三井不動産グループでは、ロゴマークの「&」に象徴される「共生・共存」「多様な価値観の連繋」「持続可能な社会の実現」の理念のもと、グループビジョンに「&EARTH」を掲げています。
街づくりを通して、人と地球がともに豊かになる社会に向けた取り組みをニュースレターとしてお届けしてまいります。
初回のテーマは、気候変動への対応として注目を集める「脱炭素」です。
2050年までに温室効果ガスネットゼロへ
当社では、事業を通じて気候変動リスク低減に努めることを重要な経営課題の一つとして位置づけています。これまでも、エネルギー消費や温室効果ガス排出量の少ない街や施設をつくり、環境負荷の低いサービスや施設運営を実践してきました。さらにメガソーラー事業や、熱負荷を低減する省エネ設備の採用、また北海道における森林の保有・管理によって環境保全に向けた施策に取り組んでいます。
東京ドーム約1063個分※の森林
特に力を入れている森林保全活動では、約5,000ha(東京ドーム1063個分※)の森林の保有・管理を行っています。森林では毎年の植林、定期的な下草刈りや間伐などの手入れ管理、間伐や伐採適期を迎えた木材の建築資源への活用を通してサステナブルな森を作っています。森林があることで、動物や植物の生育を守り、また土砂崩れなどを防ぐことに繋がっています。さらに三井不動産グループの森が吸収・固定した二酸化炭素量は約5,343t/年に上り、地球温暖化の緩和にもつながっています。
※東京ドーム約4.7haで計算三井不動産グループ保有林の位置
約69,000世帯のCO2削減
グリーン電力化の始動
2020年12月には全社目標として温室効果ガスの排出量を2050年までにネットゼロ、2030年までに排出量30%削減を掲げました。それに向け、2030年度までに当社が首都圏で所有する全120施設をグリーン電力化することを決定。年間約3億kWhの電力を、太陽光、風力など、自然を利用した「再生可能エネルギー」で作った電力を由来とする「非化石証書※」を活用して実質的にグリーン化し、一般家庭の約6万9千世帯分のCO2削減を計画しています。2021年4月からは東京ミッドタウン日比谷をはじめとして、複数のビルで電力のグリーン化がスタートし、三井不動産の脱炭素化にむけた取り組みが加速しています。
※非化石証書:再生可能エネルギーなど非化石電源で(過去に)発電された電気の環境価値を切り離して証書化したもの
※詳しくは、2021/5/10付けの「首都圏で所有するすべての施設で2030年度までにグリーン電力化を推進」リリースをご参照ください。https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/news/2021/0510/
今回は、脱炭素社会の実現に向けた様々な挑戦を行うなか、CO2排出量を標準的なビルの約80%まで抑えている当社でもトップレベルの取り組みを行う「東京ミッドタウン日比谷」についてご紹介します。
これからのエネルギーは省エネ×創エネ×グリーン電力
エネルギー優等生 東京ミッドタウン日比谷
2018年にオープンした「東京ミッドタウン日比谷」は、ショップ&レストラン、オフィス、映画館などが集約された年間約2,200万人が訪れるミクストユース(複合用途型)の施設です。
「東京ミッドタウン日比谷」では、省エネ(畜エネ)、創エネを組み合わせ、当社でもトップクラスのエネルギー対策を行い、東京都におけるCO2の基準排出量と比較し、約20%のCO2排出量削減を実現しています。また日比谷公園と連続する緑化空間を整備。敷地内に合計約2,000m2の緑化空間(緑化率約40%)を整備し、ヒートアイランド対策も行っています。
50%は自家発電 発電の熱を無駄にしないCGS【省エネ・蓄エネ】
「東京ミッドタウン日比谷」では、都市ガスによる自家発電システム「コ・ジェネレーションシステム(CGS)」を導入し、年間約3,000kWの電力をつくり、さらに発電時に発生する排熱を冷暖房などの空調へ利用しています。施設内で発電システムをもつことで、エネルギーの地産地消による高いエネルギー効率を実現しています。また、この自家発電システムに加え、ビル内に誘致したDHC(地域冷暖房)サブプラントとも連携し、地区全体でのエネルギー負荷の平準化・ピークカットを図り、環境負荷の低減に貢献しています。
