日本板硝子株式会社(本社:東京都港区、代表執行役社長 兼 CEO:細沼宗浩)は、一般社団法人 板硝子協会(所在地:東京都港区、会長:森重樹、以下「板硝子協会」)と共同で回収した改修建築物由来の廃棄ガラスを原料としてフロート板ガラスを製造する実証実験に成功しましたのでお知らせします。
今回の取り組みでは、国立大学法人東京大学の建屋から撤去された廃棄ガラス(飛散防止フィルム付きセラミック印刷強化ガラス、厚さ12ミリ)を板硝子協会と共同で回収しました。これを原料として活用し、使用済みガラスをフロート板ガラスへ再生する水平リサイクルに取り組みました。
回収した廃棄ガラスは、中間処理業者において分別し、飛散防止フィルムが除去されたものを2026年8月下旬に当社千葉事業所(千葉県市原市)のフロート窯へ投入し、製造実験を実施しました。あわせて、製品品質および製造プロセスへの影響評価を行った結果、一定の条件下においてリサイクル原料として問題なく使用できることを確認しました。これにより、市中から回収された廃棄ガラスを用いたフロート板ガラス製造への水平リサイクルが国内において実現可能であることを実証しました。
また、飛散防止フィルムが混在し、フロート板ガラスへ水平リサイクルされなかった回収ガラスは、中間処理業者を経てグラスウール原料に利用される垂直リサイクルにも取り組みました。
これまで板ガラス製造においては、自社グループ内で発生し、最終製品となる前の工程で回収されるガラス屑(プレカレット)については、ほぼ全量が再びガラス製造原料としてリサイクルされてきました。
一方、建築物の解体や自動車の廃車などに伴って発生する廃棄ガラス(ポストカレット)を製造原料として利用するには、金属などの異物混入による製造ロス発生リスクがあり、技術的に多くの課題が存在します。特に建築用および自動車用ガラスの大半を占めるフロート板ガラスの製造工程では、ごく微量の異物であっても品質や操業に大きな影響を及ぼすため、市中のポストカレットの大部分はこれまで産業廃棄物として処理されてきました。
近年、カーボンニュートラルの実現やサーキュラーエコノミー(循環型経済)への要請が高まる中、個別企業によるポストカレット利用拡大の取り組みだけでは限界がありました。
こうした状況を踏まえ、板硝子協会は2025年12月に「板ガラスリサイクルビジョン ~ファーストビジョン2025~」を策定しました。同協会および会員企業であるAGC株式会社、セントラル硝子プロダクツ株式会社、および当社(日本板硝子株式会社)の3社は、業界全体で国内ポストカレットのリサイクル拡大に取り組む方針を示しています。
同ビジョンでは、建築物や使用済み自動車から排出される廃板ガラスを回収し、建築用板ガラス製品の製造原料として再利用するための制度・体制の構築を目指しています。また、会員各社が製造工程での利用検証・推進を進めるとともに、ガラスと他部材を容易に分離・回収できる技術開発にも取り組んでいます。
現在、国内におけるポストカレットのリサイクル実績は年間でまだわずかな規模にとどまっていますが、業界全体として2030年度に年間11万トン、2050年度に年間30万トンのリサイクル実現を目標としています。
本技術および循環プロセスが実用化されることで、これまで廃棄されていたガラスの有効利用が進み、資源循環型社会の実現に貢献します。さらに、珪砂やソーダ灰などの天然資源使用量の削減に加え、カレット利用拡大による溶融窯のエネルギー効率向上が期待されます。これにより、フロート板ガラス製造工程におけるCO₂排出量の削減にもつながり、カーボンニュートラルの実現により近づくことが期待されます。
当社は今後も板硝子協会ならびに業界各社と連携し、ガラス産業全体の脱炭素化と循環型社会の実現に向けた取り組みを推進してまいります。

当社千葉事業所
板硝子協会 板ガラスリサイクル・再資源化部会主査(東京大学大学院 新領域創成科学研究科 教授)
清家 剛 先生のコメント:
これまで板ガラスメーカーは、建築物の解体時の廃棄ガラスについては、不純物が混入する可能性が高くリサイクルには不向きと考えて、積極的なリサイクルについて検討してこなかった。しかし、カーボンニュートラルのためにあらゆる手段を講じるというスタンスからこれまでの方針を変更し、板硝子協会として2025年12月12日に解体現場の廃棄ガラスも含めた多くのガラスを集めて、リサイクルすることを宣言した。
今回は国立大学法人東京大学で、当初産廃処理をする予定だったガラスを提供し、板硝子協会を中心にリサイクルの実証実験を行った。当該ガラスは、飛散防止フィルム付きで、ガラスカレット原料とするにはハードルの高い仕様であったが、カレット化時および人的作業等によってフィルムを除去し、一部の材料を日本板硝子 千葉事業所のフロート窯へ投入し、利用することが出来た。市中から回収するガラスには様々な仕様があり、それぞれに分別、回収、品質管理と多くの課題があるが、その課題を一つ一つ解決しながら、ガラスリサイクルの歩みを進めてほしい。
以 上