デロイト調査:働く女性のストレスレベルが上昇、50%が「燃え尽き症候群」であると回答

デロイト トーマツ グループ

調査に回答した日本で働く女性の57%が、メンタルヘルスが悪い状態にある一方で、職場で話題にしない傾向にある。働く時間・場所の変化により働き方の柔軟性が高まるものの、ストレスやハラスメントなどへの対策が求められる

デロイト トーマツ グループ(東京都千代田区、グループCEO:木村研一)は、デロイトが2021年11月~2022年2月に実施した世界調査「Women @ Work 2022: A Global Outlook」の日本版を発表します。本調査は前年に引き続き2回目です。

本調査は、COVID-19のパンデミックが続く中で世界の女性の職場における全般的な満足度・展望・モチベーションを明らかにし、企業が検討すべき課題を示すことを目的に、日本、オーストラリア、ブラジル、カナダ、中国、ドイツ、インド、南アフリカ、英国、米国の計10か国で合計5,000人の働く女性を対象に行われました。「Women @ Work 2022: A Global Outlook」の日本版では、調査対象のうち、日本で働く女性500人の回答から示された傾向やグローバル平均との比較をまとめています。

■燃え尽き症候群は働く時間が変わった女性に多い
日本・グローバルともに、半数以上(日本57%、グローバル53%)の女性のストレスレベルが1年前よりも高まっていることに加え、日本の女性はグローバルの女性に比べ、燃え尽きたと感じている割合が高くなっています(日本50%、グローバル46%)。回答には働く時間の変化が影響しており、パンデミック以降に「勤務時間が変わった」と答えた女性は、勤務時間が変わらなかった女性やパートタイム勤務の女性に比べ、ストレスや燃え尽きたと感じている割合が多いという結果が示されました。
図表1
グローバル、日本共に「燃え尽き」は退職を考える原因のトップとなっており、企業側は女性の離職率上昇を防ぐために、ケアを検討する必要があることに加え、勤務時間が変わった女性については特にケアが必要であることが示唆されます。
日本で働く女性がメンタルヘルスの状態が「悪い(含む非常に悪い)」と回答した比率も、グローバルの女性に比べて高くなっています(日本57%、グローバル49%)。しかし、日本の女性はグローバルの女性に比べて職場でメンタルヘルスを話題にしない傾向にあり、「メンタルヘルス上の理由で休みを取ったことがある」(31%)、「休みの理由がメンタルヘルス上の問題であることを話すことに抵抗がない」(29%)、「職場で十分なメンタルヘルスサポートを受けている」(39%)など、メンタルヘルスに起因する不調を周囲に打ち明けたり、サポートや休暇を利用したりするといったことがグローバルの女性に比べて少ないことが示されました。このため周囲がこの問題に気付かない可能性があります。
図表2

■特にハイブリッドな働き方において顕著なハラスメントやマイクロアグレッション
日本・グローバルともに「過去1年の間に、ハラスメントやマイクロアグレッションなどを経験した」と回答した割合が昨年調査時よりも増加しており、特に日本の女性の回答割合は、45%から64%へと大きく増加しています(グローバルでは、52%から59%へ増加)。マイクロアグレッションとは、特定の属性の人を無自覚に傷つける日常的な言動であり、バイアス・思い込みに基づいた相手を傷つけるような発言の他、「男性中心になりがちな場に呼ばれない」、「会議で発言する機会が少ない」、「インフォーマルなやりとりや会話から排除される」などの職場における疎外が含まれます。
図表3

なかでも、ハイブリッド型(リモート・出社を組み合わせた働き方)で働く女性は、完全リモート型・完全出社型で働く女性に比べて、過去12カ月間におけるマイクロアグレッションの経験率が高い傾向がみられました。柔軟な働き方が可能な一方で、異なる働き方をするメンバー間でのインクルーシブ(包摂的)な環境づくりが課題として浮き彫りになってきています。
図表4

■インクルーシブな文化や風土があって、初めて機能するフレキシブルな制度
今回調査から、インクルーシブな文化を作り出し、従業員をサポートし、Well-being向上を促進している組織で働く女性の割合は世界でもわずか5%、日本では3%にとどまっています(前回:世界・日本共に4%)。加えて、多くの女性はこの1年間でストレレベルが上昇し、ハラスメントやマイクロアグレッションの経験も増加しています。勤務時間の変化やハイブリッド型の働き方などは、パンデミック下の職場における柔軟な対応のひとつとして広がりましたが、制度整備だけでなく、ストレスやハラスメントなどへの対策も含め、インクルーシブで信頼性の高い文化を構築していくことが重要です。さらに、働く女性に対する支援のみならず、表出していない構造上の課題をも意識した、Diversity, Equity & Inclusionの推進が必要です。経営者があらゆる場での公平性の担保や不均衡の是正を強く意識し、リーダー層をはじめとする多くの男性に対してもジェンダーバイアスを除外するための学習機会を継続して提供するなど、より一層積極的な行動が求められています。

デロイト トーマツ グループのDEIに関する取り組み
デロイト トーマツ グループでは、Diversity, Equity & Inclusion(DEI)を重要経営戦略の一つとして位置付け、激変する社会環境を柔軟に乗り切り、クライアント・社会に貢献し続けるための鍵と捉えています。私たちはジェンダー、国籍・カルチャー、 LGBT+、障がい等の個人の「違い」を「強み」にできる環境をゆるぎないものとするためにDiversity, Equity & Inclusionを推進しています。
 

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