9月の炎上分析データ公開!炎上件数、126件(調査対象期間:2023年9月1日~9月30日)
一般社団法人デジタル・クライシス総合研究所による最新の炎上事案分析
シエンプレ株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:佐々木 寿郎)は、一般社団法人 デジタル・クライシス総合研究所(住所:東京都渋谷区、所長:佐々木 寿郎、以下「デジクラ総研」)と共同で、調査対象期間に発生したネット炎上についての件数とその内訳の分析結果を公開しました。
○資料ダウンロードページ
https://www.siemple.co.jp/document/hakusho2023/
■調査背景
2023年1月31日、デジクラ総研はソーシャルメディアを中心とした各種媒体とデジタル上のクライシスの特性、傾向と論調を把握するために「デジタル・クライシス白書2023」(調査対象期間:2022年1月1日~12月31日)を公開しました。
継続調査の結果報告として、今回調査対象期間に発生した炎上事案を、新たに分析しています。
■調査の概要
■調査結果トピックス
今回の調査結果の概要について記載しています。
調査結果の詳細については以下の「調査結果詳細」をご確認ください。
<炎上事案の増減>
9月の炎上事案は126件でした。前月に比べ、62件減少しています。
<問題行動の主体の内訳>
炎上事案の原因となった問題行動の主体別の内訳では、「著名人」43件(34.1%)、「一般人」41件(32.5%)、「メディア以外の法人」35件(27.8%))、「メディア」7件(5.6%)という結果でした。
23年8月においては、「一般人」の方がSNS上で行った投稿の内容に対する批判が目立ちましたが、23年9月においては8月と比較しますと、件数が減少しています。
2022年全体の炎上事案の主体の割合は、「著名人」が35.2%、「法人(その他)」が35.4%、「一般人」が29.4%とそれぞれの割合が約3割ほどでほぼ均等でした。
23年9月は2022年全体の割合に近いといえます。
<問題行動の内容>
炎上の原因となった問題行動126件のうち99件(78.6%)が「特定の層を不快にさせる」に該当し、「規範に反した行為」は17件(13.5%)と少数でした。
<業界別内訳>
以下の表は上位5業界のみを記載しております。
その他業界については「調査結果詳細」をご確認ください。
問題行動の主体のうち、「法人等」に該当する炎上42件を業界ごとに分類しました。炎上事案が多かったのは「メディア」業界で7件(16.7%)という結果でした。
「メディア」業界については、大手芸能事務所所属タレントの出演・起用について賛否を呼んだ事象ならびに番組制作時の迷惑行為が物議を醸した事象等が話題になりました。
<企業規模別内訳>
問題行動の主体が「法人等」の場合について、上場企業か否かについて分析しました。
上場区分に関して「上場企業」が主体となった事例が8件(32%)、「非上場企業」が主体となった事例が17件(68%)という結果でした。
■分析コメント
国際大学グローバル・コミュニケーション・センター准教授 山口真一 氏
炎上件数が前年平均の1.4倍にのぼった8月に比べ、9月の炎上件数は同平均並みに減少しました。しかし内訳をみると法人等については3件しか減少しておらず、企業視点ではほとんど変化がないといえます。
9月の炎上で大規模化したものに共通しているのが、告発によって問題が明るみになったという点です。
例えば、ビッグモーターによる不正問題が話題になる中、業界第2位の「ネクステージ」でも同様の不正が横行していると、複数の現役社員や元社員が週刊文春に告発して話題となりました。
また、ペット業界最大手のクーアンドリクでも、デイリー新潮が消費者の告発記事を掲載して話題となりました。記事によると、告発した消費者は子犬を購入したが、獣医から「二種類の寄生虫がいる」「命の危険がある」と診断され、店にクレームをいれるも、治療費は賠償できないが代替ペットは提供できると説明されたようです。さらにその後も告発が相次ぎ、デイリー新潮が続報を出して長期間の大炎上となりました。
これらの事例から2つ学べます。1つは、不正が明るみになりやすくなっているということです。近年では消費者や社員の告発によって炎上するケースが非常に増えています。雑誌はそのようなネタを取り扱うことで部数やページビュー数を稼ぎたいため、より取り上げられやすくなっています。
