神田外語大学(千葉市美浜区/学長:宮内孝久)の講師である知念渉氏が、高校で〈ヤンチャな子ら〉と3年間をともに過ごし、高校を中退・卒業してからも継続して話を聞くことで、彼らの等身大の姿を丁寧に捉えた『〈ヤンチャな子ら〉のエスノグラフィー ヤンキーの生活世界を描き出す』を2018年12月28日に刊行した。集団の内部の亀裂、地域・学校・家族との軋轢、貧困や孤立など、折り重なる社会的亀裂を抱える若者の「現場」から、分断や排除に傾かない社会関係の重要性を指し示す一冊。
ヤンキーという言葉から、どのようなイメージをもつだろうか。時代遅れというイメージがある一方で、近年では「マイルドヤンキー」のようにマーケティングの対象として注目されたりもしている。しかし、ヤンキーと呼ばれる若者が何を考え、どのように生活をしているのか、学術的な調査に基づいた書物は少ない。
そこで神田外語大学外国語学部国際コミュニケーション学科の講師である知念渉氏は大阪府内の公立高校で、〈ヤンチャな子ら〉と呼ばれる男子生徒14人を調査。一般にはヤンキーとも呼びうる生徒たちである。実際に学校に滞在して彼らと交流し、中退/卒業した後も追跡調査を行なった。
イメージで語られがちなヤンキーは、何を考え、どのようにして大人になるのか。本書は世間一般に流布するヤンキー・イメージの再生産には与しない。あくまでも男子生徒たちの生活を、彼らの視点から描き出そうとする。その結果、浮かび上がってくるのは、対立だけではない教師との関係、〈インキャラ〉と自らの集団の線引き、家族との距離感、そして大人への移行期に社会関係を駆使して生き抜く実際の姿である。
◆書籍情報
書 名 〈ヤンチャな子ら〉のエスノグラフィー ヤンキーの生活世界を描き出す
著 者 知念 渉
出版社 青弓社
体 裁 四六判 276ページ 並製
価 格 本体2400円+税
発 売 全国書店
発売日 2018年12月28日
◆著者情報
知念渉(CHINEN, Ayumu)
1985年、沖縄県生まれ。神田外語大学外国語学部国際コミュニケーション学科講師。専攻は教育社会学、家族社会学。論文に「〈ヤンチャな子ら〉の学校経験」(「教育社会学研究」第91集)、「「貧困家族であること」のリアリティ」(「家族社会学研究」第26巻第2号)、「〈インキャラ〉とは何か」(「教育社会学研究」第100集)、共訳書にトニー・ベネットほか『文化・階級・卓越化』(青弓社)など。
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