出すことが求められているので、論理的思考力はより重要であると考えている」と、高岡教授に賛同した。

 笠原氏からは、建築分野と絡めながら「工学としての建築学を学ぼうとして物理や数学で受験をしても、本当に建築を学ぶには、"人間"についてありとあらゆることを総合的に学び、考えることが必要であることに気づくはず。そこに文理の垣根は存在しない。新学部における建築の学びは、総合的な知を学ぶことの象徴的な意味を持つのではないか」とコメントがあった。高岡教授はこれを受けて「リベラルアーツというと抽象的で少々難しく聞こえてしまうが、笠原氏の言う"総合的な知"ひいては"生きていくための人間学"を学ぶことだと捉えていただけると嬉しい」と、新学部とそこでの学びの意義について改めて言及した。

※「生命環境学部(仮称)」は設置予定・構想中です。名称・内容などは予定につき、変更される場合があります。

<登壇者プロフィール>
●高橋大輔 神戸女学院大学教授
 環境・バイオサイエンス学科所属。動物生態学専攻。
 生態系の基盤となる生物多様性を保全するために生態学領域の研究を行う。兵庫県の淡水域や里山をフィールドに魚類や水生昆虫をはじめ様々な動物を対象として、繁殖行動や生活史、生息場所の利用パターン等その生態を明らかにしつつ、地域における生物多様性の現状や具体的な保全策について積極的に発信している。

●高木俊人 神戸女学院大学専任講師(予定)
 環境・バイオサイエンス学科(2024年4月着任予定)
 遺伝情報を用いて野生生物の進化の歴史や集団動態を明らかにする分子生態学的研究を行う。奈良公園のニホンジカをはじめ野生哺乳類を研究対象として、遺伝解析やゲノム情報からの新規遺伝マーカーの開発なども行い、野生生物の保護管理や保全対策に関する知見を蓄積している。

●高岡素子 神戸女学院大学教授
 環境・バイオサイエンス学科所属。食の科学専攻。
 高岡研究室では発酵食品やアミノ酸などの食品成分の身体の中での働きについて研究。学生とともに食品会社や化粧品会社との共同開発などを積極的に行っている。

●西靖 神戸女学院大学特別客員教授
 環境・バイオサイエンス学科所属。コミュニケーション論専攻。
 情報番組『ちちんぷいぷい』の総合司会や報道番組『VOICE』のメインキャスターを担当。現在、毎日放送総合編成局アナウンスセンター長。持続可能性のある社会の実現に関連したコミュニケーションを身につけることを目標とし、授業ではジャーナリズム論、コミュニケーションについて教鞭をとる。

●笠原一人 建築分野アドバイザー
 1998年に京都工芸繊維大学大学院博士課程を修了し、現在同大デザイン・建築学系の准教授を務める。また、2010年から2011年までオランダのデルフト工科大学建築学部で客員研究員として活動した経験を持つ。専門分野は近代建築史と建築保存再生論で、近代建築を中心とした歴史研究と歴史的建築物の保存、活用、改修に関する理念や方法についての研究教育で活躍中。『関西のモダニズム建築』(共著、2014年、淡交社)『建築と都市の保存再生デザイン』(共著、2019年、鹿島出版会)など著書多数。現在、神戸女学院大学の建築分野編成に関するアドバイザーを引受けている。


▼本件に関する問い合わせ先
神戸女学院大学 入学センター・広報室
三枝(さえぐさ)、竹内(たけうち)
住所:〒662-8505 兵庫県西宮市岡田山4-1
TEL:0798-51-8585
FAX:0798-51-8583
メール:koho@mail.kobe-c.ac.jp


【リリース発信元】 大学プレスセンター https://www.u-presscenter.jp/

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