もう1つは、大規模化しやすくなっているということです。2つの事例とも、あるXのインフルエンサーがまとめて分かりやすく伝え、そのことで情報が幅広く拡散しました。当該ユーザが投稿したクーアンドリクの事例は、2023年9月9日に投稿され、10月26日時点で6000万回以上表示されています。これまでは雑誌に掲載されて話題になる程度だったものが、インフルエンサーが積極的に取り上げることで、かつてないほどに大規模化するようになっています。インフルエンサーが取り上げた結果話題となり、さらにテレビなどのマスメディアで取り上げられることもあります。
企業は「バレないのだからある程度不正をしてもOK」と考えるのではなく、「いつかバレるし、それが超大規模化する可能性があるのだからコンプライアンスを守ることを重視する」と考えることが、この情報社会では重要です。
■分類基準
1.分類基準(問題行動の主体)
抽出したデータは表1に基づき分類しました。
(表1)分類基準(問題行動の主体)
参考:山口真一(国際大学グローバル・コミュニケーション・センター 准教授):
『ネット炎上の研究「炎上の分類・事例と炎上参加者属性」』、 出版記念公開コロキウム用資料、 2016
公に情報を発信する機会の多いメディア関連の法人については、炎上に至る経緯に違いがあるため、他業種の法人と分けて集計を行っております。
2.分類基準(問題行動の内容)
抽出したデータは表2に基づき分類しました。
(表2)分類基準(問題行動の内容)
参考:山口真一(国際大学グローバル・コミュニケーション・センター 准教授):
『ネット炎上の研究「炎上の分類・事例と炎上参加者属性」』、 出版記念公開コロキウム用資料、 2016
3.分類基準(業界)
また、問題行動の主体が「法人等」の場合、20の業界に分類しました。
なお、該当しない業界に関しては「その他」としてデータを処理しました。
■調査結果詳細
1.問題行動主体別 炎上発生件数
1-1.問題行動主体別 炎上発生件数(月次推移)
9月の炎上事案は126件でした。前月に比べ、62件減少しています。
炎上事案の原因となった問題行動の主体別の内訳では、「著名人」43件(34.1%)、「一般人」41件(32.5%)、「メディア以外の法人」35件(27.8%))、「メディア」7件(5.6%)という結果でした。
1-2.問題行動主体別 炎上発生件数割合(月次推移)
前月と比較し、「著名人」が2.2ポイントの増加、「一般人」が8.5ポイントの減少、「メディア以外の法人」が7.6ポイントの増加、「メディア」が1.3ポイントの減少という結果でした。
1-3.問題行動主体別 炎上発生件数(前年平均/前年同月比)
前年同月比では、炎上事案発生件数は49件減少しています。
炎上事案の原因となった問題行動の主体別の内訳では、「著名人」が14件の減少、「一般人」が18件の減少、「メディア以外の法人」が5件の減少、「メディア」が12件の減少という結果でした。
前年平均比では、炎上事案発生件数は12件減少しています。
炎上事案の原因となった問題行動の主体別の内訳では、「著名人」が3件の減少、「一般人」が5件の減少、「メディア以外の法人」が2件の増加、「メディア」が6件の減少という結果でした。
前年同月、前年平均よりも件数は少なく、前年同月よりも前年平均に近しい数値という結果でした。
1-4.問題行動主体別 炎上発生件数割合(前年平均/前年同月比)
前年同月と比較し、「著名人」が1.5ポイントの増加、「一般人」が1.2ポイントの減少、「メディア以外の法人」が4.9ポイントの増加、「メディア」が5.3ポイントの減少という結果でした。
前年平均と比較すると、「著名人」が0.8ポイントの増加、「一般人」が0.8ポイントの減少、「メディア以外の法人」が3.9ポイントの増加、「メディア」が3.8ポイントの減少という結果でした。
前年同月、前年平均と比較すると「メディア以外の法人」の割合が多く、「メディア」の割合が少ない結果でした。
「著名人」「一般人」については前年同月、前年平均に近しい割合でした。
2-1.問題行動の内容別 炎上発生件数
炎上の原因となった問題行動126件のうち99件(78.6%)が「特定の層を不快にさせる」に該当し、「規範に反した行為」は17件(13.5%)と少数でした。
炎上の原因となった問題行動を件数で比較しますと、126件のうち、99件が「特定の層を不快にさせる」行為に該当し、最も多い結果でした。
炎上の原因となった問題行動を割合で比較しますと、「特定の層を不快にさせる」行為が78.6%と、大きな割合を占めています。
2-3.問題行動の内容別 炎上発生件数内訳(月次推移)
