AWS、臨床文書を自動で作成する生成系 AI ベースの新サービス、AWS HealthScribe を発表

音声認識機能と生成系 AI を利用して、問診での会話から暫定的な臨床文書を自動で作成する新サービス

3M Health Information Systems、Babylon Health、ScribeEMR など、複数のお客様やパートナーが AWS HealthScribe を利用


※本プレスリリースは、現地時間 2023 年 7 月 26 日に米国で発表されたプレスリリースの抄訳版です。

(ニューヨーク — 2023 年 7 月 26 日)Amazon.com, Inc.(NASDAQ: AMZN)の関連会社である Amazon Web Services, Inc.(AWS)は、ニューヨークで開催されている AWS Summit New York において、HIPAA(補足:医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律)に対応した新サービス AWS HealthScribe を発表しました。同サービスを利用することで、医療ソフトウェアプロバイダーは、音声認識機能と生成系 AI を用いて、臨床文書を生成し、臨床医の時間の節約につながる臨床アプリケーションを構築できるようになります。医療ソフトウェアプロバイダーは、単一の API を用いて、確固たる診療記録を作成し、重要な詳細情報(医学用語や医薬品など)を抜き出して、問診での会話から要約を作成する作業を自動で行い、それらを電子医療記録(EHR)システムに入力できます。Amazon Bedrock をベースとした AWS HealthScribe により、医療ソフトウェアプロバイダーは、2 つの一般的な専門科(総合内科と整形外科)をはじめ、自社アプリケーションに生成系 AI 機能をすばやく簡単に統合できます。その際、基盤となる機械学習(ML)インフラストラクチャの管理や、医療に特化した独自の大規模言語モデル(LLM)のトレーニングを行う必要はありません。AWS HealthScribe は、オリジナルの会話記録から生成されたテキストの各行の出典を示すことで、責任ある AI システムの導入を可能にします。これにより、医師は EHR への入力の前に、臨床記録を容易に確認できるようになります。AWS HealthScribe はセキュリティとプライバシーを最優先して構築されており、データの保存場所はお客様がコントロールできるようになっています。また、転送中および保管中のデータは全て暗号化され、同サービスを通じて生成された入出力データがモデルのトレーニングに使用されることはありません。AWS HealthScribe の詳細については、以下のウェブサイトをご確認ください。
https://aws.amazon.com/healthscribe

生成系 AI によって、医療やライフサイエンスをはじめ、多くの業界で急速に変革が進んでいます。生成系 AI への関心が高まり続ける中、医療ソフトウェアベンダーは、同技術を臨床アプリケーションに応用して、医療業界の臨床医が抱える共通の諸課題を解決しようとしています。最も一般的な課題の 1 つが、問診ごとに臨床文書をまとめる必要があることです。これはコンプライアンスや、品質対策、診療報酬のための重要な作業ですが、複雑な多くの段階を踏むプロセスでもあり、患者を診察する時間がその分少なくなってしまいます。今日、医療ソフトウェアプロバイダーの多くがテキスト読み上げ機能や自然言語処理(NLP)を利用して、このプロセスの効率化を図っています。その一方で、これらのアプリケーションを、記録された会話から簡潔な臨床文書に変え、EHR に入力できるようにするための生成系 AI がない状況が続いていました。なぜなら、生成系 AI の取り扱いは複雑で、複数の AI システムを統合して 1 つのまとまりのあるソリューションにするには、膨大なエンジニアリングリソースが必要だからです。このような生成系 AI 機能を構築するには、プロバイダーは自社の LLM をトレーニング、あるいは微調整して、正確な臨床文書を生成できるようにする必要があります。これには、需要の高い AI の専門家、的確かつ十分な注釈の付いた膨大な量の医療データ、および膨大な計算能力の利用が必要です。それだけでなく、医療用の LLM の場合、さまざまな専門科(総合内科、小児科、整形外科など)にまたがる複雑な医学用語を理解するためのトレーニングを行い、自然な会話を理解、分析、要約し、処方薬の名前と投与量を認識できるようにする必要があります。さらに、これらのソリューションを正しく機能させるために、ソフトウェアプロバイダーは責任ある AI を最優先事項として構築を行わなければなりません。臨床医が生成されたテキストの出典を追跡して、エラーやハルシネーション(幻覚:事実とは異なる内容や、文脈と無関係な出力を生成し得ること)のリスクを軽減できるようにソリューションを設計することが必要です。また、医療ソフトウェアプロバイダーは、これらのシステムが医療業界の厳格なセキュリティとプライバシーの要件を満たしたものになるように、エンジニアリングに時間をかけ、十分なリソースを投入する必要があります。AI ベースのソリューションには臨床医と患者の両方に利益をもたらす可能性があるにもかかわらず、これらの高い障壁ゆえに、医療ソフトウェアプロバイダーがソリューションを迅速に市場投入するのは容易ではありません。

