6月28日10:21(日本時間6月28日(日)23:21)、国際宇宙ステーション(ISS)搭載流星観測カメラ「メテオ」が再打ち上される。「メテオ」は千葉工業大学が独自に開発を進める、世界初の宇宙からの長期流星観測プロジェクトで、米国実験棟で主体的に科学観測を行うのは日本初。「メテオ」で撮影した流星映像は惑星探査研究センター内の運用管制室でその日のうちに見ることができる。
千葉工業大学惑星探査研究センターでは、国際宇宙ステーション(ISS)から超高感度CMOSカラ―ハイビジョンカメラにより流星の長期連続観測を行う「メテオ」プロジェクトをNASA, The Center for the Advancement of Science in Space (CASIS)およびSouthwest Research Institute (SwRI)と協力して2012年から進めてきた。
流星観測カメラシステム「メテオ」は、昨年10月末に米国バージニア州NASAワロップス飛行施設より、オービタル・サイエンシズ社(Orbital Sciences Corporation)のシグナス補給船運用3号機(Orb-3)に搭載され、同社で開発したアンタレスロケットで打ち上げられたが、打ち上げ直後の爆発により失われた。
爆発事故直後より、メテオ初号機と共に開発していた予備機を再打上げに向け整備し、今年4月にNASAへの引き渡しが無事完了。そして、いよいよ6月28日(日)に、米国フロリダ州ケープカナベラル空軍基地より、スペースX社商用補給機7号機ドラゴン(SpaceX Dragon CRS-7)に搭載され、同社開発のファルコン9ロケットにより国際宇宙ステーションへ打ち上げられる予定である。
ISSに打ち上げられた後、米国実験棟「デステニィー(Destiny)」内の観測用ラック(Window Observational Research Facility : WORF)に設置され、窓越しに約2年間流星観測を行う。
観測に使用するハイビジョンカメラは、NHK番組「宇宙の渚」で使用されたカメラの改良版。同プロジェクトは宇宙から流星を長期連続観測するという世界初の試み。また、米国実験棟で主体的に科学観測を行う日本初のプロジェクトである。
「メテオ」とは、日本語で流星のこと。流星とは、彗星や小惑星から放出された塵の集まりの中を地球が通過する際、塵が大気との摩擦により加熱され発光する現象である。「メテオ」の観測では、流星の飛跡や明るさから流星塵の大きさを求めたり、回折格子をレンズの前に取付けて分光観測を行い、流星塵の化学組成を調べたりする計画。また、毎年決まった時期に現れる流星群は、流星塵の元となる彗星や小惑星(母天体と呼ぶ)がわかっているので、流星群の観測結果から直接探査が難しい流星群母天体の特性を知ることができる。
ISSからの流星観測は、地上での観測と違い、天候や大気の影響を受けず、定常的な観測が可能。「メテオ」プロジェクトでは、ISSの軌道予測に基づき、夜間の観測スケジュールを予め登録し、夜になるとカメラが自動的に観測を始める。ISSが地球を約90分で一周するうち夜側は約35分間なので、「メテオ」が流星観測を行うのは一日あたり約560分間となる。高度約400km の地球周回軌道上からの2年間にわたる流星観測により、流星群の観測データ数が飛躍的に増え、流星群や流星群の母天体の実態が明らかになることが期待される。
観測された全映像データは、ISS上のコンピュータに接続されたハードディスクに保存される。通信データ容量の制限から、全てのデータを地上に降ろすことはできないが、ソフトウェアにより流星を含むデータのみ切り出し、惑星探査研究センター内の運用管制室で、その日のうちに観測映像を見ることができる。
※流星映像はWEB上で公開予定、また、東京スカイツリータウン(R)キャンパスでも一般公開予定(8月下旬~9月上旬)ですのでご期待ください。
●WEBサイト
http://www.perc.it-chiba.ac.jp/project/iss/index.html
(参考記事)
・千葉工業大学惑星探査研究センターが10月27日(予定)に国際宇宙ステーション(ISS)搭載流星観測カメラ「メテオ」を打ち上げ――10月22日に記者発表会(2014/10/21)
http://www.u-presscenter.jp/modules/bulletin/index.php?page=article&storyid=7165
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