~ 「生産性向上推進体制加算」申請の省力化、現場負担の軽減を確認 ~
川崎重工は、厚生労働省による「令和7年度老人保健健康増進等事業(老人保健事業推進費等補助金)」(以下、本事業)に参画し、介護施設が国に申請する「生産性向上推進体制加算」手続きの省力化、介護現場の業務見直しによる職員の負担軽減を実現する手法を開発しました。
日本では、少子高齢化の急速な進展により、2040年までに約57万人の介護職員の確保が必要※1とされています。一方で労働人口の減少に伴い、介護現場の人手不足も加速しており、業務効率化と職員の負担軽減に向けた取り組みが求められています。このような背景から、2024年度にICTやロボットの活用によって介護施設の労働環境改善やサービス品質向上を支援するための「生産性向上推進体制加算」制度が新設されました。
本制度により、業務効率化に向けた取り組みの促進が期待される一方で、申請書類の作成にあたっては介護施設の負担が大きく、特に職員の行動記録を詳細に記載する「タイムスタディ調査票」の作成については省力化が大きな課題となっていました。この課題に対して、当社は独自技術であるデジタル位置屋内位置情報サービス「mapxus Driven by Kawasaki」を用いた行動計測などの知見を活かした事業提案を行い、2025年9月より本事業に参画しました。
行動計測を活用した「タイムスタディ調査」イメージ
本事業における「mapxus Driven by Kawasaki」の活用より、職員による手入力を一切伴わずに介護行動計測を行うことで、「タイムスタディ調査票」へ自動的に記入する仕組みを開発するとともに、取得したデータを活用して業務全体を俯瞰し、業務の偏り・滞留を明確化してオペレーション全体を改善する手法を開発しました。
なお、これらの手法については、介護現場に関する多くの知見を有する一般社団法人日本ノーリフト協会の支援のもと、複数の介護施設で検証を行い、業務効率化や職員の負担軽減の面で一定の効果があることを確認しています。
今後は、本事業で開発した効率化手法を全国展開することで、「生産性向上推進体制加算制度」の促進に加えて、介護現場の負担軽減に貢献してまいります。
当社は、介護に関わる全ての方が安心して働き、暮らし続けられる未来を実現するために、技術と現場知見を結集し、持続可能な介護現場改革の実装に向けて、引き続き、取り組んでいきます。
<本事業の概要>
1)事業名:令和7年度老人保健健康増進等事業(老人保健事業推進費等補助金)
2)実施日時:2025年9月8日~2026年3月31日
3)実施内容:日本国内の特別養護老人ホーム・有料老人ホームなど5施設の協力のもと、
「タイムスタディ調査票」の自動作成、介護業務オペレーションの改善手法を開発
<本事業で確認した成果>
A.「生産性向上推進体制加算」申請に必要な「タイムスタディ調査」の省力化
〇施設職員の行動の記録を自動化
・位置情報を取得するためのロケーターを身に着けるだけで、位置情報に加えて、職員が行う具体的な介護行動(入居者への移乗、コミュニケーションなどの介護業務、文書作成等の間接業務など)を判定し、システム上に自動記録する仕組みを構築。介護施設での検証にて、職員による記録作業が一切発生しなくなったことを確認。
〇「タイムスタディ調査票」の自動作成
・職員の行動記録を、自動的に「タイムスタディ調査票」に反映する仕組みを構築。
・介護施設の検証では、1回につき、約30分を要していた作成時間を、実質0分に削減。
(手書き作業や入力式アプリと比較し、手間や業務への支障を軽減することを確認)
B.生産性向上を実現するオペレーション改善手法を確立
・行動計測データに基づき、業務の実態を可視化し、現場課題を定量的に明確化。
・行動計測データと職員とのディスカッションを組み合わせた分析手法により、現状把握、改善策検討、効果検証までの一連のプロセスを効率化。客観的なデータを活用することで、改善に向けた職員間の合意形成を円滑化。
・介護施設での検証では、入浴業務の改善により、職員の負担軽減と利用者のケア時間拡大を両立。具体的には、入浴スケジュールを曜日・時間帯ごとに明確化し、業務上の役割分担やインカムの活用を徹底することで、利用者の入浴準備や待機時間を削減し、浴室滞在時間の増加を確認(浴室滞在時間が約1.75倍に増加)。
※1 厚生労働省 推計
※2 川崎重工が提供するWi-Fi電波環境を活用した「屋内」での位置情報と、GPSなどで取得する「屋外」の位置情報と地図情報を併せて、屋内外空間でシームレスな位置情報を提供するサービス
以上