AWS HealthScribe は AI を利用した HIPAA 対応のヘルスケアサービスであり、これによって医療ソフトウェアプロバイダーは、診療記録を取り、メモを生成し、問診の内容を分析するという作業を自動で行うことで、臨床医の時間の節約につなげる臨床アプリケーションを構築することができます。医療ソフトウェアプロバイダーは、単一の使いやすい API により、これらの臨床ソリューションをすばやく開発し、エンドユーザーのための差別化された体験の構築に集中して取り組むことができ、いくつもの個別の AI サービスをアプリケーションに統合し、最適化する必要がなくなります。AWS HealthScribe を臨床アプリケーションに統合することで、医療提供者は組み込みのテキスト読み上げ機能を利用して、話者の役割を特定し、臨床的関連性に基づき記録をカテゴリー(世間話、主観的なコメント、客観的なコメントなど)に分類する、確固とした会話記録を作成できます。そのアプリケーションは AWS HealthScribe の NLP と生成系 AI 機能を利用して、病状や医薬品などの構造化された医学用語を抽出し、関連する詳細情報(重要な事柄、受診理由、現在の病気の履歴など)を含む会話ベースのメモを生成します。臨床医はこれらを見て、最終的に EHR としてまとめることができます。AWS HealthScribe は、Amazon Bedrock を利用した生成系 AI 機能により、2 つの専門科(総合内科と整形外科)の臨床記録を作成するよう設計されています。これにより、医師は EHR に入力するための詳細情報を収集する必要がなくなり、問診に集中することができます。AI が生成する臨床記録で使用されるすべての文には、元となる問診の会話記録への参照が含まれており、臨床医は記録の過去の背景情報を容易に確認できることにより、正確性と透明性の向上につながります。同サービスにはデータセキュリティとプライバシーも組み込まれています。お客様の要求を処理した後は顧客データをいっさい保持することはなく、転送中および保管中の顧客データはすべて暗号化されるようになっています。医療ソフトウェアプロバイダーは、コンテンツの所有権を維持しながら、記録や暫定的な臨床記録をどこに保存するのかをコントロールすることができます。また、同サービスを通じて生成された入出力データが、AWS HealthScribe のトレーニングに使用されることはありません。

AWS の機械学習・人工知能サービス担当バイスプレジデントである Bratin Saha は、次のように述べています。「AWS の医療業界のお客様やパートナー様から、患者のための画期的な医療ケアや研究ソリューションの開発により時間を費やしたいため、基礎的な健康データ機能の構築や保守、運用に時間をかけずに済むようにしたい、という声を聞いています。AWS が AI を搭載した高性能で大規模な医療アプリケーションポートフォリオの構築に投資しているのはまさにそのためであり、これによって臨床医は対面診療や遠隔診療でより多くの時間を患者のために費やせるようになります。医療従事者にとって、とりわけ時間がかかるのが臨床文書の作成です。AWS HealthScribe で生成系 AI の能力を活用することで、負担を軽減できるようになると大いに期待しています。本日の発表の基盤にあるのは、ヘルスケアおよびライフサイエンス業界に対する AWS のコミットメントと、生成系 AI のようなテクノロジーに対する AWS の責任ある取り組みであり、これらは臨床記録の文書化という負担の軽減や、診療体験の改善に役立つものです」

AWS HealthScribe は、医療業界向けに開発された広範なサービスの一環として、ヘルスケアやライフサイエンス業界の何千という企業を支援します。連携体制を変革して臨床や業務上でデータドリブンな意思決定や、より高精度な治療が行えるようにすると同時に、費用削減をサポートします。ヘルスケア分野でのイノベーションを続ける AWS は、ペタバイト規模で医療用画像データの保存、変換および分析が簡単に行え、基盤となるインフラストラクチャをプロビジョニング(設定)する負担を軽減しながらパフォーマンスを提供できる AWS HealthImaging の一般提供を開始することも発表しました。AWS HealthImaging の詳細については、以下のウェブサイトをご確認ください。
https://aws.amazon.com/blogs/industries/introducing-aws-healthimaging/