炎上の原因となった問題行動を月別で比較しますと、前月と比較し、全体の件数は62件減少しています。
「情報漏洩」にあたる行為は0件と変わらず、「規範に反した行為」は2件の減少、「サービス・商品不備」は14件の減少、「特定の層を不快にさせる」は46件の減少という結果でした。
2-4.問題行動の内容別 炎上発生件数内訳(前年平均/前年同月比)
前年平均の件数と比較すると、「規範に反した行為」が1.8件の減少 、「特定の層を不快にさせる」が7.3件増加しております。
前年同月の件数と比較すると、「規範に反した行為」が16件の減少 、「特定の層を不快にさせる」が25件減少しております。
そのため、2023年9月は前年平均に比較的近い件数であるといえます。
2-5.問題行動の内容別 炎上発生件数割合(前年平均/前年同月比)
前年平均の割合と比較すると、「規範に反した行為」が0.9ポイントの減少 、「特定の層を不快にさせる」が8.5ポイント増加しております。
前年同月の割合を比較すると、「規範に反した行為」が4ポイントの減少 、「特定の層を不快にさせる」が13ポイント増加しております。
そのため、前年平均、前年同月よりも「特定の層を不快にさせる」の割合が拡大したといえます。
3.炎上内容の詳細区分別 炎上発生件数
炎上内容の詳細を分析したところ、「問題発言」に関する炎上事案が40件、次いで「非常識な行動(モラルのなさ)」に関する炎上事案が27件でした。
4.業界別炎上発生件数
4-1.業界別炎上発生件数(問題行動の種類別・全体)
問題行動の主体のうち、「法人等」に該当する炎上42件を業界ごとに分類しました。炎上事案が多かったのは「メディア」業界で7件(16.7%)という結果でした。
「規範に反した行為」の件数が一番多かったのは「娯楽・レジャー」業界で2件という結果でした。
4-2.業界別炎上発生件数割合(問題行動の種類別・全体)
業界別の問題行動種別の割合は以下の通りです。
「メディア」業界は全体の件数は多いものの、「規範に反した行為」はなく、「特定の層を不快にさせる」が100%という結果でした。
一方、「飲食」業界ならびに「小売・卸」は「規範に反した行為」「サービス・商品不備」の割合が比較的多くを占めています。
問題行動の主体が「法人等」の場合について、上場企業か否か、また、それぞれの従業員数について分析しました。
なお「法人等」に該当する炎上事案は、日本国内に所在する企業のみを対象としています。
5-1-1.上場企業の炎上発生件数推移(月次推移)
上場区分に関して「上場企業」が主体となった事例が8件(32%)、「非上場企業」が主体となった事例が17件(68%)という結果でした。
前月と比較しますと、「上場企業」の件数は3件増加、「非上場企業」の件数は16件減少しました。
上場区分に関して「上場企業」が主体となった事例が32%(8件)、「非上場企業」が主体となった事例が68%(17件)という結果でした。
前月と比較しますと、「上場企業」の割合は18.8ポイント増加しました。
上場区分に関して「上場企業」が主体となった事例が8件(32%)、「非上場企業」が主体となった事例が17件(68%)という結果でした。
前年同月と比較しますと、「上場企業」の件数は1件増加、「非上場企業」の件数は13件減少しました。
前年平均と比較しますと、「上場企業」の件数は1.8件増加、「非上場企業」の件数は6.2件減少しました。
5-1-4.上場企業の炎上発生件数割合推移(前年平均/前年同月比)
上場区分に関して「上場企業」が主体となった事例が32%(8件)、「非上場企業」が主体となった事例が68%(17件)という結果でした。
前年同月と比較すると「上場企業」の割合は13.1ポイント増加しました。
また、前年平均と比較すると「上場企業」の割合は10.9ポイント増加しました。
前年同月、前年平均と比較して「上場企業」の割合が多い結果になりました。
従業員数2,000人未満、売上高2,000億円未満の企業規模で多く炎上事案が発生しました。
一方で従業員数1万人以上の企業であっても炎上事案が発生していることから、どのような従業員数や売上高であっても、炎上は発生する可能性があるといえます。
■一般社団法人デジタル・クライシス総合研究所 概要
名称:一般社団法人デジタル・クライシス総合研究所
代表理事:佐々木 寿郎
アドバイザー:山口 真一(国際大学グローバル・コミュニケーション・センター准教授)
沼田 知之(西村あさひ法律事務所所属弁護士)
設立日:2023年1月20日
公式HP:https://dcri-digitalcrisis.com/
関連会社:シエンプレ株式会社