ラマン増幅器用デュアルポート励起光源の高性能化に成功

古河電気工業株式会社

~2ポートから異なる波長の光スペクトル特性と500mWの均一な光出力特性を確認~

● ラマン増幅器用デュアルポート励起光源の高性能化に成功
● 2ポートの波長と光出力を自由に選択することが可能となり、ラマン増幅器の設計における柔軟性を向上
● 米国で開催される「OFC 2024」で本製品を展示し、2025年度上期に量産を開始する予定

 古河電気工業株式会社(本社:東京都千代田区大手町2丁目6番4号、代表取締役社長:森平英也)は、高出力低消費電力駆動のラマン増幅器用励起光源において、ラマン増幅器用デュアルポート励起光源の高性能化に成功しました。

■背景
 近年、生成人工知能(AI:Artificial Intelligence)および機械学習(ML:Machine Learning)の登場によりデータセンタなどの通信トラフィックが全世界で爆発的に増加しており、今後もさらに伸びていくことが予測されています。このような状況に対応するため、通信伝送速度の高速化が求められていますが、信号受信側のOSNR(注1)の低下により伝送距離が短尺化される課題があることから、特に既存の通信システムを活用して高速化する場合、信号光の品質を劣化させずに光出力を増幅するラマン増幅器の役割がより重要となってきています。また、高速伝送により信号の波長幅が広がるため、大容量伝送を両立するには波長帯域の拡大が必要となり、励起用光源の波長を選択することで任意の信号光源を増幅できるラマン増幅器には高い柔軟性が求められます。一方で、今後におけるS帯・C帯・L帯への帯域拡張を踏まえると、使用される数が増加する励起光源は、省スペースかつ高出力低消費電力駆動であることが一層重要になります。

■内容
 当社は、ラマン増幅器用デュアルポート励起光源について、2ポートから異なる波長の光スペクトル特性(図2)と500mWの均一な光出力特性(図3)を確認し、高性能化に成功しました。これにより、2ポートの波長と光出力を自由に選択することが可能となり、ラマン増幅器の設計における柔軟性を高めます。また、高出力励起光源が省スペース化されることから、ラマン増幅器およびシステム全体の小型化にも貢献します。
 本開発の成功にあたっては、25年以上培ってきたInP(注2)系光半導体材料を用いた光半導体プロセス技術と高精度のファイバ結合技術の活用に加え、当社独自の低損失・高効率動作の半導体レーザ素子構造を採用しました(当社特許取得済み)。
 なお、本年3月26日から28日に米国・サンディエゴで開催されるOFC 2024で本製品を展示し(OFS Fitel, LLCブース内・ブース番号2041)、同年7月よりサンプル出荷、2025年度上期に量産を開始する予定です。
OFC 2024(英語のみ):https://www.ofcconference.org/en-us/home/
 なお、本開発は、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT(エヌアイシーティー))の委託研究「Beyond 5G超高速・大容量ネットワークを実現する帯域拡張光ノード技術の研究開発」(基幹課題045)により得られた成果の一部を用いて行いました。
 当社は、今後も低消費電力高出力レーザチップ技術の開発に取り組み、モジュールの低消費電力化の加速と環境に優しいネットワークの構築に貢献します。
 
図1 モジュールコンセプト
 
図2 光スペクトル特性
 
図3 電流ー光出力特性
 
(注1)OSNR(Optical Signal to Noise Ratio):光信号 対 雑音比を表すパラメータ。
(注2)InP(Indium Phosphide):レーザダイオードチップ、高速トランジスタの製造に使用されるIII-V族半導体の一種。

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■古河電工グループのSDGsへの取り組み
当社グループは、国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」を念頭に置き、2030年をターゲットとした「古河電工グループ ビジョン2030」を策定して、「地球環境を守り、安全・安心・快適な生活を実現するため、情報/エネルギー/モビリティが融合した社会基盤を創る。」に向けた取り組みを進めています。ビジョン2030の達成に向けて、中長期的な企業価値向上を目指すESG経営をOpen,Agile,Innovativeに推進し、SDGsの達成に貢献します。
古河電工グループのSDGsへの取り組み
https://furukawaelectric.disclosure.site/ja/themes/182

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