血友病A患者における「アドベイト」の製販後10年間のデータを国際血栓止血学会(ISTH)において発表
- バクスター株式会社
- 2013年07月16日
- 17:30
この資料は、米バクスターインターナショナルインクが2013年7月2日に発表しましたプレスリリースを日本語に翻訳再編集し、皆様のご参考に供するものです。この資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語が優先します。
2013年7月2日、オランダ・アムステルダム発
バクスターインターナショナルインク(NYSE:BAX)は、オランダ・アムステルダムで開催された第24回国際血栓止血学会年次総会(International Society on Thrombosis and Haemostasis, ISTH)において、「アドベイト」(プラズマ/アルブミンフリー製法による遺伝子組換え型血友病A治療薬)の臨床使用に関する2つの総合的な解析結果を発表しました。この発表は、15ヵ国約1,200人の血友病A患者における製販後データの解析および12の臨床試験により蓄積された10年間の「アドベイト」の使用データに基づく安全性に関する知見を含む、2つの補足研究の結果から成るものです。
ISTHで発表された製造販売後安全性試験(post-authorization safety studies, PASS)のメタアナリシス(抄録番号PO148)は、「アドベイト」の安全性および有効性を裏づけるものでした。「アドベイト」の使用によるインヒビターの発現率は低く、血友病A治療薬への暴露日数が150日を超える治療歴のある重症血友病A患者(n=669)において、わずか1件の新規インヒビターの発現が認められました(1)。PASSは、「アドベイト」の実際の臨床使用における有効性を評価したもので、「アドベイト」の週2回以上の定期補充療法を受けた患者(n=560)における年間出血率(Annualized Bleeding Rate, ABR)の中央値は1.67回/年となり、これまでの対照臨床試験において報告されている年間出血率を裏づける結果となりました(2)。また、PASSの有効性に関する結果から、治験として実施された対照試験における有効性評価とは異なり、、日常の臨床使用における「アドベイト」の有効性を捉えることができました。メタアナリシスには、5つの試験を通して、米国、オーストラリア、日本、欧州12ヵ国において「アドベイト」の使用患者を1年以上追跡したデータが含まれ、これらの試験における「アドベイト」への暴露日数は、平均85日から103日でした(1)。
「この製販後データは今日の血友病領域における最大規模のデータであり、そのメタアナリシスの結果は世界における『アドベイト』の使用実績を明らかにするものです。この解析結果は、これまでに報告された対照臨床試験の結果と一貫しています。この広範な患者における臨床使用の実績によって、『アドベイト』の使用によるインヒビター発現率が低いことや、定期補充療法における出血の予防効果が改めて裏づけられたことには非常に大きな意義があります」と、バクスターの臨床担当バイスプレジデントであるブルース・ユーエンスタイン博士(Bruce Ewenstein, M.D., Ph.D.)は述べています。
ISTHでは、「アドベイト」の10年以上の臨床データに基づき、12の介入試験の安全性データを総合解析した結果も発表されました(抄録番号812)(3)。これは、血友病A患者400人以上を対象に解析を行ったもので、約 90%の患者が「アドベイト」の定期補充療法を受け、「アドベイト」への暴露日数は平均97日でした。
この総合解析は、これまでに確認された、さまざまな臨床設定での小児および成人の重症中等症から重症血友病A患者における「アドベイト」の安全性および忍容性を裏づけるものとなり、新たな安全性シグナルは検出されませんでした。血友病A治療薬への暴露日数が50日を超える治療歴のある患者における第VIII因子に対するインヒビター発現率は、0.4%でした。「アドベイト」への暴露日数が10日以上あった治療歴のある患者(n=276)において、わずか1件の低力価インヒビターの発現が認められました。治療歴のある患者および治療歴のない患者の両方(n=418)を対象とした安全性の解析では、治療の中止に至った有害事象は認められず、過敏症やアナフィラキシー反応、アナフィラキシー様反応は報告されませんでした(3)。
「過去10年間に実施した12の介入試験に基づく『アドベイト』の治療データは、これまでに確立された安全性および有効性のデータを改めて立証するものとなりました。この解析結果は、『アドベイト』の確立された安全性の実績を裏づけるものであり、さらに重要なことには、臨床医の方がこれからも安心して『アドベイト』を処方していただけることへとつながるでしょう」と、米国インディアナ血友病・血栓症センター(Indiana Hemophilia and Thrombosis Center)のメディカルディレクターで総合解析の責任医師であるエイミー・シャピロ博士(Amy Shapiro, M.D.)は述べています。
■「アドベイト」について
「アドベイト」(プラズマ/アルブミンフリー製法による遺伝子組換え型血友病A治療薬)は、成人および小児の血友病A患者における出血傾向の抑制および定期補充療法を適応としています。フォンビルブランド病の治療には適応されません。
アドベイトは、血漿由来成分を含まない遺伝子組換え型の完全長血液凝固第VIII因子製剤(完全な第VIII因子遺伝子由来)です。製造工程において血漿由来成分をまったく添加しないため、血漿由来の病原伝播のリスクを避けることができます。遺伝子組換え型第VIII因子製剤の使用によるHIV、HBVまたはHCVへの感染は確認されていません。
「アドベイト」は現在、日本、米国、カナダ、EU 27カ国、アルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、チリ、中国、コロンビア、クロアチア、香港、アイスランド、イラク、マカオ、マレーシア、ニュージーランド、ノルウェー、パナマ、プエルトリコ、セルビア、シンガポール、韓国、スリナム、スイス、台湾、ウルグアイ、ベネズエラを含む世界58ヵ国において承認されています。
■血友病Aについて
