リコー 「充電のない世界」の実現へ、第二弾 曲がる環境発電デバイスのサンプル提供

~ リコーと九州大学が共同開発した薄型・軽量・フィルム形状の有機薄膜太陽電池(OPV) ~

 株式会社リコー(社長執行役員:山下 良則、以下「リコー」)は、IoT 社会の進展に伴って飛躍的に増加が予想される各種センサーを常時稼働させるための自立型電源用途として、屋内や日陰で効率的に発電できるフレキシブル環境発電デバイスのサンプル提供を9月から開始します。※サイズは41mm × 47mm
 今回のフレキシブル環境発電デバイスには、国立大学法人九州大学(総長:石橋 達朗、以下「九州大学」)とリコーが2013年から共同研究・開発した発電材料を採用しています。九州大学の高性能有機半導体設計/合成技術と、リコーが長年複合機の開発で培ってきた有機感光体の材料技術を組み合わせて、屋内のような低照度(約200lx)から、屋外の日陰などの中照度(約10,000lx)環境下で高効率な発電を実現しました。薄型・軽量で曲げることが可能なフィルム形状であるため、さまざまな形状のIoTデバイスに搭載することが可能です。
 移動型・携帯型のウェアラブル端末やビーコンなどのデバイス、およびトンネル内や橋梁の裏側に設置される社会インフラのモニタリング用デバイスなどの自立型電源として適用が可能です。これにより、身の回りの多彩な小型電子機器類の電池交換が不要となり、利便性の向上とともに持続可能な開発目標(SDGs)への貢献も期待されます。リコーは、2020年から提供している屋内向けの固体型色素増感太陽電池(DSSC)に次ぐ環境発電デバイスとして、IoT デバイスメーカーやサービス事業者、商社向けにサンプル提供を行い、早期の商品ラインアップ化を目指します。
 九州大学とリコーは、さらなる高出力化・高耐久化に向けて今後も産学共同で研究開発*を進めてまいります。

* 本研究開発はJST「研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)産学共同(本格型)」「有機エナジーハーベスティングデバイスの機能革新と実用化技術開発」の支援を受けて行っております。

開発したフレキシブル環境発電デバイスの外観
フレキシブル電源基板との接続例
フレキシブル環境発電デバイスが目指す充電のない世界のイメージ


■九州大学 稲盛フロンティア研究センター 安田琢麿 教授のコメント
 我々の生活環境に必ず介在する「身近な光」を高度に利活用する環境発電(エネルギーハーベスティング)は、これからのIoT社会を支える未来志向のエネルギー技術です。我々とリコーは、この環境発電の研究に先駆けて取り組んできました。約8年余に渡る共同研究が実を結び、その技術がいま社会に活用展開されようとしています。リコーと共同開発した有機材料は従来の太陽電池とは異なり、室内環境でも優れた発電性能を発揮します。この材料技術に基づいて開発されたフレキシブル環境発電デバイスは、紙のように薄く、軽く、曲げることも可能で、微弱な光さえあればいつでもどこでも永続的に発電できることから、我々の身の回りのさまざまな小型電子機器の分散自立電源として幅広く実装されていくものと期待しています。また、この新しいエネルギー技術は、SDGsに掲げられている「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」の達成にも大きく貢献するものであると信じています。今後もA-STEP 産学共同プロジェクトを通して、未来社会に資するエネルギーハーベスティング技術のさらなる研究開発を産官学連携体制で推進していきます。


■株式会社リコー RICOH Futures BU EH事業センター 所長 田中哲也のコメント
 私たちの実現させたい未来は「充電のない世界」をつくることです。人が意識的に「充電」という行為をする必要がない世界、「電池交換」という行為をする必要がない世界を実現させたいと考えています。
 すべてのモノがインターネットにつながるIoT社会では、モノに取り付けられた各種センサーの情報をインターネット経由で収集し、モノの状態や位置などを把握することにより、快適な生活を可能にします。今後、さまざまなモノへのセンサー搭載拡大が予想されるなかで、それらのセンサーを常時稼働させる自立型電源として、身のまわりにある光や熱、振動などから発電するエネルギーハーベスト(環境発電)が注目されています。
 リコーは持続可能な社会の実現に向けて、これまで固体型色素増感太陽電池(DSSC)を上市し、今回、有機薄膜太陽電池(OPV)のサンプル提供に至りました。屋外・宇宙用途向けのペロブスカイト太陽電池の開発にも取り組んでおり、今後もクリーンエネルギーの普及による環境負荷低減に向けて、自立型電源としての活用用途を拡大させていくことで、事業を通じた社会課題の解決に貢献してまいります。


