三井住友DSアセットマネジメント株式会社(代表取締役社長 兼 CEO:松下隆史)は、経済イベントや市場動向に関するマーケットレポートを日々発行しております。このたび、マーケットレポート
「米中交渉の前進を期待するアジア株式市場 ~10月の米中閣僚級協議がカギ~」を2019年9月11日に発行いたしましたので、お知らせいたします。
【ポイント1】米中交渉の前進期待から戻り基調
予想PERは12.9倍まで回復
■8月中旬にかけて大きく調整したアジア株式市場は、8月末以降、米中懸念が後退したことや中国による消費刺激策の発表などを受け、戻り基調に転じました。9月5日には、中国商務部が米中両国の閣僚級協議を10月上旬にワシントンで開催することを発表するなど、米中交渉が進展するとの期待が株価を支える要因となりました。12カ月先予想株価収益率(PER)も一時12倍ギリギリまで低下しましたが、9月10日現在では12.9倍まで回復しました。
【ポイント2】「情報技術」、「電気通信」が堅調
「一般消費財」も引き続きしっかり
■セクター別に見ると、8月中旬からの戻り率は「情報技術」、「電気通信」が相対的に高くなっています。「情報技術」が堅調となった背景として、アジアの半導体の売り上げが大底を形成するとの期待があると思われます。また、小売りや自動車などが含まれる「一般消費財」が引き続き下げ止まりから緩やかな上昇を続けていることは明るい兆しです。
【今後の展開】10月の米中閣僚級協議は分岐点となるか
■今後のアジア株式市場は、2つの点が注目されます。第1は、アジア株価指数の時価総額の17%を占める「情報技術」の業績と株価で、その方向性に大きな影響を与える半導体の売り上げです。2018年9月にピークを付けたアジア(含む中国)の半導体売り上げは、19年3月の201億ドルを底に7月には211億ドルと回復傾向を示しています。中国では次世代通信規格5Gの通信整備が進んでおり、2020年にかけて需要の拡大が期待されます。
■第2は、10月に開催が予定される米中閣僚級協議です。一部メディアは、中国が農産物の購入で10月に米国と合意する可能性を報じており、米中交渉がさらに前進する可能性があります。トランプ大統領は、過去に閣僚級協議の合意を何度も覆しているだけに、楽観はできません。ただ、来年11月に大統領選挙を控えたトランプ大統領が、中国側からの譲歩を引き出せれば、妥協する余地も生まれる可能性があります。米中交渉の分岐点になるか、注目が集まりそうです。
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