パレスチナで活動する世界の医療団(Medecins du Monde 以下MDM)は、イスラエルによるベドウィン居住地Abu-a-Nuwarでの破壊活動に懸念を表明するとともに、多くのベドウィンの人々に影響を及ぼすKhan Al-Ahmarでの住居破壊活動について抗議の声を上げます。
2018年5月25日、ベドウィンの住居を取り壊し、軍用地にする裁定が下されたことを受けて、イスラエルの民生局は7月3日、ベドウィン住居地のKhan al-Ahmarの住居解体作業に着手しました。Khan al-Ahmar地区には235人が居住しており、うち53%が子ども。95%がベドウィン族のパレスチナ難民です。7月4日水曜日、イスラエル当局は19の建造物を破壊し、Abu-a-Nuwar 地区に住む51人のベドウィンが追い出され、650人のパレスチナ人が影響を受けました。
ベドウィン、特にパレスチナ自治区ヨルダン川西岸(West Bank)やネゲブの困難な環境で暮らすベドウィンの人々は、深刻な人道危機に陥っており、支援を必要としています。ベドウィン民は、1950年代にBeershebaの牧畜地から追いやられ、その後多くのベドウィンがKhan Al-AhmarとAbu-a-Nuwarに移住しました。 2016年、Abu-a-Nuwarの学校が3度にわたり、部分的に破壊されました。2018年2月には、2つの学校が破壊されました。イスラエル最高裁判所が一時的に解体を中止するという差し止め命令を出したにもかかわらず、Khan al-Ahmarの住民は依然として自宅を追われ、転居する自由さえも奪われています。今日、46のコミュニティが、解体と強制的な移動の危機にさらされています。
1967年以降、イスラエルはヨルダン川西岸と東エルサレムで、入植地建設を拡大、加速化してきました。イスラエル当局は、西岸の44%を占めるエリアCの70%をイスラエル入植地もしくは軍用地に、パレスチナ側にはたった1%を配分する計画を立てています。この計画によって、2009年より5450軒の建築物の破壊解体が行われ、住む場所を失った8353人の避難民が生み出されました。2014年末、国連安全保障理事会は国際法の重大違反として、住居を破壊し住民を追いやるイスラエルの入植地建設活動の即時停止を求める国連安保理決議第2334号を採択しました。国際社会による非難と拘束力ある決議が採択されたにも関わらず、今日まで強制退去が実行され、入植活動は続けられ、そして拡大しています。
世界の医療団は、23年以上にわたりKhan Al-Ahmar、Abu-a-Nuwar、ヨルダン川西岸地区などのパレスチナ自治区で、子ども、青少年を含む心理社会的ケアを提供しています。
パレスチナで活動する世界の医療団フランス、スペイン、フランスは、人々の住居解体や西岸への入植活動に対し抗議するとともに、ジュネーブ四条約のもと、不法な財産破壊や人々の強制移動は違反行為であり、その責任が問われるべきであることと考えます。
世界の医療団は、イスラエルの破壊活動の停止を求める国際社会の声に賛同し、イスラエルが国際人道法遵守の義務を履行することをここに要請します。