■フレキシブル環境発電デバイスの主な特徴と仕様について
<主な特徴>
・発電効率の向上と高耐久化の実現
 リコーは、九州大学・安田研究室との共同研究によって、光電変換層(P型有機半導体)の分子構造や材料組成などを精密に制御することで、低照度から中照度でも高い電圧と高い電流が得られる有機光電変換系を開発しました。さらに、有機デバイス設計において、中間層(バッファ層)材料の最適化や界面制御に基づき、さらなる高効率化と高耐久化を実現しました。

・広い照度域における高い変換効率
 低照度(約200lx)から中照度(約10,000lx)まで高い光電変換効率を維持しています。

・高照度環境下における高い耐久性
 高照度環境下(疑似太陽光(約100,000lx))における長時間暴露試験においても、高出力を維持しています。

・部分陰による影響が少ない遮光特性
 リコーのフレキシブル環境発電デバイスはセルに陰がかかっても急激な出力低下がありません。

<主な仕様> 200lxと10,000lxにおける出力(41×47mmサイズ)
・使用環境(照度):200lx
 最大出力(Pmax )min.:84μW
 最大出力動作電圧(Vpmax )typ.:3.3V
 最大出力動作電流(Ipmax)typ.:25μA

・使用環境(照度):10,000lx
 最大出力(Pmax )min.:4,200μW
 最大出力動作電圧(Vpmax )typ.:3.6V
 最大出力動作電流(Ipmax)typ.:1,200μA

 *最大出力(Pmax): 取り出せる電力の最大値
 *最大出力動作電圧(Vpmax): 電力が最大となる電圧値
 *最大出力動作電流(Ipmax): 電力が最大となる電流値


より詳しくは、以下の技術ページをご覧ください。
https://jp.ricoh.com/technology/tech/094_flexible_energy_harvesting_device


*このニュースリリースに記載されている社名、製品名は、各社の商号、商標または登録商標です。


| 九州大学について |
九州大学は,学生約19,000人,教職員約8,000人が在籍する我が国を代表する基幹総合大学です。2018年4月にスタートした共創学部を含む12学部と18学府(大学院,教育組織),16研究院(大学院,研究組織)のほか,4専門職大学院,高等研究院,基幹教育院,5研究所,国内最大級の大学病院や附属図書館等を擁しています。
九州大学は今年110周年を迎えます。歴史と伝統に培われた叡智を継承し、次の100年も世界の知と人材が集まる、イノベーション創出を牽引する大学を目指します。
詳しい情報は、こちらをご覧ください。  https://www.kyushu-u.ac.jp/ja/



| リコーグループについて |
リコーグループは、お客様のデジタル変革を支援し、そのビジネスを成功に導くデジタルサービス、印刷および画像ソリューションなどを世界約200の国と地域で提供しています(2021年3月期グループ連結売上高1兆6,820億円)。
imagine. change. 創業以来85年以上にわたり、お客様の“はたらく”に寄り添ってきた私たちは、これからもリーディングカンパニーとして、“はたらく”の未来を想像し、ワークプレイスの変革を通じて、人々の生活の質の向上、さらには持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
詳しい情報は、こちらをご覧ください。 https://jp.ricoh.com/
本件に関するお問合わせ先
≪報道関係のお問い合わせ先≫
九州大学 広報室
TEL:092-802-2130
E-mail:koho@jimu.kyushu-u.ac.jp

株式会社リコー 広報室
TEL: 050-3814-2806(直通)
E-mail: koho@ricoh.co.jp


≪サンプル提供に関するお問い合わせ先≫
株式会社リコー RICOH Futures BU EH事業センター
お問い合わせフォーム: https://webform.ricoh.com/form/pub/e00132/inquiry
E-mail: zjp_dssc@jp.ricoh.com


≪基礎研究に関するお問い合わせ先≫
九州大学 稲盛フロンティア研究センター 教授  安田 琢麿
E-mail:yasuda@ifrc.kyushu-u.ac.jp

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この企業の情報

組織名
株式会社リコー
ホームページ
https://jp.ricoh.com/
代表者
大山 晃
資本金
13,530,000 万円
上場
(旧)東証1部,東証プライム
所在地
〒143-8555 東京都大田区中馬込1丁目3-6
連絡先
03-3777-8111

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