米国メリーランド州を拠点とするバイオテクノロジー企業、イミュノミック・セラピューティクス社 (ITI: 英名Immunomic Theraputics, Inc.、株式非公開) は、日本の動物用医薬品会社であるゼノアック (日本全薬工業株式会社、福島県郡山市) と、犬のアトピー性皮膚炎やその他コンパニオンアニマルのアレルギーに対するDNAワクチン「ITI-002」の開発・商品化における独占的ライセンス契約を締結しました。この治療法は広範な免疫反応を引き起こすワクチンの開発にヒトやその他の哺乳類の自然生化学を利用するというITI独自のUNITE
TM (UNiversal Intracellular Targeted Expression:ユニバーサル細胞内標的発現) プラットフォームを基に開発されました。
イミュノミック・セラピューティクス社の CEOウィリアム・ ハール博士は、「私たちのUNITEプラットフォームは、ヒトと動物における症状に対する洗練されたDNAおよびRNAワクチンをつくり続けます。」と述べ、次のように続けています。「この重大な犬の健康問題に対する私たちの技術の応用を調査することが、アレルギー研究開発プログラムにおいてここ数年間の重要課題でありました。この開発過程を継続し、本製品を市場に送り出すにあたり、ゼノアックというアニマルヘルス分野における頼もしいパートナーができたことは大変喜ばしいことです。私たちは、アニマルヘルス市場におけるゼノアックの豊富な経験に信頼を寄せており、犬のアレルギーに対する潜在的高価値を有するこの治療法を世界中で商品化することができると確信しています。」
アトピー性皮膚炎は、おおよそ10~15%の犬にみられる慢性炎症性皮膚疾患です
(※)。この疾患は、草やイエダニ、カビなどの一般的な環境物質に対するアレルギー反応によって引き起こされます。ITIの実験的ワクチンは、主要なヌクレオチド配列の送達によって数々のアレルゲンに対する寛容を構築するように設計されています(例:イエダニのヌクレオチド配列のコード化)。
ゼノアック代表取締役社長の福井寿一氏は次のように述べています。「犬のアトピー性皮膚炎は、動物とその飼い主の両方に対し、生涯にわたり悪影響を及ぼす疾患です。イミュノミック社の免疫療法プラットフォームは、多くの技術的・科学的進歩を組み合わせ、炎症の根本的原因を標的にした新たな治療法の到来を告げる可能性のあるワクチンを製造しています。」
本契約の一部として、ゼノアックは腫瘍学を含むアニマルヘルス分野において、UNITEに基づく他の療法および適用に対し独占的オプション権を得ます。
※Hillier A, Griffin CE. ACVD 犬アトピー性皮膚炎国際調査委員会(I): 発症率と有病率. 獣医免疫病理学. 2001;81(3–4):147–151. doi: 10.1016/S0165-2427(01)00296-3.
UNITEについて
ITI が研究中のUNITEプラットフォーム、もしくはユニバーサル細胞内標的発現は、ヒトにおける内因性タンパク質であるリソソーム膜蛋白質をコードすることによって働くと考えられています。このように、ITI のDNAまたはRNAワクチンは、抗体産生や、サイトカイン放出、重要な免疫記憶を含む広範な免疫反応を発達させるために、体内の自然生化学を利用する可能性を持っています。この手法により、癌やアレルギー、感染症などの多くの疾患で免疫療法が用いられるような場合にUNITEの技術を応用することができるだろうと考えられます。現在、UNITEは癌免疫療法として第 II 相臨床試験に用いられています。ITI はまた、神経膠芽腫や急性骨髄性白血病のような、治療の選択肢が限られたケースを含む高死亡率の癌におけるUNITEの応用を研究するため、アカデミックセンターやバイオテクノロジー企業と協力しています。ITI は、これらの初期臨床試験が、癌治療におけるUNITE治療法の概念実証を提供すると確信し、これが成功した場合、これらの腫瘍のみならず他の腫瘍とのコンビネーションを含む将来的な研究ステージへと進むことができると考えています。現在、LAMP核酸構造体が、高度免疫原性を有する腫瘍型において増幅および活性化し、免疫反応を示さない腫瘍型への免疫反応を構築するのに使用されるかどうかを探るため、前臨床データを開発しています。
イミュノミック・セラピューティクス株式会社
イミュノミック・セラピューティクス (ITI) は、臨床開発段階でLAMP技術に基づく先駆的な核酸免疫療法のプラットフォーム研究を行う、株式非公開のバイオテクノロジー企業です。これらの治験技術は、がん、アレルギー、アニマルヘルスに対する免疫療法の使用法を変える可能性を持っています。ITI はアレルギー疾患の予防と治療に使用するための免疫療法プラットフォームであり、UNITE技術の先駆けとなった LAMP-Vax技術の応用を探るために、アステラス製薬株式会社との間で重要なライセンス契約を締結しました。
ITIおよびUNITE技術に関しては以下のURL参照。
https://www.immunomix.com
ゼノアック (http://www.zenoaq.jp/english/)
1946に設立されたゼノアック (日本全薬工業株式会社) は、日本における動物用医薬品市場のリーディングカンパニーです。ゼノアックは約700人の社員を有し、2017年度に約341億円の売上 (約310.0 ドル) を創出しました。動物医薬品の研究開発、製造、輸入、製品とコンパニオンアニマルの幅広いプロダクト・ポートフォリオへの貢献を中心とした堅実なビジネスモデルを有しております。また、ゼノアックは福島を拠点として、日本国内における獣医療製品の最も幅広い販売網を持ち、強力な直販体制を取っております。2014年6月、ゼノアックは、コンパニオンアニマル市場への革新的なパイプラインに対する注力の結果として、イエダニ起因の犬アトピー性皮膚炎に対して初の減感作療法薬であるアレルミューンHDMを発売しました。
ゼノアックのパートナーとしては、ベーリンガーインゲルハイムアニマルヘルス社、セバ・サンテ・アニマル社、ベトキノール社、マース社、インターベット社、DSM社、およびアイデックスラボラトリーズ社などがあります。
本和訳は、英語版のプレスリリースの翻訳版として提供させていただくものです。正式言語が英語であるため、表現や内容につきましては英文リリースが優先されますことをご留意下さい。