神田外語大学(千葉市美浜区/学長:宮内孝久)は、2022年4月16日(土)から京都で開かれている企画展「明石博高(あかし・ひろあきら)-京都近代化の先駆者-」の開催記念シンポジウムに合わせ、学生交流企画「神田外語大学 京都企画展学生交流プロジェクト」を実施しました。本学の学生及び、本学と以前から交流のある京都外国語大学の学生が参加。両大の学生は本学教員指導のもと、展示内容や展示物の時代背景について事前学習し、知識を得た上で5月21日(土)に現地を訪れました。同日と翌日には、展示資料の参観とシンポジウムの聴講、両大学生によるディスカッション、さらに史跡散策がおこなわれ、京都近代化の歴史をより深く理解し、学生の探究心を高めるプログラム内容となりました。
企画展「明石博高-京都近代化の先駆者-」は本学と国際日本文化研究センター(京都府京都市/所長:井上章一)、京都府立京都学・歴彩館(京都府京都市/館長:金田章裕)の3機関が2022年4月16日(土)から6月5日(日)にかけて共催していたものです。明治前半期に京都府の教育・医療・殖産興業政策を主導した医師、明石博高(1839~1910)に焦点を当て、関係資料100点余が京都府立京都学・歴彩館の展示室にて公開されています。これを記念して実施される開催記念シンポジウムに合わせ、神田外語大学は全国外大連合(※1)の関係で交流があり、京都にキャンパスを構える京都外国語大学の学生と、本学の学生が交流する学生交流プロジェクトを実施しました。
本プロジェクトに先立ち、本学からの参加学生を募集したところ、25名のエントリーがあり、志望動機をもとに厳正なる選考を実施し、5名の学生が選出されました。京都外国語大学でも同様に募集をおこない4名が参加。
学生たちは事前学習の上、5月21日(土)の記念シンポジウムを聴講。翌日、展示内容に関するディスカッション「明石博高の人と時代を語る」と「明石博高史跡散策」をおこない、互いに京都近代化の理解を深めながら交流しました。史跡散策は「明石博高史跡散策ルートマップ」(松田清・日本研究所客員教授作成)および「明石博高・史跡マップ」(国際日本文化研究センター総合情報発信室発行)に従い、祇園、四条木屋町から高瀬川沿いに二条木屋町をへて丸太町橋に達しました。
神田外語大学は外国語系の大学でありますが、世界の人々と対話する上で必要不可欠となる日本の歴史や文化を学び、学生が日本に対する理解を深められるようにすることを目的とした「神田外語大学日本研究所」を有しています。日本研究の重要性をふまえ、1992年に設立されたもので、日本の文化や社会、歴史、思想、美術などを専門とする本学の日本人・外国人教員の多様性を生かし、各種のテーマを設定して共同研究や講演会などをおこなっています。
この度のプロジェクトでは、本学の学生と京都外国語大学の学生が共に事前に知識を深め、その知識をもとにディスカッションをおこない、歴史散策で直に歴史に触れていきました。情報収集からアウトプット、フィールドワークまで一貫しておこなうことで、学生の探究心の醸成や論理的思考力、コミュニケーション能力を磨いていくことが大きな目的となります。
※1 全国の7つの外国語大学からなる全国外大連合(関西外国語大学・神田外語大学・京都外国語大学・神戸市外国語大学・東京外国語大学・長崎外国語大学・名古屋外国語大学)として、2014年6月26日(木)に調印がなされた。
http://www.gaidai-rengo.jp/
「神田外語大学 京都企画展学生交流プロジェクト」 概要
【日 程】2022年4月25日(月)・5月11日(水)・5月21日(土)・5月22日(日)
【主 催】神田外語大学
【参 加】神田外語大学/5名、京都外国語大学/4名(同大からは他4名がディスカッションにフロア参加)
【担当教員】
・松田 清(神田外語大学客員教授・京都大学名誉教授)
・町田 明広(神田外語大学准教授・日本研究所副所長)
・益満 まを(京都外国語大学非常勤講師)
【内 容】
■ 4月25日(月)・5月11日(水)
各日16:30~18:00/両大の学生を対象にオンライン事前レクチャー実施
■ 5月21日(土)
14:00~16:00/開催記念シンポジウム参観
16:00~17:00/展示参観
■ 5月22日(日)