3M Health Information Systems(3M HIS)は業界リーダーであり、その多様な M*Modal 音声理解、対話型およびアンビエント AI ソリューションは、現在全米で 30 万人以上の臨床医によって使用されています。3M HIS のプレジデントである Garri Garrison 氏は、次のように述べています。「AWS に組み込まれた機械学習によって、3M HIS は臨床医のワークフローや手間のかかるプロセスを変革し、医療機関における臨床文書の作成や請求業務を効率化できます。3M HIS は AWS と提携し、臨床における文書化ワークフローに直接、対話型生成 AI を導入しています。AWS HealthScribe が当社の臨床アプリケーションの中核コンポーネントとなることで、3M のアンビエント臨床文書作成やバーチャルアシスタントソリューションをより迅速かつ高度化して、大規模に提供できるようになるでしょう」

Babylon は、人々の健康を大規模に管理するデジタルファーストの統合プライマリケアサービスです。Babylon のチーフ・サイエンス・オフィサーである Saurabh Johri 氏は、次のように述べています。「人間の持つ医療の専門知識と AI を融合することで、質の高いヘルスケアをより手頃な価格で利用しやすくし、医療従事者にかかる負担を軽減できます。その一例が臨床概要などの分野でのイノベーションであり、ヘルスケアにおけるアウトカムの改善につながる可能性を持っています。Babylon は AI イノベーションのリーダーとして、引き続き AWS と連携し、AWS HealthScribe の生成系 AI 機能と当社の自然言語処理ソリューションとの統合を探求できることを期待しています」

ScribeEMR はバーチャルメディアスクライブ(補足:遠隔医療筆記)のリーディングプロバイダーとして、何百もの診療所や病院、医療システムに医療コーディングや医療オフィス用サービスをバーチャルで提供しています。ScribeEMR の共同創業者兼ゼネラルマネージャーである Daya Shankar 氏は、次のように述べています。「ScribeEMR が目指すのは、ヘルスケア業界における実務の効率を高め、収益を最大化して医療従事者の燃え尽き症候群を減らすために貢献することです。AWS HealthScribe の能力を活用することで、当社は生成系 AI を利用して医療文書の作成プロセスを変革することができます。AWS HealthScribe との連携により、当社の高度なプロセスは患者の来院をより効果的に把握して解釈できるようになり、EMR のワークフローやコーディング、償還手続きを最適化することができます」

アマゾン ウェブ サービスについて
アマゾン ウェブ サービス(AWS)は、2006年に他社に先駆けてサービスを開始して以来、世界で最も包括的かつ幅広く採用されたクラウドサービスになっています。AW は、コンピューティング、ストレージ、データベース、ネットワーク、分析、機械学習および人工知能(AI)、モノのインターネット(IoT)、モバイル、セキュリティ、ハイブリッド、仮想現実(VR)および拡張現実(AR)、メディア、ならびにアプリケーション開発、展開および管理に関する200 種類以上のフル機能のサービスを提供しています。AWSのサービスは、31のリージョンにある99のアベイラビリティーゾーン(AZ)でご利用いただけます。これに加え、カナダ、イスラエル、マレーシア、ニュージーランド、タイの5つのリージョンにおける15のAZの開設計画を発表しています。AWSのサービスは、アジリティを高めながら同時にコストを削減できるインフラエンジンとして、急速に成長しているスタートアップや大手企業、有数の政府機関を含む数百万以上のアクティブなお客様から信頼を獲得しています。AWSの詳細については以下のURLをご参照ください。https://aws.amazon.com/

Amazon について
Amazonは4つの理念を指針としています。お客様を起点にすること、創造への情熱、優れた運営へのこだわり、そして長期的な発想です。Amazonは、地球上で最もお客様を大切にする企業、そして地球上で最高の雇用主となり、地球上で最も安全な職場を提供することを目指しています。カスタマーレビュー、1-Click注文、パーソナライズされたおすすめ商品機能、Amazon プライム、フルフィルメント by Amazon(FBA)、アマゾン ウェブ サービス(AWS)、Kindle ダイレクト・パブリッシング、Kindle、Career Choice、Fireタブレット、Fire TV、Amazon Echo、Alexa、Just Walk Out technology, Amazon Studios、気候変動対策に関する誓約(The Climate Pledge)などは、Amazonが先駆けて提供している商品やサービス、取り組みです。Amazonについて詳しくはAmazon Newsroom(http://amazon-press.jp) およびAmazonブログ (http://blog.aboutamazon.jp)から。

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この企業の情報

組織名
アマゾンウェブサービスジャパン合同会社
ホームページ
https://aws.amazon.com/jp/
代表者
長崎 忠雄
資本金
0 万円
上場
非上場
所在地
〒141-0021 東京都品川区上大崎3-1-1目黒セントラルスクエア
連絡先
03-6332-6264

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