富士山北麓の幻の湖「赤池」、主に降雨により形成 ~ 精進湖の水と成分一致せず、定説を覆す ~



山梨県富士山科学研究所の山本真也研究員、山梨大学大学院総合研究部の中村高志准教授、立正大学地球環境科学部の安原正也教授と李盛源(イ ソンウォン)准教授の研究グループは、2020年7月に富士山北麓で9年ぶりに出現した幻の湖「赤池」の水の採取に成功し、その水質や水の安定同位体比(※1)の分析を行いました。データ解析の結果、赤池の発生のしくみについて、精進湖と地下水を通じて繋がっているとする従来の説を覆し、主に直近に生じた降雨により形成されていたことを発見しました。研究の成果をまとめた研究論文は、8月17日に地学雑誌(公益財団法人・東京地学協会)に受理されました(2022年2月末 掲載予定)。




【背景】
 赤池は、富士山北麓・精進湖の東約1 kmの窪地に、大雨が降ると出現する一時的湖沼(※2)です。過去40年間で出現が報告されたのは、計7回しかなく、「幻の湖」としても知られています。赤池の発生のしくみについては、精進湖の水位が上昇すると出現することから、精進湖と地下水を通じて繋がっているなど、さまざまな説が提唱されてきましたが、いずれも科学的根拠がなく未解決の問題となっていました。

【研究手法・研究成果】
 本研究では、2020年7月に9年ぶりに出現した赤池の水の採取に成功し、水質および同位体比の分析を行いました。その結果、赤池の水の安定同位体比は、同時期に採取された精進湖の湖水とは明らかに異なっており、また、赤池出現後の降雨時に、赤池の水の安定同位体比が降雨試料側に大きな変化を示したことから、赤池に流入した水が主に直近の降雨に由来することが明らかとなりました。さらに、赤池では、水中のカルシウムイオンや重炭酸イオンの濃度が、赤池周辺の水試料に比べて1/2から1/4程度と低くなっており、赤池を形成した水の起源が、降雨が地下浸透後、地下深部へ移動することなく比較的短期間(数日程度)で流出したものであることが明らかとなりました。これは、赤池が、精進湖と地下水を通じて繋がっている、とするこれまでの定説を覆すもので、地下水を通じて繋がっているとされる西湖・精進湖・本栖湖の関係についても見直しを迫る重要な成果です。


※図2注釈
 赤池の水の同位体比は、同時期に採取された精進湖の湖水とは明らかに異なっており、また、赤池出現後の降雨(7月21日〜28日)に伴い、赤池の水の同位体比が18日から28日にかけて降雨試料側へと大きくシフトする(図中の矢印)。

【今後の展望】
 今回出現した赤池は、過去40年間で出現したものの中では比較的小規模であったことから、今後も引き続き、赤池出現時のデータを収集・蓄積することで、水域の拡大による水質や集水機構の変化等についても検討していきたいと考えています。

※用語解説
※1 安定同位体比
 同じ元素で質量が異なる原子同士を互いに同位体という。同位体には、放射線を出す同位体(放射性同位体)と出さない同位体(安定同位体)がある。水分子を構成する水素と酸素の安定同位体比は、水の蒸発〜凝縮過程で大きく変化することから、水循環における水の起源を示す指標としてよく使用されている。

※2 一時的湖沼
 水が恒常的には存在しない湖沼

<発表論文>
・題名:2020年7月に出現した富士山北麓の一時的湖沼、赤池の成因
・著者:山本真也*、中村高志**、李 盛源***、安原正也***
 *山梨県富士山科学研究所
 **山梨大学国際流域環境研究センター
 ***立正大学地球環境科学部
・雑誌名:地学雑誌(公益財団法人・東京地学協会)
・掲載予定:2022年2月末

【研究に関するお問い合わせ先】
・山梨県富士山科学研究所
 富士山火山防災研究センター 研究員 山本 真也
 TEL: 0555-72-6217(直通)
 E-mail: s.yamamoto@mfri.pref.yamanashi.jp

・国立大学法人山梨大学
 大学院総合研究部 准教授 中村 高志
 TEL: 055-220-8727
 E-mail: tnakamura@yamanashi.ac.jp

・学校法人立正大学学園 立正大学
 地球環境科学部 准教授 李 盛源
 TEL: 048-539-1648
 E-mail: leesw@ris.ac.jp

【広報についての問い合わせ先】
・山梨県富士山科学研究所 環境教育・交流部 広報交流担当
 TEL: 0555-72-6206
 FAX: 0555-72-6183
 E-mail: kouryu@mfri.pref.yamanashi.jp

・国立大学法人山梨大学 総務部総務課広報企画室
 TEL: 055-220-8005,8006
 FAX: 055-220-8799
 E-mail: koho@yamanashi.ac.jp

・学校法人立正大学学園 立正大学 学長室広報課
 TEL: 03-3492-5250
 E-mail: contact@ris.ac.jp


▼本件に関する問い合わせ先
学校法人立正大学学園 立正大学 学長室広報課
椿 太
住所:東京都品川区大崎4-2-16
TEL:03-3492-5250
FAX:03-3493-9068
メール:contact@ris.ac.jp


【リリース発信元】 大学プレスセンター https://www.u-presscenter.jp/

この企業の関連リリース

この企業の情報

組織名
立正大学
ホームページ
http://www.ris.ac.jp/
代表者
吉川 洋
上場
未上場
所在地
〒141-8602 東京都品川区大崎4-2-16

検索

人気の記事

カテゴリ

アクセスランキング

  • 週間
  • 月間
  • 機能と特徴
  • Twitter
  • Facebook
  • デジタルPR研究所