トーマツ、熟練会計士のノウハウを学習したAIツールを開発

デロイト トーマツ グループ

AIを活用し、契約書等の専門文書から監査に必要な情報を抽出

デロイト トーマツ グループの有限責任監査法人トーマツ(東京都千代田区、包括代表 大久保 孝一、以下トーマツ)は、AIなどのデジタルテクノロジーによる監査業務の効率化を通じて、監査業務に携わる公認会計士等の専門家人材が高度で複雑な業務に集中できる体制を推進しています。その一環として、このたび、日本語の契約書等の専門文書と公認会計士等が有する検討のノウハウをAIに学習させることで、専門文書から監査に必要な情報の特定・抽出を行い視覚的に表示するAIツール「Audit Suite Text Reviewer」(AS Text Reviewer)を開発し、2022年9月から順次導入を開始しました。

公認会計士等の専門家人材は監査の過程で様々な契約書等の専門文書を熟読し取引の内容等を把握すると共に、会計・監査に影響する重要な項目を漏れなく特定し、会計処理の検討や監査上の判断を行っています。重要な項目は多岐にわたることが多く、会計基準ごとに視点も異なるため、複雑かつ長文の契約書等から必要な情報を漏れなく識別するためには知識と経験が求められます。AS Text Reviewerは、トーマツの熟練公認会計士等が有するノウハウをAIに学習させることで、プロフェッショナルファームの知見を集約し、監査業務の効率化・高度化を推進します。

AS Text Reviewerは、AIと自然言語処理技術と光学文字認識技術(OCR)の組み合わせによって、契約書などの膨大な文書・画像ファイルも短時間で一貫した処理を行うことが可能です。AIを活用することで経験年数に関わらず熟練者の水準で文書検討が可能となり、監査上の判断に集中できるほか、膨大な契約条項の傾向把握も可能となります。

図1:情報抽出のイメージ

また、文書の内容に関わらず文書のレビューを全般的に支援する目的で、AIが最大3つの文書を横並びで比較して相違点を視覚的に一覧化する機能も搭載しています。例えば、監査先企業に提出する重要な文書をレビューする際に「作成中のドラフト」が「最新のひな型」をもとに「前期の内容」を引き継ぎつつ、「当期に必要な更新」が漏れなく正確に反映されているかの検証を支援します。これにより、会計士は相違点等に関する判断業務等に集中できます。

図2:AS Text Reviewerの機能
(1)情報抽出
(2)文書比較

第一弾では、本邦「リース取引に関する会計基準」の今後の改定を見据えて不動産リース契約書のAI情報抽出機能を搭載し、リース料やリース期間などの会計処理に影響する記述を中心に25項目を自動的に抽出して該当箇所をハイライトし、一覧化します。今後は流動化取引やM&A等、より高度な専門性が要求される領域の文書に対するAI情報抽出機能を順次開発する予定です。

トーマツは、複雑化する社会の変化に向き合いながら一つずつ丁寧に取り組むこと、そして、既存の監査の概念や手法にとらわれず、未来を見据えた新しい取り組みを早期に現場へ導入していく「Audit Innovation®」*を推進することで、監査先企業およびステークホルダーの皆様へ安心と信頼を提供していきます。誠実性、社会やクライアントとの信頼、そして、決して毀損してはならない品質という、変えてはならないものを守り続けるために、私たちは変わり続けます。

* Audit Innovationは、有限責任監査法人トーマツの登録商標です。

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