10:00~12:00/ディスカッション「明石博高の人と時代を語る」(京都学・歴彩館小ホール)
12:30~/明石博高史跡散策
<主な散策地>
一力前、四条大橋、四条高瀬川、二条木屋町、鴨川河原沿い、銅駝高校舎密局跡、紅女場跡
参加者コメント ※一部抜粋
【神田外語大学 外国語学部 アジア言語学科4年 床井陽香里】
明石博高は医療のために蘭学を学んだり、温泉の研究をしたりと多くのことに挑戦してきたことを知りました。一方で彼が沢山のことを教えてもらうことができたのは、彼が築き上げた人脈によるものと知りました。改めて考えてみると、今回私がこのプロジェクトに挑戦し、先生方やメンバーにさまざまなことを教えてもらい、学びを深めたこととよく似ていると思い、こういったことの積み重ねが明石を形成したのかもしれないと感じました。今後も明石のように色々なことに挑戦し続け、たくさんの人と関わり、自分の得た知識や経験を生かして周りの人達に還元したいです。
【神田外語大学 外国語学部 アジア言語学科4年 小笠原珠美】
歴史散策、シンポジウム、そして展示参観で歴史を学び、京都外国語大学の学生との交流で学生同士の仲を深められたことが大変貴重な経験となりました。大学生活の半分はコロナ禍により思うような学生生活を送ることができず、常に寂しさを感じていましたが、そんな寂しさを払拭するほど充実していました。2日間という短い時間ではありましたが、有意義な時間を過ごすことができたと胸を張って言えます。
【京都外国語大学 国際貢献学部 グローバル観光学科3年 江良みゆき】
私は大学で京都の文化や伝統技術について学んでいますが、企画展で当時の医学書の挿絵に銅板の技術が使われていたことは初めて知り、とても印象的でした。銅板が使用される以前は、学者が直筆で記していた時代だったため、研究成果などをアウトプットする際に他の産業で活用されていた技術を取り込んでいったという点に、京都の近代化が進んでいった背景が感じられました。また、明石博高が医学だけでなく、温泉作りやビール開発など多方面で活躍していたということを知り、私もひとつの視点をもつだけでなく、多角的に物事を捉える力をつけていきたいと感じました。
【京都外国語大学 外国語学部 英米語学科3年 土屋綾音】
行動力がもっとも大切なことであると以前より考えていましたが、今回の展示会やディスカッションで明石博高の偉業について学ぶ中で、行動に加えて努力ができないと自分の力にならないことに気が付きました。私自身、行動はするのですが、途中で「やはり自分にはできない」と諦めてしまいがちでしたが、彼について学ぶ中で結局努力が足りていなかったと思えました。今後、努力に繋がる行動をしていこうと思います。
教員コメント 町田明広(外国語学部国際コミュニケーション学科准教授・日本研究所副所長)
参加学生は事前の研修会から参加し、京都では単に企画展を見て、シンポジウムに参加するだけでなく、それを踏まえた京都外国語大学の学生とのディスカッションと歴史散歩を通じての学びの場となりました。ディスカッションは活発な議論となり、お互いの意見を尊重しあいながらも、自分の意見をはっきりと説明できていました。史跡散策では、説明内容をしっかりと咀嚼しながら、適切な質問が発せられました。
プロジェクトを通じて、明石博明や京都の歴史を学んだのみならず、自らの歴史観を構築し、またコミュニケーションやネットワークの重要性に気づいてくれました。コロナ禍の閉塞感の中、チャレンジ精神を発揮して取り組み、新しい自己を発見した学生たちに敬意を表したいと思います。
その他参考リンク
神田外語大学 日本研究所:
https://www.kandagaigo.ac.jp/kuis/main/labo/rijs/
開催記念シンポジウム(国際日本文化研究センターサイト):
https://www.nichibun.ac.jp/ja/events/other_events/2022/05/21/
企画展「明石博高-京都近代化の先駆者-」(京都府立京都学・歴彩館サイト):
https://rekisaikan.jp/news/post-news/post-7926/
▼本件に関する問い合わせ先
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