12月の炎上分析データ公開!炎上件数、178件! (調査対象期間:2022年12月1日~2022年12月31日)
シエンプレ デジタル・クライシス総合研究所による最新の炎上事案分析
ネット炎上や情報漏えいなどのデジタル上で発生したクライシス(危機や重大なトラブル)を研究する、日本初の研究機関シエンプレ デジタル・クライシス総合研究所(以下、弊研究所)は、2022年12月1日~12月31日に発生したネット炎上について件数とその内訳の分析結果を公開しました。
資料ダウンロードページ:
https://www.siemple.co.jp/document/enjou_report_202212/
掲載ページ:
https://www.siemple.co.jp/article/enjou_case_analysis/enjou_report_202212/
■調査背景
2023年1月31日、弊研究所はソーシャルメディアを中心とした各種媒体とデジタル上のクライシスの特性、傾向と論調を把握するために「デジタル・クライシス白書2023」(調査対象期間:2022年1月1日~12月31日)を公開しました。今回の調査は「デジタル・クライシス白書2023」の内容を補足するものです。
投稿内容に「炎上」というキーワードを含む13,285件の投稿から178件の炎上事案を抽出(※)。炎上の原因となった問題行動の主体、問題行動の内容、炎上を起こした企業の業種などの切り口から傾向を分析しました。
※弊研究所では「炎上」の定義を、「企業や団体、個人が発言した内容、行った行為がメディア上で掲載・拡散され、それに言及した批判や非難の投稿が100件を超えた場合」としています。
○「デジタル・クライシス白書2023」は以下のURLからダウンロードをリクエストできます。
https://www.siemple.co.jp/document/hakusho2023/
■調査
調査期間:2022年12月1日~12月31日
調査対象:Twitter、Facebook、Yahoo!ニュース、Amebaブログ、FC2ブログ、Yahoo!知恵袋、5ちゃんねる など、SNS媒体と炎上拡大の要因となりやすい弊社選定媒体への投稿
調査方法:弊社ソーシャルリスニングツールを使用
分析対象投稿数:13,285件
抽出炎上事例数:178件
■調査結果トピックス
・12月の炎上事案は178件でした。前月に比べ、28件減少しています。
・炎上事案の主体においては、前月は「著名人」「法人等」「一般人」それぞれの割合が約3割ほどでほぼ均等でした。それと比較すると今月は「一般人」の割合が3割を下回り、「著名人」「法人等」に比べ低い傾向がありました(32.5%→26.4%、6.1ポイントの減少)。件数自体は「著名人」「法人等」「一般人」いずれも減少していますが、「一般人」が最も減少しています。
・炎上事案の主体の内訳は、「著名人」70件(39.3 %)、「法人等」61件(34.3%)、「一般人」47件(26.4%)という結果でした。「著名人」「法人等」「一般人」のいずれも減少傾向がみられており、「著名人」では6件、「法人等」では2件、「一般人」では20件減少しています。
・前月11月については、サッカーワールドカップならびにアイドルグループの解散発表など、話題になったトピックスに意見を述べた一般ユーザーが炎上する事例が複数ありました。12月は11月と比較すると、上記のような大きく議論が発展するようなトピックスが少なく、そのことが「一般人」の件数ならびに割合が比較的大きく減少した要因ではないかと推測されます。
・前年同月比では、炎上事案発生件数は71件増加し、「著名人」では32件、「法人等」では27件、「一般人」では12件増加しています。2021年12月は新型コロナウイルスの第六波への警戒から、個人ならびに企業の活動が自粛傾向にありましたが、2022年12月はそれと比較すると個人ならびに企業の活動が活発化したことから、全体的に発生件数が増えたのではないかと考えられます。
・炎上の原因は「不適切と判断される可能性のある発言・行為」が162件(91.0%)と大部分を占め、「法律に抵触する可能性のある行為等」は16件(9.0%)でした。前月と比較すると「不適切と判断される可能性のある発言・行為」の割合が減少(92.2%→91.0%)しています。
・前月に引き続き、炎上事案が多かった業界は「娯楽・レジャー」業界でした。「娯楽・レジャー」業界は前月に比べ、3件減少(27件→21件)しています。話題のゲームタイトルならびにソーシャルゲームの仕様変更等による影響がみられました。
