香川大学医学部附属病院小児科では、このたび国内で初めて、幼児の難治性再発性CD(クロストリディオイデス・ディフィシル)腸炎に対する糞便移植(FMT)を実施し、治療に成功しました。
現在、CD腸炎の治療は主に抗菌薬の投与が行われますが、初回の治療後も約20%の患者で再発し、一度でも再発を経験すると約60%の確率で再発を繰り返すことが臨床上の大きな課題となっています。
成人においては、健康な人の便に含まれる腸内細菌を移植する糞便移植(FMT)が90%以上の高い治癒率を示す有効な治療法として確立しつつありますが、国内において小児に対する実施報告はありませんでした。
このたび当院において、CD腸炎の再発を繰り返していた3歳の女児に対し、院内の倫理委員会の承認およびご家族の十分な同意を得た上で、本学医学部分子微生物学教室の協力体制のもと、ドナー(父親)の便を用いた糞便移植(FMT)を実施しました。大腸内視鏡を用いて直接腸内に散布することで安全に移植を行った結果、単回の治療で速やかに患者の腸内細菌叢の多様性が回復し、ドナーの腸内細菌叢に類似する状態へと改善しました。さらに、移植後に別の感染症治療で抗菌薬を使用する機会があったにもかかわらず、腸内細菌叢は正常に回復・定着し、移植から1年が経過した現在も再発や合併症は一切認められておりません。
本症例の成功は、国内の小児再発性CD腸炎に対する安全で有効な治療選択肢として、糞便移植(FMT)が極めて有望であることを示しました。当院小児科は、これからも基礎医学分野との連携をはじめとする先進的な医療アプローチを通じて、子どもたちの健康と生命を守るための医療提供に努めてまいります。
なお、本成果は、第52回日本小児栄養消化器肝臓学会(2025年9月26~28日開催)および第129回日本小児科学会学術集会(2026年4月17~19日開催)においても報告されました。
▼本件に関する問い合わせ先
香川大学医学部小児科学講座
近藤 健夫
TEL:087-891-2171
メール:kondo.takeo@kagawa-u.ac.jp
【リリース発信元】 大学プレスセンター
https://www.u-presscenter.jp/