兵庫県スポーツ協会と武庫川女子大学は、食を通してアスリートのコンディション維持やパフォーマンス向上をはかる食育プロジェクトをスタートしました。水泳部に所属する学生アスリート15人が被験者となり、食物栄養学科の教員と学生が考案したアスリート向けメニューを半年間、食べ続けます。水泳部の学生らは健康・スポーツ科学部健康・スポーツ科学科の田嶋恭江教授の指導のもと、練習や大会出場を続け、定期的に体調や競技成績にどのような影響があるかを調べます。6月11日のランチから実食をスタートしました。半年間継続します。
兵庫県スポーツ協会は、これまで学校給食を中心に取り組んでいた食育事業をスポーツの領域に拡大し、県民の健康促進に寄与しようとプロジェクトを計画。食や健康に関わる学部を有する武庫川女子大学に協力を呼びかけました。
武庫川女子大学では2022年度から2年間、食物栄養科学部食物栄養学科の小林研究室(小林知未准教授)が水泳部の学生に対し、栄養サポートを実施した実績があります。このときは個別の食事写真をもとに栄養の過不足を指導したため、被験者によって食事内容にばらつきがありました。今回は食物栄養学科の教員らと小林研究室の学生4人が、20歳前後のアスリートに必要なエネルギーと栄養素を備えた献立を作成。兵庫県スポーツ協会が、献立に沿った冷凍弁当を発注し、昼食は15人全員に提供、夕食は下宿生5人に提供します。補食としてマフィンやアイスキャンデーの追加も検討しています。
こうした食事がアスリートのコンディションにどのように影響するかを調べるため、被験者はHRV(心拍変動)を測定する手首装着型のウェアラブルデバイスを装着。HRVの変動で交感神経と副交感神経のバランスを観察するほか、朝食など提供される以外の食事を写真で記録します。また、月1回、練習後の午後5時に体組成やヘモグロビン濃度、骨密度を測定します。
食事は冷凍弁当として提供。電子レンジで解凍すると出来立ての味が戻ります。
この日のメニューは枝豆ごはん、たらの甘酢あんかけ、ブロッコリーとゆで卵のごま和え、里芋となすの味噌煮込み、大学芋。エネルギーは1002㎉、たんぱく質は34.1g、脂質は23.3g、炭水化物は151.1g。
学生たちは「おいしい。おなかがいっぱいになります」とおいしそうに食べていました。
兵庫県スポーツ協会では「開発したメニューが、疲労回復やパフォーマンス向上につながることが分かれば、一般の人用にアレンジして給食の献立に活かしたり、県が行う健康づくりの支援、『食の健康協力店』として参加・登録いただいている飲食店やお弁当の販売店で提供することも考えたい。いずれはレトルト食品での販売や非常食にも展開できれば」としています。
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