原価計算、公立・公的病院の6割近くで未実施
松阪市民病院・世古口氏が調査、「人手不足」「知識ない」が理由上位
松阪市民病院(三重県松阪市)総合企画室副室長の世古口務氏が、第2回病院原価計算実態調査を実施したところ、公立・公的病院の約6割が原価計算を実施していないことが分かりました。未実施の理由の上位は「人手不足のため」「知識がないため」でした。今回の調査は 2019年7月に実施した第1回調査に引き続き実施したものです。
医師の世古口氏は、ほかの公立病院で過去に、院長や事業管理者を務めるなど病院経営にも精通しています。赤字体質だった松阪市民病院を黒字転換させたことから、全国の病院に講師として呼ばれ、経営改善に向けた指導をしています。愛知・岐阜・三重自治体病院DPC勉強会の代表世話人も務めています。今回、「病院原価計算実態調査」を実施したのは、原価計算の実態を把握し、実施できない理由があるなら、その打開策を検討するのが狙いです。調査分析では、メディカル・データ・ビジョンが協力しました。
今回の調査では、全国620病院に調査票を配布し、調査票回収率は49.0%、有効回答は300病院でした。その回答を開設母体別と病床規模別に分けて分析しました。開設母体別で、原価計算をしているかどうかを聞いたところ、民間病院の5割で実施。一方、公立・公的病院の実施率は約4割にとどまりました。大学病院は、回答した13病院のうち、7病院で実施していました。
原価計算を実施していない病院に、その理由を聞いたところ、「人手不足のため」「知識がないため」「原価計算に必要なデータが揃わないため」といった回答が上位でした。一方、原価計算を実施している病院にその理由を聞いたところ、「業績評価のため」「経営の意思決定のため」「職員の経営意識醸成のため」などが、主な回答でした。
調査結果について世古口氏は、「第1回調査と同様にやはり、公立病院・公的病院でやや取り組みが出遅れている結果となった。コロナ禍・コロナ後も厳しい医療状況を乗り切っていくには、どの病院もまずは、診療報酬制度とDPCを正しく理解し経営改善に努め、さらなる改善を追求する場合には原価計算も考慮する必要がある」と話しています。
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