・炎上事案が発生した国内企業45社のうち、31社が非上場企業でした。前月と比較すると非上場企業の占める割合が減少(84.4%→72.1%)しています。
■分析コメント/西村あさひ法律事務所 パートナー 沼田 知之 氏
昨年12月には178件の炎上が確認されました。昨年11月の206件から若干減少していますが、同月比で見ると、2020年の123件、2021年の107件と比較して大幅に増加しています。
炎上の原因については、引き続き「不適切と判断される可能性のある発言・行為」が大部分を占めており、代表的な炎上事例も、法令違反というよりは、サービスや商品の提供・運営方針や、経営者の発言が不適切であるとして一部から反発を招いたものでした。企業がレピュテーションリスクを検討する上では、法令に違反するかどうかだけでなく、社会的に見て(一部であっても特定の層のユーザに)不適切と評価されるおそれがないかという観点を持つことが重要であるといえるでしょう。
昨今、米国ではIT業界から投資銀行等でも人員削減の動きが広がっており、日本にも外資系企業やその関係先を発端にこの波が押し寄せる可能性があります。雇用関係の見直し等については炎上しやすいテーマであり、注意が必要と考えられます。
■調査結果詳細
抽出したデータは表1の基準に基づき分類しました。
また、問題行動の主体が「法人等」の場合、表2に基づき20の業界に分類しました。なお、表2に該当しない業界に関してはその他としてデータを処理しました。(表1)
*データ確認日時点でフォロワー数(もしくはチャンネル登録、読者登録)が一定数を超えている場合を著名人として定義しています。
(表2)
【炎上事案発生件数】
12月の炎上事案は178件でした。前月に比べ、28件減少しています。
炎上事案の原因となった問題行動の主体別の内訳では、「著名人」70件(39.3 %)、「法人等」61件(34.3%)、「一般人」47件(26.4%)という結果でした。
また前年同月比では、炎上事案発生件数は71件増加し、「著名人」では32件、「法人等」では27件、「一般人」では12件増加しています。
対して「一般人」については6.1ポイント減少しています。
前年同月比では、「著名人」の割合が3.8ポイント、「法人等」が2.5ポイント増加しています。
一方、「一般人」については6.3ポイント減少しています。
【問題行動の内容別件数】
炎上の原因となった問題行動のうち、162件(91.0%)が「不適切と判断される可能性のある発言・行為。」に該当し、「反社会的行為や規則・規範に反した行為(の告白・予告)。法律に抵触する可能性のある行為。」は16件(9.0%)と少数でした。
炎上の原因となった問題行動の内容としては「2-4」(その他、特定の層を不快にさせるような内容・発言・行為)に該当する炎上が最も多く、次いで「2-1」(サービスや商品に関連する過失・欠陥など)に該当する炎上が多い結果となりました。
【炎上内容の詳細区分】
炎上内容の詳細を分析したところ、「問題発言」に関する炎上事案が47件、次いで「非常識な行動(モラルのなさ)」に関する炎上事案が29件でした。
【業界別にみる炎上事案の特徴】
問題行動の主体のうち、「法人等」に該当する炎上61件を業界ごとに分類しました。炎上事案が多かったのは「娯楽・レジャー」業界で21件(34.4%)でした。次いで「メディア」業界が10件(16.4%)という結果でした。
【上場企業の割合】
問題行動の主体について上場企業か否か、また、それぞれの従業員数について分析しました。
上場区分に関して「上場企業」12社(27.9%)、「非上場企業」31社(72.1%)という結果でした。
また前年同月比では、上場企業の割合が24.2ポイント増加しています。
また従業員数でみると、「1,000人以上」の大企業が17件であり、国内企業における炎上の39.5%を占めました。
前年同月比では、1,000人以上の従業員数の企業の割合が4.0ポイント減少し、100人未満の従業員数の企業の割合が5.9ポイント増加しています。
■シエンプレ デジタル・クライシス総合研究所 概要
名称:シエンプレ デジタル・クライシス総合研究所
主宰:シエンプレ株式会社
所長:佐々木 寿郎
アドバイザー:村上憲郎(元Google本社副社長及び日本法人代表)
芳賀雅彦(元博報堂・PR戦略局シニアコンサルタント)
山口真一(国際大学グローバル・コミュニケーション・センター准教授)
徳力基彦(note株式会社 プロデューサー/ブロガー)
設立日:2020年1月10日
公式HP:https://dcri-digitalcrisis.com/