融資をリチウムイオン電池用電解質イオネルの事業拡大に充当
株式会社日本触媒(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:野田和宏、以下「日本触媒」)は、株式会社日本政策投資銀行(以下DBJ)の「DBJ環境格付*1」において、2008年、2012年、2017年に引き続き「環境への配慮に対する取り組みが特に先進的」という最高ランクの格付を4回連続で取得しました。
今回は、DBJの新たな融資メニューであるKPI設定型環境格付制度に基づき、融資を受けました。同制度は、社会課題解決と企業価値向上との両立を目指す取り組みを支援していくことが特徴です。
調達資金は、当社の環境貢献製品の一つであるリチウムイオン電池用電解質「イオネル®」(リチウムイオン電池の種々課題を解決する素材)の事業拡大に充当します。
KPI設定型環境格付制度とは、日本触媒グループ中期経営計画「TechnoAmenity for the future-I」における数値目標「2024年度における環境貢献製品売上収益を550億円にする」の達成状況に応じた融資条件が設定されたものです。
今回の格付では、以下の点が高く評価されました。
- 社長をトップとするテクノアメニティ推進委員会にて中長期な成長戦略を検討した上で、国内外の生産子会社を含めた環境マネジメントシステムを通じて中期経営計画に紐付く目標を展開し、グループ一体となって経営戦略と整合した環境経営を推進している点
- 製品ライフサイクル全体の環境負荷低減に向けて、社内審査会によるアセスメントを経て環境貢献製品を認定し、その売上拡大に向けた中長期目標を設定しているほか、環境貢献量を算出して製品の環境価値を可視化するなど、製品・サービスを通じた社会課題解決に注力している点
- 2030年の長期ビジョン「TechnoAmenity for the future」にて自社のありたい姿を明確化し、その実現に向けた具体的なアクションとしてポートフォリオ変革を掲げ、水素の利用拡大やCO2の回収などの新たな社会価値の創造に資する研究開発を加速している点
この融資を使って事業拡大を進める「イオネル®」は、日本触媒が世界で初めて商品化したリチウム塩;LiFSI (リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド)です。リチウムイオン電池は高温下では劣化しやすく、低温下では性能を発揮しにくいという課題がありますが、イオネルは広い温度範囲で電池の性能を向上させ長寿命化を実現することができます。近年、急速に普及が進む電気自動車(EV)に使用されているリチウムイオン電池の課題を解決する素材として特に注目されています。
当社は世界最大の車載用リチウムイオン電池市場である中国において、大口顧客の獲得とコスト競争力を持つ製販体制の早期確立を進めています。昨年9月に合意した湖南福邦新材料有限公司(大手電解液メーカー深圳新宙邦科技股份有限公司の子会社)への資本参画*2については出資が完了し、現在設備増強の協議に着手しています。
日本触媒グループは、長期ビジョン『TechnoAmenity for the future』で掲げた「事業の変革」「環境対応への変革」「組織の変革」の3つの変革を推進しております。環境対応に関するさまざまな社会課題を新たな事業機会と捉え、イオネルをはじめ、自社の強みを発揮できる製品や技術を通じてさらなる成長を目指し、2050 年カーボンニュートラルの実現と持続可能な社会構築へ積極的に貢献してまいります。
【日本触媒の環境貢献製品の詳細】
製品を通じた環境保全
https://www.shokubai.co.jp/ja/sustainability/environment/our-product/*1 DBJが開発したスクリーニングシステム(格付システム)により企業の環境経営度を評点化、優れた企業を選定するという世界で初めての融資メニュー
*2 詳細は2022.9.12リリース「中国におけるリチウムイオン電池用電解質リチウム塩製造会社への出資について」をご参照ください。
以上
日本触媒について:
1941年の創業以来、自社開発の触媒技術を核に事業を拡大。酸化エチレンやアクリル酸などを世の中に送り出し、紙おむつに使われる高吸水性樹脂では世界1位の生産能力を有しています(当社調べ)。現在は、ソリューション事業に注力しており、イオネル(LiFSI)はその中核を 担うべく、事業拡大を加速させています。日本触媒は「テクノロジー(技術)」を通じて「アメニティ(豊かさ)」を提供する、という企業理念「TechnoAmenity」のもと、グローバルに活動する化学会社です。