長崎大学熱帯医学研究所(NEKKEN)の稲岡 健ダニエル 教授と、藤田医科大学の土井 洋平 教授の研究グループによる、クレブシエラ属菌(肺炎桿菌)に対する新規作用機序を有する抗菌薬開発の研究が、Gates Foundation、Wellcome Trust、Novo Nordisk Foundationが支援する国際研究コンソーシアム「Gram-Negative Antibiotic Discovery Innovator(Gr-ADI)」に採択されました。【1】。
Gr-ADIには6千万ドル(約95億円)が投資され、世界中から500件以上の応募があり、選ばれたのは17国からの22の研究機関が参加する18の研究プロジェクトであり、日本からの採択は本研究グループのみでした。本プロジェクトは2026年3月から3年間にわたって実施される予定です。
クレブシエラ属菌は、病院内でも感染し、重い肺炎や敗血症などを引き起こす細菌で、高齢者や重症患者にとって特に大きな脅威となっています。近年、この菌に対して「最後の切り札」とされてきた抗菌薬さえ効かなくなる耐性菌が世界中で増えており、治療が難しくなるケースが深刻な社会問題となっています。その結果、患者の命に関わるだけでなく、医療現場の負担や社会全体への影響も拡大しています。
このような状況を打開するためには、これまでとは全く異なる仕組みで細菌に直接作用する、新しい抗菌薬の開発が強く求められていました。
本研究では、最新の網羅的解析技術(※)を活用し、既存の抗菌薬や開発中の薬とは異なる、新しい作用の仕組みをもつ抗菌薬の創出を目指しています。多剤耐性菌という世界的課題の解決に向けた、革新的な取り組みとして期待されています。
※網羅的解析技術:ゲノム解析(DNAの解析)、トランスクリプトーム解析(RNAの解析)、プロテオーム解析(蛋白質の解析)とメタボローム解析(代謝物の解析)を意味する。
【1】Philanthropic giants join forces over antimicrobial resistance. Nat Biotechnol 43, 289 (2025).
(
https://doi.org/10.1038/s41587-025-02620-0 .)