ポーラ美術館 日本最大級のフジタ・コレクションは合計215点に
ポーラ美術館(神奈川県・箱根町)は、レオナール・フジタの最初期の裸婦像《ベッドの上の裸婦と犬》を新たなコレクションに加えることとなりました。この新収蔵作品は、4月17日(土)から開催中の「フジタ-色彩への旅」展にて公開中です。既に収蔵しておりましたフジタ作品と合わせて計215点(油彩画168点、水彩画類28点、挿絵本17点、版画集1点、立体物1点)の日本最大級のフジタ・コレクションを有することとなります。
©Ken Kato 左奥が新収蔵作品
■作品の展示期間
2021年4月17日(土)- 9月5日(日)
■新収蔵作品 レオナール・フジタ《ベッドの上の裸婦と犬》について
1921年に制作された本作品は、フジタによる最初期の裸婦像です。彼はおそらく1920年にフジタの代名詞である「乳白色の下地」の技法を完成させ、同年あるいは翌年にその技法によって初めて裸婦を描きました。本作品は、1921年の第14回サロン・ドートンヌに出品された裸婦像〔《横たわる裸婦と猫》(1921年、個人蔵)と考えられている〕に先行する、フジタが「乳白色の下地」に最初に描いた記念碑的な裸婦像である可能性が指摘できます。
フジタ作品に詳しい美術史家シルヴィ・ビュイッソン氏によれば、この作品のモデルはギリシャ・ザキントス島の名家の出身であるデメトラ・メッサーラ(1902-1955)という女性で、彼女の父はギリシャの外交官としてパリに在住していました。メッサーラは黒い巻き毛と太い眉、長い鼻筋と薄い唇の持ち主で、フジタは本作品において彼女の容貌を的確に捉えています。メッサーラは「ミミナ」の愛称でパリの芸術界で親しまれ、フランス人彫刻家アリスティド・マイヨールをはじめ、多くの芸術家たちのモデルをつとめており、後にドイツ人彫刻家アルノ・ブレーカーと知り合い、最初の妻となりました。
■6月26日より展示替えで新たに10点の作品が展示されます。
「フジタ―色彩への旅」の会期中では最大の規模で展示替えを行います。「第2章 中南米への旅」と「第3章 アジア旅行記」を中心に、フジタの画業の変遷を象徴する作品(例:《メキシコの母娘》下関市立美術館蔵、《ちんどん屋3人組》公益財団法人平野政吉美術館蔵など)10点を展示する予定です。
■「フジタ-色彩への旅」展
写真:マドレーヌ・ルクー《フジタの肖像》1931年 メゾン=アトリエ・フジタ
開催概要世界的な画家になることを夢みて、1913年、26歳で渡仏したレオナール・フジタ(藤田嗣治、1886-1968)は、旅先で目にした風景や人物、異国の歴史や風俗などに創作のインスピレーションを求めました。本展では、フジタの旅とそれにともなう色彩の変遷に焦点をあて、フジタの生涯の旅路と画業の展開をあらためてご紹介します。
・会 期:2021年4月17日(土)- 9月5日(日)
・出品点数:218点(展示替えあり)
・開館時間:9:00-17:00(最終入館は16:30)
・入 館 料:大人1,800円、シニア割引(65歳以上) 1,600円(他の割引との併用不可)、 大学・高校生1,300円、 中学生以下 無料(団体15名様以上割引あり)
・所 在 地:神奈川県足柄下郡箱根町仙石原小塚山1285・T E L:0460-84-2111
・U R L:
https://www.polamuseum.or.jp/sp/foujita/
■ポーラ美術館について
2002年に「箱根の自然と美術の共生」をコンセプトに神奈川県箱根町に開館。 印象派から20世紀にかけての西洋絵画を中心としたコレクションを核とする展覧会を開催する一方、同時代の表現も積極的に紹介するなど、さまざまな取り組みを行っている。富士箱根伊豆国立公園という立地を生かした遊歩道では四季折々の豊かな自然を楽しむことができる。