ホウ酸、ホウ砂はセルロース系材料に高い難燃効果を有することは古くから知られていましたが、金沢工業大学バイオ・化学部応用化学科の露本伊佐男教授の研究室では、ホウ酸ナトリウムを高濃度に含有した水溶液を簡便な方法で製造する技術を開発し、特許を取得しています(特許第4439234号、特許第5079983)。厚み15mm以上のスギ(無垢材、集成材)にホウ酸ナトリウムを加圧含浸することで不燃化できるため、「公共建築物等における木材の利用促進に関する法律」が平成22年に成立、施行されたことに伴い、露本教授の特許技術の社会実装が急速に進んでいます。
また省エネ住宅で断熱材として使われている硬質ポリウレタンフォームや、工場での汚れ吹き、白衣、農業用シートなどさまざまな需要があるポリプロピレン不織布なども、デンプンを加えたホウ酸ナトリウム水溶液を塗るだけで難燃化ができるため、今後の需要拡大が期待されています。
【社会実装事例】
平成22年に「公共建築物等における木材の利用促進に関する法律」が成立、施行されたことにより、不特定多数の人が利用する駅や空港、バスターミナル、地下街、公立美術館、保育所、福祉施設などに不燃木材が数多く採用され、意匠を凝らしたデザインの天井や壁、床などで、利用する人の目を楽しませています。また最近、木材による暖かみのあるデザインを採用する居酒屋などの店舗も増え、難燃木材の需要が増えつつあります。
石川県金沢市の加賀木材株式会社は、露本教授の特許技術を使った不燃木材を「もえんげん(R)」という名称で製造、販売し、金沢駅金沢港口シェルターや駅構内の店舗、近江町市場、グランフロント大阪など、県内外のさまざまな施設に導入されています。
加賀木材 不燃木材「もえんげん(R)」導入実績
http://www.kagamoku.co.jp/moengen-works/
【ホウ酸ナトリウムの難燃メカニズム】
木材に含浸されたホウ酸ナトリウムが熱に反応して発泡し、その発泡層で可燃物が包み込まれ、酸素と熱を遮断。表面の炭化が促進され、炭化層と発泡層で内部を保護します。
デンプンを加えたホウ酸ナトリウム水溶液を塗布したプラスチックの場合も加熱時にホウ酸ナトリウムが造膜し発泡層を形成するため酸素が遮断されます。デンプンは酸素を遮断された状態で加熱されるので緻密な炭化層を形成。これら発泡層と炭化層の両者が基材を熱と酸素から保護し、燃焼が抑制されます。
▼本件に関する問い合わせ先
金沢工業大学 広報課
住所:石川県野々市市扇が丘7-1
TEL:076-246-4784
FAX:076-248-7318
メール:koho@kanazawa-it.ac.jp
【リリース発信元】 大学プレスセンター
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