関西大学化学生命工学部の大洞康嗣教授の研究グループは、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクト「有機ケイ素機能性化学品製造プロセス技術開発」(プロジェクトリーダー:佐藤一彦〔産総研〕)において、シリコーンなどの有機ケイ素部材のさらなる高機能化と安価提供を実現させる革新的な触媒技術の開発に成功しました。
【本件のポイント】
・有機ケイ素部材(シリコーンなど)の高機能化および安価提供を実現する革新的な触媒技術を確立
・簡便操作で触媒のリサイクルが可能で、温度刺激応答型触媒としても利用できる
・白金ナノ粒子との混合で、種々のシランカップリング剤合成触媒としても展開可能
大洞教授の研究グループで開発したのは、有機ケイ素化合物の合成等に用いられる最も一般的な反応であるヒドロシリル化反応に高い活性を有する「酸化鉄ナノ粒子触媒」。同触媒は「保護剤・分散剤・還元剤フリー」で、DMF(N, N-ジメチルホルムアミド)中において、加熱攪拌のみの操作で簡便に合成することができます。
従来、有機ケイ素原料から有機ケイ素部材を製造するプロセスにおいて、高価・希少金属である白金を触媒として使用していましたが、触媒被毒や触媒成分混入による性能低下、さらには重要な工業原料に使えない 場合があることなどが課題となっていました。また、有機ケイ素工業の主製品であるシリコーンは、安定性、耐候・耐熱性、透明性といった特性から、有機ポリマー部材に比べて高価であるにもかかわらず広い産業分野で使用されており、一層の性能向上が求められています。
新触媒は少量で高い活性を示すのみならず、白金ナノ粒子との混合で、種々のシランカップリング剤合成 触媒としても展開可能であり、簡便な操作で生成物との分離と触媒のリサイクルも可能という特長も有しています。かつ60℃の温度では反応せず100℃で反応が効率的に進行するという、従来のヒドロシリル化触媒では達成できなかった、温度刺激応答型触媒としても利用できるという点も画期的です。その結果、有機ケイ素部材の製造プロセスにおいて、従来方法からの大幅な省エネルギー化とコスト低減、製品性能の向上が実現 します。環境面・コスト面に配慮し、高度に制御されたこの製造プロセスの波及効果は極めて大きいと言えます。
■ 酸化鉄ナノ粒子触媒の特長
〇 保護剤・分散剤・還元剤フリーで、DMF中で加熱攪拌のみの操作で簡便に合成できる
〇 高安定性 〇 低コスト
〇 少量で高い触媒活性
〇 簡便な操作での触媒のリサイクルが可能
〇 温度刺激応用型触媒として利用可能
〇 白金ナノ粒子との混ぜ合わせにより、種々のシランカップリング剤合成触媒としての利用に展開可能
【本件に関するお問い合わせ先】
化学生命工学部教授 大洞 康嗣(おおぼら やすし)
TEL:06-6368-0876 E-mail:obora(at)kansai-u.ac.jp ※(at)は@に置き換えてください。
▼本件の詳細▼
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http://www.kansai-u.ac.jp/global/guide/pressrelease/2019/No4.pdf
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