住友林業とIHI、熱帯泥炭地コンサルティングの合弁会社設立 ~ 地上と宇宙の観測システム×AIで気候変動対策・自然資本の保全に貢献 ~
※1 植物の遺骸が水中で分解されずにできる泥炭が堆積した土地。地下水位が下がり乾燥すると、炭素を多く含む泥炭が分解・消失するだけでなく非常に燃えやすくなるため、地下水位管理が極めて重要。
「経済林」「保護林」「地域住民エリア」に分けて経済性と社会環境を両立
■コンサルティング事業
住友林業はインドネシアの熱帯泥炭地で高精度な地上観測システムを構築。IHIは航空・宇宙分野で培ったドローンや人工衛星データの利用技術、気象観測・予測技術を有し両社が持つ技術を掛け合わせて熱帯泥炭地の情報をリアルタイムで収集し提供します。
住友林業は困難とされていた熱帯泥炭地の持続的管理に世界で初めて成功し10年以上に渡ってデータ蓄積。このデータを基にNeXT FOREST社が泥炭地管理AIモデルの構築を進めています。将来的にはCO2排出と森林火災に悩まされてきた植林企業や農園企業などにAIモデルを使い短期間で適切な管理計画を提案して温室効果ガスの排出を削減します。
木材生産の「経済林」と生物多様性や水循環など自然資本の価値を守る「保護林」を設定し、住友林業独自のコンサベーションネットワーク※2を構築。経済性と社会環境の持続を両立する熱帯泥炭地の適切な管理を世界に普及していきます。
まず手始めとしてインドネシアの熱帯泥炭地を主な対象としてコンサルティング事業を開始します。住友林業の管理技術をベースにサービスを提供しながら、AIモデルなど新たな技術を開発・導入していきます。
※2 自社内に独立した保護林を設定するだけでなく、行政や周辺の事業体と協力して保護林同士を緑の回廊で結び広い範囲での動物の移動まで考慮した生態系保全の取り組み。
■質の高い炭素クレジットの創出事業
熱帯泥炭地の森林や土壌の炭素吸収量や固定量の正確な計測で信頼性の高い気候変動対策の価値評価に加えて、生物多様性や水循環の保全、地域社会への貢献といった自然資本としての付加価値を加えた「質の高い炭素クレジット」の創出を実現します。本事業は熱帯泥炭地の評価手法の確立に向けNeXT FOREST社、住友林業、IHIが連携して技術を開発し、評価手法として国際的なスタンダード化を目指します。
住友林業グループは長期ビジョン「Mission TREEING 2030」を発表し、脱炭素社会の実現に向けた取り組みを加速しています。森林経営から木材建材の調達・加工、戸建住宅や中大規模木造建築の請負、不動産開発、バイオマス発電まで「木」を軸にした住友林業のバリューチェーン「ウッドサイクル」を回すことで、森林のCO2吸収量を増やし、建築での木材活用で炭素を長く固定し続けることができます。「ウッドサイクル」を回し、自社のみならずお客様や取引先、そして社会全体への脱炭素化に貢献していきます。
IHIは本事業を自然と共存する持続性の高い事業へ成長させるとともに、「美しい地球」を守るため、地球規模の課題解決として、脱CO2・循環型社会と防災・減災の実現に向けて取り組んでいきます。また、多様なソリューションを組み合わせるエンジニアリングサービスの提供によって,2050年カーボンニュートラルの実現に貢献してまいります。
■会社概要
商号 株式会社NeXT FOREST (NeXT FOREST Corporation)
所在地 東京都千代田区大手町1丁目3番2号 経団連会館
設立 2023年2月7日
代表取締役 加藤 剛(住友林業)、志佐 陽(IHI)
出資比率 住友林業(50%)、IHI(50%)
事業内容 森林・泥炭地管理コンサルティング事業、
森林・泥炭地における質の高い炭素クレジット創出事業
■プロジェクトロゴ
<関連プレスリリース>
住友林業とIHI、「熱帯泥炭地コンサルティング」と「質の高い炭素クレジット」 の事業化に向けて提携
住友林業 https://sfc.jp/information/news/2021/2021-06-18-01.html
IHI https://www.ihi.co.jp/ihi/all_news/2021/aeroengine_space_defense/1197434_3351.html