グリーン電力化で脱炭素へさらに加速
「東京ミッドタウン日比谷」では、2020年4月1日より、再生可能エネルギー電力を由来とする「非化石証書」を活用して、共用部での使用電力をグリーン電力に切り替えました。さらに、テナント専用部でもグリーン電力化を図るべく、「グリーン電力提供サービス」を同時に導入開始しました。テナントニーズに柔軟に対応したグリーン電力の提供を実現することで、テナント各社の経営目標への貢献はもちろん、CO2排出量削減による、持続可能な社会の実現に向け、安心・安全で、環境に優しい快適な街づくりを推進してまいります。
入居テナントの声:
EY Japan
オフィスビルの入居者がグリーン電力を調達することは難しい課題でしたが、三井不動産のサービスを適用することで、2021年度中の41万kWhをグリーン電力化する予定です。EYは、2021年1月に、2025年までに「実質ゼロ(ネットゼロ)」を目指しており、グリーン電力などの取り組みがビル全体でできることは目標達成に向けても大変良いことだと考えています。
再生可能エネルギーを創り出す太陽光発電【創エネ】
屋上には太陽光パネルを設置して太陽光発電を行い、施設内で使用する電力の一部をまかなっています。(年間発電量約2万kWh)
屋上に設置された太陽光パネル
熱負荷を低減する外装や高性能ガラスの採用【省エネ】
窓は外気や屋内からの熱負荷の影響を受けやすく、建物の省エネ性能を大きく左右します。東京ミッドタウン日比谷では、断熱性の高い複層ガラスと遮熱性の高いLow-eガラスを組み合わせた「Low-e 複層ガラス」を商業施設やオフィスの窓ガラスに採用し、窓からの熱負荷の低減を図っています。
昼光を利用した照明の制御など照明の省エネ化【省エネ】
LEDなど高効率の省エネ型照明器具を採用するとともに、オフィスでは照度センサーによる調光制御システムを、また、トイレや非常階段等には人感センサーによる自動点滅システムを導入し、照明の省エネ化を図っています。そして、このような制御による照明からの発熱量減少により、空調負荷も低減します。
約2,000m2の緑化空間によるヒートアイランド環境対策
皇居外苑、日比谷公園から続く緑化空間を整備するため、「日比谷ステップ広場」や「パークビューガーデン」などの自然と融合した空中庭園など、敷地内に合計約2,000m2の緑化空間(緑化率約40%)を整備しています。植栽には、日比谷公園と同種の樹木を積極的に採用。日比谷公園の緑との連続性を意識した緑化空間となっています。
日比谷公園を望めるパークビューガーデン
「環境」と「ウェルネス」から取り組む経年優化の街づくり
東京ミッドタウン日比谷は、当社で初めて「CASBEE スマートウェルネスオフィス認証(以下、CASBEE- SWO認証)」における最高ランク認証、および「DBJ Green Building認証」における最高位の★5を同時に取得しています。特に「CASBEE- SWO認証」は環境評価に加えて、利用者の「健康」も評価基準に入っているため、環境に加えてウェルネスへの取り組みも合わせて評価されたことは大変うれしいです。
緑豊かな環境、日比谷公園と一体化するデザイン
東京ミッドタウン日比谷は、日比谷公園という大きな公園が近くにある個性的な立地を持っています。そのため、日比谷公園や皇居のお堀を上空から一望できるパークビューガーデンやスカイガーデンなどの空中庭園を整備するなど、緑地化に力を入れていますが、その際もただ緑を増やすのではなく、日比谷公園と同種の樹木を使い一体となるようなデザインを意識しました。そして、日比谷には、明治の社交場である鹿鳴館や、10円カレーで有名な創業100年以上の老舗である日比谷松本楼など、歴史や文化があります。東京ミッドタウン日比谷では、日比谷の文化・歴史を大切にしながら、さらなる魅力的な街へつなげていきたいと考えています。
東京ミッドタウン日比谷ならではのウェルネスのしくみ
