【東芝エネルギーシステムズ】「ネガティブエミッション技術」の国内初となる大規模な商用実装について
中国電力株式会社
住友重機械工業株式会社
東芝エネルギーシステムズ株式会社
日揮グローバル株式会社
「ネガティブエミッション技術」の国内初となる大規模な商用実装について
~防府バイオマス発電所へのCCS設備の設計・検討に着手~
中国電力株式会社(以下、「中国電力」)、住友重機械工業株式会社(以下、「住友重機械」)、東芝エネルギーシステムズ株式会社(以下、「東芝ESS」)および日揮グローバル株式会社(以下、「日揮グローバル」)の4社は、ネガティブエミッション技術※1である「BECCS」※2の国内初※3となる大規模な商用実装に向け、本日、中国電力グループのエネルギア・パワー山口株式会社(以下、「EP山口」)が運営する防府バイオマス発電所(山口県防府市)でのCO2分離回収・液化・貯蔵・払出設備を含めたCCS※4設備の設計・検討(以下、「本検討」)に着手しましたのでお知らせします。
本検討は、中国電力が独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構より令和6年度「先進的CCS事業に係る設計作業等」に関する委託調査業務を受託したこと(2024年9月13日お知らせ済み)に伴う取り組みです。4社は来年2月末まで検討を行い、2030年度頃までにCCS設備の導入を目指します。
防府バイオマス発電所で使用される燃料は、約45%が石炭、残りの約55%がカーボンニュートラル燃料である木質系バイオマスです。本検討では、同発電所で排出するCO2の80%に相当する約50万t-CO2/年を回収できる設備を設計します。これにより、石炭由来のCO2に加え、バイオマスの燃焼によるCO2も回収・貯留することとなり、実質的にCO2排出量をマイナスにするネガティブエミッションが可能となると考えています。
本検討において、中国電力は、発電設備の計画、設計、運用の知見を生かし、基本計画の策定と全体の取り纏めを行います。住友重機械は、バイオマスを含む幅広い燃料に適用可能なボイラ技術とCO2分離回収技術に関する知見を有しており、既存の発電設備の改造を含めたCO2分離回収プロセス全体の構成に係る設計・検討を担います。東芝ESSは、バイオマス発電所からのCO2分離回収技術の知見を有しており、その知見を生かし分離回収設備の設計・検討を担います。日揮グローバルは、CCS設備の実現可能性調査から設計・施工まで手掛けた実績を有しており、その知見を生かしてCO2液化・貯蔵・払出設備等の設計・検討を担います。
4社は、本検討を通じ、CO2の分離・回収から、液化・輸送・貯留まで一気通貫で取り組むバリューチェーンのうち、防府バイオマス発電所でのCO2の分離・回収から液化、貯蔵、払出までの検討を行います。火力発電の脱炭素化に向けた新たな取り組みを進め、2050年のカーボンニュートラル社会の実現への貢献を目指します。
※1 実質的にCO2排出量をマイナスにする技術
※2 BECCS:Bioenergy with Carbon dioxide Capture and Storageの略であり、バイオマスの燃焼により発生したCO2を回収・貯留することにより、大気中のCO2を削減するネガティブエミッション技術のこと
※3 2024年9月時点。10万t/年 以上のCO2分離回収設備として
※4 Carbon dioxide Capture and Storage:二酸化炭素(CO2)の回収・貯留。
BECCSによるネガティブエミッションの実現イメージ
(EP山口の会社概要)
社名 | エネルギア・パワー山口株式会社 |
代表者名 | 岩崎 央 |
資本金 | 20億円(中国電力株式会社100%) |
設立日 | 2015年2月26日 |
(防府バイオマス発電所の概要)
発電所名 | 防府バイオマス発電所 |
発電出力 | 112,000kW(発電端) |
発電所所在地 | 山口県防府市鐘紡町3番1号 |
運転開始日 | 2019年7月21日 |
使用燃料 | 木質系バイオマス・石炭の混焼発電 |
施工者 | 住友重機械工業株式会社 |
発電設備外観
別紙:各社概要
中国電力株式会社
所 在 :広島県広島市
代表者 :代表取締役社長執行役員 中川 賢剛
コメント:このたび、CCS設備に係る技術知見を有する住友重機械工業、東芝ESS、日揮グローバルとの協業により、防府バイオマス発電所におけるCCS設備の設計・検討業務を着実に遂行する体制が整ったと考えています。引き続き、当社グループを挙げて、2050年カーボンニュートラル社会の実現に向け、新たな取り組みを進めてまいります。
住友重機械工業株式会社
所 在 :東京都品川区
代表者 :代表取締役社長CEO 下村 真司
コメント:当社は国内外においてバイオマス等、多様な燃料を活用した発電プラントの豊富な納入実績を有しています。この経験から得られた知見やノウハウも活用し、排ガスからのCO2分離回収技術に関する知見を深めていくことでカーボンリサイクルの普及促進につなげ、当社納入の発電所へのCCS設備商用実装を実現し、2050年のカーボンニュートラルの達成と脱炭素社会の実現に貢献していきます。
東芝エネルギーシステムズ株式会社
所 在 :神奈川県川崎市
代表者 :代表取締役社長 島田 太郎
(株式会社東芝 代表取締役 社長執行役員 CEO)
コメント:東芝ESSは福岡県大牟田市の三川発電所において、2020年より世界初の
大規模BECCS対応設備を用いて、バイオマス発電所から排出されるCO2を分離回収する大規模な実証を進めています。この知見を生かし、今般4社で連携し、国内初となる大規模な商用実装に向けた設計・検討に参画できることを大変嬉しく思います。
日揮グローバル株式会社
所 在 :神奈川県横浜市
代表者 :代表取締役 社長執行役員 Farhan Mujib
コメント:日揮グループは、国内・海外においてCCS設備の実現性調査から設計・建設まで手掛けた実績を有しており、中期経営計画「BSP2025」において、CCSを含めたエネルギートランジション分野の事業拡大を掲げています。幅広いソリューションの提供を通じて、脱炭素社会の実現や資源循環の促進に貢献していきます。