*本リリースは、AUDI AG配信資料の翻訳版です。
- 新型Audi A5の生産開始に向けた最新設備と最適化された生産プロセス
- 車両生産におけるエネルギー消費の削減と持続可能な水資源の利用
- 最高の品質基準を実現する高度な自動化レベルと革新的技術の導入
(ドイツ本国発表資料)2024年7月16、ネッカーズルム:新型Audi A5ファミリーは、プレミアムプラットフォームコンバッション(PPC)に基づく、部分的に電動化された駆動システムと新しい電子アーキテクチャを備えた最初のモデルとして、ネッカーズルムの生産ラインから出荷されています。フォーリングスのブランドであるアウディは、持続可能性を追求した車両生産を進めています。「360factory」生産戦略に沿って、2025年からネッカーズルム拠点で製造されるすべてのモデルをネットカーボンニュートラルにすることを目標にしています。これを達成するために、アウディはより効率的な生産ライン、高度な自動化、および革新的技術を導入しています。改装された塗装工場は、2025年以降、自動車業界で最も先進的な工場の一つとなる予定です。
新型Audi A5の生産がネッカーズルムで始まり、工場の歴史上最大のスタートアップフェーズが始まりました。「内燃機関を搭載した車両の生産における長年の経験と、複雑な立ち上げの専門知識があるネッカーズルムチームには、理想的な条件が整っています」と、AUDI AG生産および物流担当取締役 ガード ウォーカー(Gerd Walker)は述べています。アウディ ネッカーズルムの工場長 フレッド シュルツェ(Fred Schulze)は、「新型Audi A5ファミリーのために、ネッカーズルムのスタッフは、新しいシステムと自動車生産技術に関する新しい資格を取得しました。同時に、将来に対応できる生産工場のインフラも整えました」と加えます。アウディ ネッカーズルムの労働組合議長ライナー シルマー(Rainer Schirmer)も自信を示し、「ネッカーズルムの従業員は複雑な状況にも対応でき、柔軟性があります。これらのスキルを活かし、この拠点とアウディの成功に貢献します」と述べました。
フォーリングスブランドであるアウディの未来の生産に対するビジョンは、このように形を成しつつあります。同社は工場を持続可能な形で操業するために、近代化、デジタル化、そして変革を進めています。2025年までに、ネッカーズルムを含む全てのアウディの生産拠点は、CO2ニュートラルな生産を達成する予定です。
改装された塗装工場で大幅なエネルギー消費削減
2025年に完成予定の、ネッカーズルム拠点の改装される塗装工場は、自動車業界で最も先進的なものの一つとなります。多くのプロセスが既に最適化され、環境に優しい手法がAudi A5の生産に導入されています。長きにわたりアウディは持続可能な水性塗料を標準として使用していますが、最新モデルでは新しい塗装プロセスも導入しています。これまでのフィラーはプリゾーンペイントという塗料に置き換えられ、まだ乾いていない塗料の上に、さらに湿った塗料を重ねて塗る方法、ウェット・オン・ウェット(湿式乾燥)が可能となるために、これまで必要とされていたフィラーの別乾燥工程が不要で、車両1台あたり最大140 kWhの節約という大幅なエネルギー消費の削減を可能にしました。
アウディはネッカーズルムで、腐食防止のための最新かつ効果的な方法を採用しています。例えば、カソード電着塗装では、回転プロセスを使用して車体をタンク内で逆さまに浸し回転させます。これにより、気泡形成や汚れの付着を最小限に抑え、より省スペースかつ徹底的な処理が可能になります。また、カソード電着塗装の乾燥には、よりエネルギー効率の高い新しいプロセスが使用されています。従来の外部乾燥プロセスの代わりに、空気が車内に吹き込まれ、車体の内部から加熱する、いわゆる横方向乾燥プロセスが使用されます。この横方向乾燥機は、エネルギー効率が高いだけでなく、将来の電動モデルやハイブリッドモデルの強化された床構造にも適しています。
アウディは新しい塗装分離プロセスにより、車両1台あたり約50 kWhのさらなるエネルギー節約を実現しています。以前は、塗装ミストを100%新鮮な空気で集め、水と共に廃棄していましたが、新しい乾式分離プロセスでは、最新のフィルターで塗装ミストを捕捉します。このプロセスでは、フィルターを通った空気の90%以上を再利用でき、エネルギーを多く必要とするフレッシュエアーコンディショニングの必要性を大幅に削減します。同時に、従来の湿式分離とは異なり、新しい水や化学薬品の使用が不要となります。
