【2022年カスタマーサクセスに関する実態調査】「カスタマーサクセスのメリット感じない」一定数いる中 非サブスク企業の間で少しずつ広まりつつあるその必要性と重要性
~カスタマ―サクセス実態調査、2022年版第五弾結果~
■第四弾調査結果ハイライト
カスタマーサクセスの取り組みが社内で行われていると回答した500人のうち「効果を感じている」と答えた人と、「効果を感じていない/どちらとも言えない」と答えた人のカスタマ―サクセス運用における違いを比較
- カスタマ―サクセスの効果を感じている層の38.1%がタッチモデルを構築していると回答した反面、効果を感じていない/どちらとも言えない層ではわずか4.5%
- フェーズ分け運用については効果を感じている人の約半数が実施、効果を感じられていない人においては6.2%にとどまる結果に
- 効果を感じている人が成果指標として定めているKPI、52.2%が挙げたのは「継続率/数/額」、次いで「解約率/数/額(40.5%)」、「アップセル率/数/額(32.4%)」
第一弾の調査対象である24,061人の中で、カスタマーサクセスに取り組むことに関して必要性を感じている人、感じていない人それぞれどんな傾向/特徴があるかを深掘りしました。
「メリットを感じない」と考える人は毎年一定数存在
まず、自社において「現在はカスタマーサクセスに取り組んでいないが必要性を感じている」と答えた250人に対して、「実際にカスタマーサクセスの取り組みを始めることになった場合障害になりそうなことは何か」を尋ねたところ、40.8%が「経営層/上層部の理解が得られない」という回答が、昨年のデータ(20.0%)の倍以上になる結果となりました。また「人材・組織体制が不十分(28.0%)」、「進め方や相談する人がいない(21.6%)」と続く形になりました。
次に、現在カスタマーサクセスに取り組んでおらず「今後も取り組む予定はない、かつ必要性も感じていない」と答えた250人に対してその理由を聞いてみると、30.8%の人たちが「いまいちメリットを感じられない」と答えており、これについては昨年もほぼ同様(30.4%)の結果が出ています。
そこで、同対象者に「何が実現されるならカスタマーサクセスに取り組むことに価値があると感じますか?」と尋ねたところ、「利益拡大(34.4%)」、「顧客満足度の向上(32.4%)」の回答率を上まわり、34.8%の人が「特に価値を感じることはない」と考えているといることがわかりました。この数値も昨年とほぼ同じとなっています。
カスタマ―サクセスに取り組んでいる企業、取り組んでいない企業それぞれの対象者に、勤務先でサブスクリプション(サブスク)型の製品またはサービスについて取り扱いがあるかどうかを尋ねたところ、カスタマ―サクセスに取り組んでいる人のうち、何かしらのサブスク型商材を勤務先で扱っているのは37.9%、反対にカスタマーサクセスに取り組んでいないと答えた人の6割弱が現状サブスク型商材を扱っていないということから、「カスタマーサクセス=サブスク/SaaS企業の成長に不可欠なもの」だという考え方が色濃く反映されている結果であると言えるでしょう。しかし同時に、カスタマーサクセスに取り組んでいる人のうち41.8%は現状サブスク型商材を扱っていないということもわかりました。また、「カスタマ―サクセスの取り組みは行っていないし今後も必要ないと考えている人」の中で、55.4%の人が現状サブスク商材を扱っていないという結果とともに、「必要性を感じている」という人の中において、現状サブスク商材を扱っていない人が59.1%もいることから、カスタマーサクセスのコンセプトの本質は、「あらゆる事業において必要なものである」ということを理解している人が増えてきていることが推察されます。
また、現状カスタマーサクセスに取り組んでいる人の中でサブスク商材の取り扱いがあると答えた人、サブスク商材の取り扱いがないと答えた人に対して、直近一年間でのカスタマーサクセスに対する意識の変化について聞いたところ、サブスク商材取り扱い企業においては8割近くの人が、サブスク商材の取り扱いがない企業においても半数以上の人が「必要性を感じるようになった」と回答しました。実際にカスタマーサクセスに取り組むことで、その重要性を再認識したということ、またサブスク企業においては、よりその効果が体感しやすかったのかもしれません。
米国から大きく後れを取る日本国内でのカスタマーサクセス理解
米国カスタマーサクセスソフトウェアベンダーの「Gainsight(ゲインサイト)」が発行する「The Customer Success Index 2022」(※1)によると、調査に参加したBtoB企業(業界や規模、設立年数等問わず)の95%において企業内にカスタマ―サクセスの機能があるとのデータが出ています。また、同社CEOニック・メーター氏(※2)によると、投資家が投資先企業に求める支出削減項目としてマーケティング費用が一番多かったのに対し、カスタマーサクセスへの支出削減を求める声は一番少なかったそうです。このように、米国では、カスタマーサクセスの本質とその必要性が広く認知・実践され、また投資判断の要素としても重要視されています。対照的に、日本国内では必要であるとの認識がありながらも、社内でそのメリットを感じないと考える人、特にそういった人々が上層部である場合、取り組み導入に至るまでのハードルが高くなってしまっているのが現状です。
これまでの調査から、ビジネス提供の形態がサブスク型/SaaS型であればカスタマ―サクセスの取り組み効果は大きく、また非サブスク企業であっても、運用方法や追いかける指標をルール化することでその効果を創出している企業がたくさんあることがわかりました。
カスタマーサクセスの重要性が正しく理解されていない、それ以前にカスタマーサクセスそのものの認知がまだまだ低い日本国内においては、カスタマーサクセスという役割がただのコスト部門とみなされがちなのが現状です。
顧客に寄り添い、伴走しながら、先回りして顧客が直面するであろう課題を解決に導く。いわば、”コンサルタント”のような存在であることが理解されるまで、もう少し時間がかかるのかもしれません。
※1: https://info.gainsight.com/the-customer-success-index-2022_ebook.html
※2: https://www.gainsight.com/blog/3-takeaways-from-saas-investors-about-downturn/
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バーチャレクスは、BtoB向けIT製品 / SaaSのレビュープラットフォーム 「ITreview(ITレビュー)」を提供するアイティクラウド株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長 兼 CEO:黒野源太、以下、アイティクラウド)と2019年3月より、市場調査やセミナー等の共催などカスタマーサクセス領域での協業を行っています。
- アイティクラウド株式会社について (http://www.itcrowd.co.jp )
- ITreviewについて (https://www.itreview.jp/ )
- ワークショップ(経営者様向け/社員様向け等、カスタマーサクセスについての理解促進をサポート)
- コンサルティングサービス(ショット/スポット型でのレビューや戦略立案等)
- テクノロジーサービス(ツールやデータプラットフォームの導入/構築や利活用支援)
- オペレーションサービス(カスタマーサクセスプロセス伴走支援)
- カスタマ―サクセスビギナー向け入門ガイドダウンロード
- カスタマ―サクセスの取り組み状況クイック診断
- これからカスタマーサクセスの取り組みを検討する企業様の質問や疑問、お悩みにお答えするお悩みホットライン
参考:『カスタマーサクセス ―サブスクリプション時代に 求められる「顧客の成功」10の原則―』
https://www.virtualex.co.jp/corporate/customersuccess.html
【調査実施概要】
「2022年カスタマーサクセスに関する調査」
・調査方法 :インターネットアンケート
・調査実施期間:2022年3月18日~2022年3月19日
・対象地域 :全国
・対象者 :20歳から 65歳の有職者(パート・アルバイト、専業主婦・主夫、学生を除く)24,061人