血友病は、主として男性に発症する遺伝性の血液凝固異常症であり(4,5)、血液が凝固するために必要な凝固たん白を十分に産生することができない、または凝固たん白が欠乏している疾患です(6)。血友病には血友病Aと血友病Bがあり、血液凝固第VIII因子が欠乏しているのが血友病Aです(6)。血液中の血液凝固第VIII因子が不足すると、止血に時間がかかり、内出血などにより激しい痛みや関節症をともなう可能性があります。また、適切な治療が施されなければ、生命の危険にさらされる恐れもあります(5,7)。世界血友病連合によると、全世界に40万人以上の血友病患者がいるとされ、人種や経済圏に関係なく発症します(8,9)。日本には、4,475人の血友病A患者がいると報告されています(12)。
■インヒビターについて
重症および重症中等症血友病A患者の3分の1程度において、インヒビター発生のリスクがあるとされています(10)。インヒビターは、血液凝固因子製剤の補充療法に対して免疫系によって産生する抗体で(11)、凝固因子製剤の作用を中和し、血液の適切な凝固作用を阻害します10。インヒビターを保有する血友病患者は、保有しない患者に比べ、コントロールできない出血のリスクが高く、止血がより困難になります。インヒビターの発生は、血友病治療に関連する最も重篤な有害事象のひとつとされ、運動障害、手術の必要性や手術の複雑性または危険性が増す合併症が発症する可能性があります(10)。
■バクスターの血友病領域における取り組みについて
バクスターは、血友病領域において60年以上の実績があり、世界初となる治療法を数多く提供してまいりました。業界随一の広範な血友病治療のポートフォリオを有し、各治療ステージに見合うさまざまな選択肢を提供することにより、患者さん個別の選択に対応することが可能です。血友病治療の最適化と世界中の血友病AおよびB患者さんのQOL向上に向け、今後も引き続き取り組んでまいります。
■バクスターインターナショナルインクについて
バクスターインターナショナルインクは、その子会社を通して、血友病や免疫不全症、がん、感染症、腎疾患、外傷などに対する医薬品・医療機器を開発および製造販売し、患者さんの救命や生命維持に貢献しています。多様性に富んだグローバルヘルスケア企業として、医薬品、医療機器、およびバイオテクノロジーの専門技術を活用し、世界の医療の向上に寄与する製品を創出します。
■バクスター株式会社について
バクスター株式会社は、腎不全、血友病、輸液、麻酔、疼痛管理の領域に特化した世界的なヘルスケアカンパニー、米バクスターインターナショナルインクの日本法人です。医薬品、医療機器、バイオテクノロジーを中心とした医療サービスを患者さんや医療現場に提供し、医療に新たな価値を創造します。
1. 2013 ISTH Congress. E-poster presentation. Meta-analysis of Post Authorization Safety Studies (PASS): Worldwide postmarketing surveillance of hemophilia A patients treated with antihemophilic factor recombinant plasma/albumin-free method rAHF-PFM.
2. Valentino LA, Mamonov V, Hellmann A, Quon DV, Chybicka A, Schroth P, Patrone L, Wong W-Y for the Prophylaxis Study Group. A randomized comparison of two prophylaxis regimens and a paired comparison of on-demand and prophylaxis treatments in hemophilia A management. J Thromb Haemost 2012; 10: 359–67.
3. 2013 ISTH Congress. E-poster presentation. Integrated Analysis of Safety Data from 12 clinical interventional studies of a Plasma- and Albumin-free Recombinant Factor VIII (rAHF-PFM) in Persons with Hemophilia A.
4. How do you get hemophilia? World Federation of Hemophilia. Accessed on: June 3, 2013.
5. Frequently Asked Questions About Hemophilia. World Federation of Hemophilia. Accessed on: June 3, 2013.
6. What is Hemophilia? World Federation of Hemophilia. Accessed on: June 3, 2013.
7. Lee, C. A. Hemophilia Care in the Modern World, in Current and Future Issues in Hemophilia Care (eds E.-C. Rodriguez-Merchan and L. A. Valentino), 2011.
8. Treatment. World Federation of Hemophilia. Accessed on June 3, 2013
9. What is Hemophilia? Hemophilia Federation of America. Accessed on June 3, 2013.
10. Leissinger, Cindy A. Prevention of Bleeds in Hemophilia Patients With Inhibitors: Emerging Data and Clinical Direction. American Journal of Hematology. 2004.
11. What are Inhibitors? World Federation of Hemophilia. Accessed on June 3, 2013.
12. 厚生労働省委託事業「血液凝固異常症全国調査」2012年度報告書
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