海藻製品摂取に関する「昆布の栄養機能研究会」の見解

国立がん研究センターなどによる多目的コホート研究(JPHC研究)において、閉経後の女性で海藻の摂取頻度が高い人は低い人と比較して、甲状腺がんになるリスクが高いという研究報告が行われました。(European Journal of Cancer Prevention 2012年21巻254-260ページ)
本研究は、1990年と1993年にアンケート調査を行い、2007年まで追跡した調査結果に基づいて、海藻摂取と甲状腺がん発生との関係について調べたものです。閉経後女性でのみ、海藻摂取が甲状腺がんのリスクが上昇したという結果が得られ、その理由については、海藻に含まれるヨウ素が関与することが推察されています。しかし、海藻摂取頻度のアンケートは、「週2回以下」、「週3~4回」、「ほとんど毎日」という内容であり、今回の調査ではヨウ素摂取量の推定を行うことは困難であり、直接、ヨウ素の摂取量と甲状腺がん発生との関連は検討できないことも報告されています。

ヨウ素の耐容上限量(ほとんどすべての人々が、健康障害をもたらす危険がないとみなされる習慣的な摂取量の上限量)については、すでに厚生労働省から「日本人の食事摂取基準(2010年版)」で2.2 mg/日(成人)であることが発表されています。
今回の研究報告や耐容上限量などを聞くと、昆布を代表とする海藻食品を一体どれほど食べて良いのか心配になるかもしれませんが、通常の食生活であれば、特段の注意をはらう必要は全くないと考えられます。
以下に、当研究会の見解、およびその理由をあげます。

【見解】
健康な人(特に甲状腺機能等に異常がない)であれば、バランスのとれた食事のなかで、昆布をはじめとする海藻製品を普段よりも多少多めに摂ったとしても、全く問題はないと考えます。

【理由】
(1) 「日本人の食事摂取基準(2010年版)」によると、日本人のヨウ素摂取量は1日当たりの平均値として約1.5 mg/日であると推定されている。過剰摂取による症例報告としては、この量の18倍以上のヨウ素を毎日約1年間にわたって摂取した59歳の女性の報告があるが、他に昆布などの海藻製品の食べ過ぎによる明確な健康被害例がない事。

(2) 耐容上限量(成人)2.2 mg/日の設定については、安全率がみられている。日によっては、海藻食品の多食により、この値を超えても問題のないことが報告されている事。

(3) 日本人は、古来より昆布などの海藻食品を食べており、摂取量の少ない外国人と比較して、ヨウ素を体内に蓄積しにくく、過剰摂取の影響を受けにくいと考えられている事。

(4) いろいろな食材(特に大豆など)を食べていることにより、ヨウ素が蓄積されにくい事が知られており、特に和食においてはヨウ素蓄積が抑制できている事。

(5) 昆布などの海藻食品は、ミネラルや食物繊維、DHA/EPA、カロテノイド類などが豊富なすぐれた食品である。今回の研究報告等で必要以上に警戒して、摂取量を減らすことは、日本人の健康にとってむしろマイナスになると考えられる事。

【注意点】
但し、注意点としては、ダイエットなどの目的で食生活のバランスを大幅に崩してまで、海藻製品を異常に大量に食べるべきではないと考えます。また、甲状腺障害のある方は主治医にご相談して下さい。

昆布の栄養機能研究会 会長
東京海洋大学特任教授
「食の安全と機能(ヘルスフード科学)に関する研究」プロジェクト
矢澤 一良


<本件に関するお問合せ先>
昆布の栄養機能研究会 事務局
Email: info@kombu-labo.jp
お問合せフォーム:https://www.kombu-labo.jp/inq/index.html

この企業の情報

組織名
昆布の栄養機能研究会
ホームページ
http://www.kombu-labo.jp
代表者
矢澤 一良
資本金
0 万円
上場
非上場
所在地
〒650-8558 兵庫県神戸市中央区港島中町6-13-4昆布の栄養機能研究会事務局
連絡先
078-303-5385

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