産官学7者による「移動と健康」に関する共同研究がアジア健康長寿イノベーション賞2024日本国内優秀事例に選出
●受賞プロジェクト概要
本プロジェクトでは、河内長野市・王寺町をフィールドにして、公道用電動カートを導入し、高齢者の移動問題を解決することで、高齢者の健康・QOL(クオリティ・オブ・ライフ、生活の質)向上と社会保障費適正化の科学的根拠を示すとともに、高齢者が利用しやすく社会実装しやすい運行モデルを確立することを目指しています。
●プロジェクトの主要な成果
・電動カート導入地域では、1日平均利用者数が王寺町では25人、河内長野市では70人でした。
・利用者は非利用者と比べ、「日常における楽しみ」「生きがいを感じる機会」などの主観的QOL関連指標が良好に変化しました。
・利用者は非利用者と比べ、6年間の累積介護給付費が1人あたり3.0万円減少し、地域全体で約1,000万円/6年規模の介護給付費適正化と推計されました。
・利用者の声としては、「外出・買い物等が便利になった」「運行スタッフや利用者同士でのコミュニケーションが楽しい」「会話が弾む」「将来的に地域に必要な仕組みだ」「町中が元気になった気がする」等があがりました。
・電動カート走行中に、道端で倒れている人を発見し自宅送迎した事例もあり、地域の見守りにつながっています。
・電動カートの運行ルート上の地元スーパーでは、導入後に売り上げが上がった店舗もあり、自治会館で開催されているサロンに合わせた運行により、自治会館の利用も増えています。
●今後の展望
本事業で用いた地域課題の解決に向けた地域住民・自治体・地域企業の協働モデルは、他の社会的課題解決にも応用可能であり、国内外で広く参考になると考えられます。また、本プロジェクトで検証された利用者のQOL向上や介護給付費適正化の推計結果は、持続可能な運行サービスの構築に役立つと期待されます。
アジア健康長寿イノベーション賞には、12か国から応募があり、日本国内優秀事例を受賞したのは10事例でした。
https://jcie.or.jp/report/20241001.html