学生アンケートから遠隔授業に関する実態を分析。
成城大学(東京都世田谷区 学長:戸部 順一)は、教育の質向上を目的として授業の改善等に関する学生アンケートを毎年実施しており、その中から、コロナ禍における遠隔授業の実態について分析しました。
調査は、学生が保有する機器・受講環境から、遠隔授業のツールと形式、授業に対する満足度や「遠隔授業を円滑に受講できているか?」「担当教員とうまくコミュニケーションをとれているか?」といった具体的内容まで多岐に渡ります。
主な分析結果
■学生授業評価は、前期には全般的に落ち込むも後期には向上 ⇒ 遠隔授業改善の傾向
設問に対し [5点:とてもそう思う]~[1点:まったくそう思わない]で回答(調査結果の一部抜粋)
2019年度後期 2020年度前期 2020年度後期
教員の指示は明確で分かりやすかった 4.21 3.98 4.23
授業資料は見やすかった 4.05 3.96 4.18
この分野への興味・関心が引き起こされた 4.09 3.93 4.15
この授業は自分にとって有意義だった 4.14 3.98 4.23
全面的に遠隔授業が実施された2020年度前期授業に対する学生の評価は、昨年度(コロナ禍以前の対面授業)に比べて全般的に落ち込んだが、後期には向上している。リアルタイムやオンデマンドの授業形式を問わず同様の傾向が見られ、不慣れな遠隔授業導入当初に比べて次第に各授業で改善に努めたことがうかがえる。
■課題が多くて大変? 学生の不安や不満
遠隔授業で提示される課題の分量をどう感じていますか?
8割超の学生が「課題が多い」と感じている(とても多い44.4%、やや多い39.9%)。
さらに自由記述を分析すると、量の問題だけでなく「課題へのフィードバックがなく、質問しても対応がない」「課題をやっても、自習しているだけなので、知識が定着しているのかわからない」といった学生の不安や不満が見えてきた。
その一方で「課題が多いので、きちんと計画を立てて勉強している」という前向きな意見もあった。
■授業を有意義に感じるかどうかは「双方向コミュニケーション」
この授業は自分にとって有意義だった 教員との双方向のやりとりが十分にあった(5点満点)
とてもそう思う 4.50
そう思う 3.74
どちらでもない 3.09
あまりそう思わない 2.61
まったくそう思わない 1.79
「授業科目の担当教員とはコミュニケーションはとれていますか?」の問いに対して、57.5%の学生が「とれている」と回答(うまくとれている11.8%、どちらかといえばとれている45.7%)。
学年別に見ると、「うまくとれている」と回答した4年生が29.1%いるのに対し1年生は8.8%にとどまり、入学早々遠隔授業を強いられた1年生の苦労がうかがえる。
また、上述した通り、「この授業は総合的に判断して自分にとって有意義だったか?」とのクロス分析では、「教員との双方向のやりとりが十分にあった」満足度と「この授業は自分にとって有意義だった」という満足度が比例することが分かった。
この詳細を分析すると、リアルタイム形式、オンデマンド形式、あるいは(後期から一部再開した)対面方式でも同様の傾向が見られる。
そのことから、対面/遠隔という授業形式や遠隔授業のツールに関わらず、学生の授業に対する満足度は「教員とのコミュニケーション」による影響が大きいことが明らかになった。
遠隔授業は「繰り返し視聴出来る」等のメリットから今後も継続を望む声がある一方、友人と出会う等の本来的な学生生活を享受できないという難点もあります。また教員からも「授業準備に時間がとられる」という声がある一方、「教室より学生との距離を近く感じる」という好意的な声もあり、まだ全国的に見ても模索が続いている状況とも言えます。
■調査概要
受講前環境調査(20年4-5月実施、回答率62.2%)、中間実態調査(6月実施、回答率29.4%)、
授業改善アンケート(前期7月、後期12-1月実施、両方とも回答率22.4%)
調査対象:2020年度 成城大学在学生約5600人
■調査の実施・分析
成城大学教育イノベーションセンターIR推進室
担当:朴 炫貞(パク・ヒョンジョン Park Hyunjung)
成城大学では、こうした調査・分析を実施し、その結果や学生の意見等を参考に、「教育の質」の向上に向けた改善を続けていきます。
▼本件に関する問い合わせ先
成城学園企画広報部 企画広報課
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メール:kikaku@seijo.jp
【リリース発信元】 大学プレスセンター
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