日比谷は、公園をはじめ、劇場、商業施設等があることから、オフィスワーカーからファミリー、お買い物の方など様々な方が街に訪れてくださいますが、日比谷の文化や街の歴史、環境や芸術にご関心が高い方が多い印象があります。オフィスにご入居いただいている方も環境への関心が高く、グリーン電力への取り組みに関して積極的にご検討されています。
また、オフィスワーカー向けのウェルネスの取り組みとして、スカイガーデンでのヨガイベントや、皇居ランなどのスポーツイベントなど、近隣の環境を生かしたイベントを開催しており、会社を越えて多くの方に参加いただいています。
デベロッパーはハード面の印象が強いですが、建物は建てて終わりではありません。当社は、新たな交流や街の賑わいを生み出し、街全体が時を重ねるたびに進化していく「経年優化」という考えを大切にしています。コロナ禍の影響で今はまだイベントの開催は難しいですが、環境やウェルネスへ高い評価をもらった日比谷だからこそできる体験イベントなどを企画して、街を訪れる多様な人々に交流が生まれ、新しい学びや発見がある魅力的な街にしていきたいと思っています。
そして東京ミッドタウン日比谷は、今後もさらに発展していく日比谷エリアの核として貢献していきたいです。
脱炭素社会に向けた、三井不動産グループの取り組み
三井不動産グループではさまざまな脱炭素への取り組みを実施しています。
業界初、CO2排出量実質ゼロの「グリーンエネルギー倉庫」
大型物流施設「三井不動産ロジスティクスパーク(MFLP)海老名I」において、業界初となるCO2排出量実質ゼロの「グリーンエネルギー倉庫」としてZEB認証を取得予定です。敷地内に設置する太陽光発電設備からオンサイトでの発電・供給、およびグリーン電力提供サービスの提供により、当社だけでなく入居企業のRE100やESG課題解決のサポートを推進します。(2022年9月に竣工予定)
参考:
https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/news/2021/0512/
約2万世帯分の電力を発電するメガソーラー事業
当社のメガソーラー事業として太陽光発電所(メガソーラー)5施設が稼働しています。全5施設での計画発電出力の合計は約72MW、年間発電電力量は約8千万kWh(2021年3月末時点)で、一般家庭の年間消費電力量約2万世帯分に相当します。
エネルギーマネジメントシステム
当社グループは、オフィスビルや商業施設、マンション、戸建住宅などにおいて、それぞれに最適なエネルギーマネジメントシステムの導入を進めています。また、これらの個別の建物のエネルギーマネジメントシステムを連携させ、街区全体でエネルギーを管理するエリアエネルギーマネジメントシステムなどの導入も進めています。
自動車からのCO2排出抑制
当社グループは、自動車からのCO2排出抑制のため、電気自動車用充電器等の設置や商業施設での公共交通機関利用促進サービスの提供などに取り組んでいます。三井不動産リアルティ(株)は、「三井のリパーク」の時間貸駐車場や「ららぽーと湘南平塚」(神奈川県平塚市)などの商業施設や分譲マンションの駐車場に電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド自動車(PHV)用の充電器 の設置を進めております。
三井不動産グループのSDGsへの貢献について
三井不動産グループは、「共生・共存」「多様な価値観の連繋」「持続可能な社会の実現」の理念のもと、人と地球がともに豊かになる社会を目指し、環境(E)・社会(S)・ガバナンス(G)を意識した事業推進、すなわちESG経営を推進しております。さらに「重点的に取り組む6つの目標」に取り組むことで「Society 5.0」の実現や、「SDGs」の達成に大きく貢献できるものと考えています。
https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/esg_csr/
重点的に取り組む6つの目標
1. 街づくりを通した超スマート社会の実現
2. 多様な人材が活躍できる社会の実現
3. 健やか・安全・安心なくらしの実現
4. オープンイノベーションによる新産業の創造
5. 環境負荷の低減とエネルギーの創出
6. コンプライアンス・ガバナンスの継続的な向上