生産における持続可能な水の利用
アウディは全ての拠点において、貴重な水資源を有効に使用することに責任をもって取り組んでいます。アウディは、2035年までに生産における生態学的にウェイト付けされた水の消費量を、半減させることを目指しています。このため、ネッカーズルム拠点は、隣接するウントレス・ズルムタール(the Unteres Sulmtal)下水処理場を利用した閉ループ水循環システムを活用しています。新しい配管とプラント技術を取り入れたことで、工程用の水を得るために近くのネッカー川から採水する必要がありません。これにより、2025年から淡水資源を最大70%節約することができます。アウディは下水処理場で浄化された水をフィルターシステムとメンブレン(分子分離膜)によりさらにろ過し、その後プロセスで使われた水は再び処理場に戻ります。昨年、アウディはAlliance for Water Stewardship(AWS)に参画し、水の経済的かつ効率的な使用に対する取り組みをあらためて強調しています。
プレミアム品質のための高い自動化レベル
ネッカーズルム拠点は、ボディショップですべての追加部品を完全自動で取り付ける、グループ初の工場です。この方法により、アウディは追加部品のフィッティング精度を向上させ、外的影響を最小限に抑えています。非常に複雑なフェンダーの取り付けには、7台のロボットが同時に使用されます。
アウディの「360factory」生産戦略 の一環として、サプライチェーンではスマートで自動化された素材供給が行われています。各拠点のために自動化ロードマップが作成され、順調に進捗しています。ネッカーズルムは、2014年にアウディとして世界で初めて自由に移動する無人輸送システム(DTS)を導入した拠点です。新型Audi A5の生産開始に伴い、ボディショップでは80%以上の素材が自動で供給されています。
溶接には、自動車ボディ構造における世界初の試みとして、ほぼスモークがでない方法を取り入れています。これは、ドアなどの接着部品を、小さなはんだ付けポイントで取り付け、内外の部品がずれるのを防ぐ方法です。スモークには腐食性があるので、以前は、数えきれないほどあるはんだ付け固定ポイントをすべてきれいにする必要がありました。新しいプロセスでは、回転するガス流により残留物の蓄積がほぼ排除されます。この新しい方法は、従来の技術に比べて2倍以上の速さで作業を進めることができます。
最先端の品質監視技術
ボディショップでの品質管理測定は主にライン上で行われ、車両をラインから外すことなく測定が行われます。新しい測定技術が2つのステーションで使用されています。それぞれのステーションに4台のロボットがあり、測定センサーを使って部品の寸法精度を測定します。測定結果はソフトウェアで評価、視覚化され、従業員に示されます。この新しい技術により、製造されたすべての車両をライン上で直接測定することができます。その結果、測定の回数が大幅に増加し、偏差に迅速に対応できるようになります。高い自動化レベルにより、継続的で途切れることのない品質管理も可能です。
車体検査には、従業員が拡張現実(AR)などの革新的技術を使って行います。市販のタブレットに搭載されたカメラで動作するARアプリが、リアルタイムで確認すべき接続ポイントを表示します。例えば、これにより、溶接シームやポイントが目標とする仕様の通りに存在し、実行されているかどうかを確認し、直接記録することができます。このように、デジタル化によって業務効率が大幅に向上しました。以前は検査員が接着シームの仕様を確認するために多くの手間をかけていましたが、タブレットを使うことでこの作業は数秒で完了します。
∗ CO2 排出量「ネットゼロ」関するアウディの解釈は、アウディの車両や活動によって排出されるCO2をあらゆる削減対策を取り入れた後で、アウディのサプライチェーン、生産、リサイクルにおいて現状存在するCO2および/もしくは現段階では排出が避けられないCO2 は、世界各地で実行する自主的プロジェクトで相殺する(少なくとも量において)というものです。車両の使用段階で排出されるCO2、すなわちお客様へ納車された時点から発生するCO2 排出量は考慮されていません。